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CO2 CO2 考える

 当センターは2010年度から温暖化防止と経済成長の両立を可能にする経済・産業政策とは何か、経済学的な分析を中心に技術的な可能性を含めて検証します。政府の目標である2020年までに90年比で温暖化ガスを25%削減する場合の社会への影響を試算しつつ、具体的な政策を提案していきます。(研究本部 猿山純夫小林辰男

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トピックス

◆読むゼミ「もっと効率的な温暖化ガスの削減が可能―欧州の温暖化防止策を検証」(11/03/02)
   独オルデンブルク大学教授・クリストフ・ボーリンガー氏講演(2月16日開催)  
@今後、CO2排出量は激増する可能性が高い。特に途上国は人口増加も伴い、省エネルギーが進んでも今世紀後半まで増加基調が続く。それでも、現在の排出量が少ないため、先進国の水準には、今世紀末でも達しない。
A温暖化防止で国際協調ができない背景には、防止対策の利益を「ただ乗り」でき、しかも短期的には負担の方が大きいことがある。
B省エネルギーや再生可能エネルギーの目標を設定し、削減を目指すよりも排出量取引で市場の原理を活用することが最も効率的な削減を実現できる。欧州連合(EU)の政策は改善の余地がある。
C2050年までに世界で温暖化ガスの排出量を半減するために、各国で排出削減目標を設定するのではなく、1人当たり排出量を同一にすることを目指すべきである。

温暖化対策怠れば、年8兆円が海外流出―省エネ・省資源は持続可能な成長にも(11/03/01)
小林辰男・主任研究員
 当センターは1月初めに環境と経済の両立を目指す環境戦略を提言した。温暖化防止対策は経済成長の足かせとなり、産業の国際競争力に悪影響を及ぼすとの考えが根強いが、対策を実施しなければ経済成長にマイナスはないのか。実は省エネ・省資源、脱化石燃料に結びつく温暖化対策を実施しないと、資源制約(環境制約)の壁に当たる恐れがある。原油価格などの高騰から年間8兆円規模で富が産油国などへ流出する可能性も否定できない。持続可能な成長の実現には温暖化対策は不可欠だろう。

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専門家に学ぶ

◆グリーン成長につながる排出量取引制度作り−排出権価格の緩やかな上昇、削減に必要
   ―国際協力銀行環境ビジネス支援室長・本郷尚氏(11/01/25)
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◆最先端技術の世界普及で、グリーン成長を
   ―浦野光人氏、小林光氏、鈴木達治郎氏(10/12/02)
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◆デンマークがグリーン成長で成功した秘訣−50年先見据えた国づくりを
   ―デンマーク大使館・中島健祐氏(10/10/07)
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研究リポートを読む

クルマ偏重の現行エネルギー税―環境税で産業・民生のCO削減を(11/02/01)
 猿山純夫・主任研究員

◆【寄稿】COP16、交渉の現場から
削減案拒否で国際批判か、議定書延長で国内反発か
―今年は温暖化防止交渉の決着のとき、このままでは孤立感深まる日本
(11/01/07)
日本経済新聞社パリ支局 古谷茂久記者

CO、15%削減への道筋見えず―国内外の削減対策が暗礁に(10/12/27)
小林辰男・主任研究員


研究員のつぶやき

  産油国が漁夫の利? (10/12/03)
  小林辰男・主任研究員

 CO2排出を減らすには価格をつけて何らかの形で課税すればいい。浦野氏、小林氏、鈴木氏の間で、対策への理解は一致している。要はやり方の問題だけだ(読むゼミ参照)。環境税の税収を全額減税や年金などに回せば、個別産業、地域はともかく経済全体への影響は大幅に緩和される。
 国際エネルギー機関(IEA)は、世界が温暖化対策を採らず成長を続けると2035年に原油価格は3倍になるという。産油国に富が吸い上げられるわけだ。しかし2050年に温暖化ガス半減を実現する対策を採れば、2倍程度に収まるという。
 現実には環境税など温暖化対策への拒否感は強い。「石油ショックは(国内外の全員が価格高騰に直面し)仕方ないが、本当は税収中立でも環境税には反対」との声を産業界から聞く。産業構造転換をもたらし、国内で勝者敗者が出るからだ。「隣の芝生が青くなる」のは嫌だが、「アラブの王様の芝生が青くなる」のは我慢できるということだ。このままでは、産油国が「漁夫の利」を得る可能性が高い。
 現在、国内で生産している最先端の鉄鋼や化学製品なども21世紀半ばには中国や新興国に生産の中心が移っているだろう。政府が新成長戦略の大黒柱にグリーン成長を据えるならば官民の力を結集し、中長期の産業構造転換に向けた税制や規制の改革、環境技術の海外普及を後押しする国際的な枠組み作りが必要ではないか。産業界と政府がいつまでも対立を続けていても、何も進まない気がするのだが……。


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