
毎週初めに日本経済研究センターの、前田昌孝・主任研究員ら、景気および金融証券マーケットのウオッチャーが、焦点、勘どころを解説します。
株式相場、技術指標は買いシグナル示すが…−−12年5月14日
主任研究員 前田昌孝

日経平均株価は先週末、心理的な節目の9000円を下回り、日銀が追加的な金融緩和を決めた2月14日の水準まで逆戻りした。ギリシャの再選挙の可能性が高まるなど欧州情勢の混迷が株安の主因だが、金融大手JPモルガン・チェースの巨額損失計上も金融規制の強化論につながるため、世界の株式相場には重荷だ。景気回復期待の後退から原油が4カ月半ぶりの安値を付けるなど、商品からもリスクマネーは逃げ出しつつある。
上場企業が決算発表時に打ち出した2013年3月期の業績見通しは20%強の経常増益となっている。一見プラス材料だが、パナソニックやソニーなど前期の大幅赤字企業が黒字転換を見込んだためでもあり、その実現可能性も含めて評価が難しい。過去17年間の経験則では期中に予想利益が下方修正された年には、必ず日経平均が年間で下落している。大幅増益を「公約」した企業は、目標実現に向けて強い意志と決断力が問われる。
3月27日から1カ月半で日経平均が12.7%も下落したため、中長期投資の観点からは割安銘柄も増えている。騰落レシオが66%台と売られすぎの目安とされる70%を下回るなど、技術指標は買いシグナルを出している。18日から中国が預金準備率を引き下げることも、市場に一定の安心感を与えると思われる。ただ、国内は買い手が少なく、海外の投資家のリスク回避姿勢が急に薄れるほどの好材料が見当たらないのも確かだ。
金融政策と為替相場に関する頭の体操−−12年5月14日
主任研究員 愛宕伸康
5月6日、フランスでは政権が交代し、ギリシャでは連立与党が過半数割れとなった。その後、ギリシャでの新しい連立政権樹立に向けた調整が難航していることもあって、市場では再びリスク回避の動きが強まっている。これを受けてユーロはドルに対し3カ月ぶりの安値まで売られ、ドイツ国債の利回りは過去最低を更新している。
日本では、再び円相場が79円台の円高水準に戻ったことを受けて、日銀に次の一手を期待する声が聞かれている。為替は日銀の管轄外だが、これまでの金融政策のトラックレコードがそうした市場の期待につながっている。
フランスでの政権交代もギリシャ連立与党の敗北も、痛みを伴う緊縮財政への国民の抵抗を映したものだ。日本でも消費税率引き上げに対する抵抗は強いし、円高についてもことさら痛みの方が強調される。それなら、いっそのこと為替変動を無くすような金融政策にしてしまってはどうか。
例えば、円相場は2年国債の日米利回り格差と連動している。その関係と、政策金利と2年国債利回りとの関係を利用して、「米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを開始した2004年6月以降、もし日銀がそれと同じような金利政策をとっていたら、現在の円相場がいくらになっていたか」を試算することができる。答えは90円から90円の間。もちろん07年当時の円安もなくなる。これを見る限り、景気拡大期には主要国並みに利上げをした方が良さそうだが、今度は利上げに伴う痛みが声高に叫ばれるのだろうか。
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