日本経済研究
「日本経済研究」は日本有数の学術論文誌です。年に2,3回発行しています。論文は公募しており、レフェリーの厳正な審査などを経たうえで掲載となります。
【65】 2011年7月発行
女性の結婚・出産と就業の両立可能性の過去25年の動向を、「結婚・出産による離職率」を計測することで明らかにした。1980年から2005年の国勢調査の年齢階級別のデータを生年コーホートデータとみなし、疑似パネル分析をした。その結果、結婚・出産による離職率は86.3%であり、80年以降ほとんど変化しておらず、結婚をする年齢にも依存していないことが示された。離職率は、都道府県別に見ても、時系列的には変化していないが、都道府県間では大きな差が存在していた。この性質から、離職率は、時系列的に安定しており地域差の大きな要因に規定されると考えられる。先行研究で指摘されていた要因のうち、保育所の整備状況は統計的にも整合的であり、離職率の主要な決定要因であることが示される。一方、育児休業制度や3世代同居率などは、統計的には説明力を持たなかった。
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本論文では、特定の収入の非課税化が租税・社会保障負担の不公正をもたらしていること、税と社会保険が密接につながっていることを試算例により示す。具体的な非課税所得として「遺族厚生年金」を取り上げ、非課税扱いが課税ベースの縮小による減収と同時に社会保険料収入の大幅な減収をもたらしていることを示す。遺族厚生年金受給者は年々増加し、2007年には441万人(厚生年金受給者の4人に1人)、給付額は約4.5兆円に達する。人数が多いために、租税の公正な負担を図るだけで、所得税37億円、住民税20億円が新規の税収となり、国民健康保険料、介護保険料の増収はそれぞれおよそ370億円、300億円と計算される。さらに寡婦・寡夫を税制上で優遇する「住民税の特例」および「寡婦・寡夫控除」の廃止を仮定すると、新たな所得税収は77億円、住民税収は272億円と計算され、所得金額と住民税額によって決定される国民健康保険料の増収は700億円弱、介護保険料の増収は約500億円にもなる。
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合併する地方公共団体は、国からの財政優遇措置の適用を受けることで、新市一体化のための施策や新たな街づくりのための施策に取り組むことが可能となる。それに対して、未合併団体は、何ら財政行動を変えることなく手をこまねいていただけなのだろうか。あるいは、地域の魅力を再構築するための施策や財政の持続可能性を維持するための経費削減に取り組み、自立に向けた財政行動を取ったのだろうか。本稿の目的は、未合併団体の財政行動を実証的に解明し、地方団体の戦略的依存関係に関する予備的な考察を行うことである。
データ分析によれば、第1に、未合併団体と合併団体の職員給を比較したところ、その削減率は、未合併団体が合併団体を上回っていることが判明した。第2に、パネルデータを用いた仮説検証によれば、合併が進展した地域・時点にある未合併団体ほど、公共事業の水準が確保されていることが統計的に確認された。同時に、そのような未合併団体ほど、職員給の削減が進展している可能性がある。このように、データ面からは、未合併団体の自立に向けた財政行動を捉えることができる。
未合併団体によるこのような財政行動が合併団体との戦略的依存関係で説明できるかどうかは今後の追加的な検証が必要ではあるが、合併特例法の政策評価には、未合併団体の以上のような財政行動も組み入れる必要がある。
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本稿の目的は、財務構造とコーポレート・ガバナンスが企業の雇用制度、特に女性の活躍とどのような関係にあるのかを、実証分析することである。ガバナンスと女性の活躍の関係について、次の2つの仮説を検証した。第1の仮説は、投資家によるガバナンスの強化によって長期雇用制度が見直され、正社員の雇用の短期化が進み、それが女性にとって有利に働くというものである。第2の仮説は、投資家によるガバナンスの強化によって経営全般が効率化され、その一環として女性労働力の有効活用が推進されるというものである。実証分析の結果、第1の仮説は支持されたが、強い支持ではなかった。機関投資家によるガバナンスが正社員の雇用の短期化をもたらし、それが女性の活躍を推進しているという仮説と整合的な結果が得られたが、雇用の短期化と女性の活躍の相関関係はあまり強くなかった。それに対して、第2の仮説は強く支持された。機関投資家によるガバナンスが強い企業ほど、ポジティブ・アクションに取り組んでおり、女性正社員や女性管理職が多いことが明らかになった。
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