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日本経済研究

「日本経済研究」は日本有数の学術論文誌です。年に2,3回発行しています。論文は公募しており、レフェリーの厳正な審査などを経たうえで掲載となります。

【76】 2018年3月発行

子育て費用の時間を通じた変化―日本のパネルデータを用いた等価尺度の計測子育て費用の時間を通じた変化―日本のパネルデータを用いた等価尺度の計測
荒渡 良  宮本 由紀

本稿では、日本における子育て費用の時間を通じた変化を計測した。具体的には、公益財団法人家計経済研究所(当時)による『消費生活に関するパネル調査』の個票データを用いたパネルデータ分析を行うことで、ロスバース法による等価尺度を計測した。分析の結果、1993年から99年までの期間と2003年から09年までの期間において、2歳以下の子供については子育て費用が大幅に増加しており、以前と比べて子育て期間の序盤における費用負担が重くなっていることが確認された。

税制改正と摩擦的失業税制改正と摩擦的失業 
池田 亮一

本稿では、ラムゼイモデルにサーチ/マッチングによる失業を導入し、消費税増税と摩擦的失業に関する分析を行った。先行研究との最も大きな違いは、本稿では消費税増税について扱っている点と、消費税増税を、ランプサム方式で家計に還付、失業給付の拡充、他の税の減税と、3種類の分析を行っている点である。本稿で明らかになった点は以下のとおりである。例えば、増税した消費税を利子所得税の減税に充てる政策は、失業率を低下させる。増税した消費税を法人税減税に充てる政策は、失業率を変化させない。さらに重要な点として、すべての場合で、消費税増税は家計の労働供給を引き下げる。

東日本大震災が日本の輸出に与えた影響―貿易の外延と内延の分解による分析東日本大震災が日本の輸出に与えた影響―貿易の外延と内延の分解による分析
補論:東日本大震災が日本の輸出に与えた影響―貿易の外延と内延の分解による分析補論:東日本大震災が日本の輸出に与えた影響―貿易の外延と内延の分解による分析
桑波田 浩之

本稿はKehoe and Ruhl (2013) の分析手法を用いて、東日本大震災における輸出減少を外延(extensive margin)と内延(intensive margin)に分解し、その要因を分析した。その結果、震災後の輸出減少は、少額の輸出品目の変化である外延ではなく、輸出額の大きな品目の変化である内延によって説明された。例えば、震災直後の2011年4月、日本全体の外延は前年同月比9%増加したが、内延は15%減少した。さらに、減少率が大きかった品目は、最終財の自動車を中心に、製造工程においてサプライチェーンが重要な役割を果たす製造業の品目に集中していた。

成果評価基準における正確性について―フィギュアスケートにおける主観的評価の検証成果評価基準における正確性について―フィギュアスケートにおける主観的評価の検証
データ概要:成果評価基準における正確性についてデータ概要:成果評価基準における正確性について
行武 憲史  藤野 玲於奈

成果主義の導入が進む中、評価の正確性の重要度は増している。本研究では、人事評価で重視される主観的評価におけるバイアスの存在について、フィギュアスケートの採点データを用いて検証した。より主観的な評価指標である演技構成点と、より客観的な評価指標である技術点のそれぞれについて、滑走グループ間における得点差の有無をRDD(回帰不連続デザイン:Regression Discontinuity Design)により分析した。その結果、能力差を考慮しても、構成点ではグループ間の差が確認され、一方で技術点では確認されなかった。これは、構成点という主観的評価指標には、審判の選手に対する期待によるバイアスが含まれることを示している。

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