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8月11日発表:4-6月期実質成長はマイナス1.55%―消費者物価も下方修正

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2015年8月調査を公表しました。

@4-6月期はマイナス成長―15年度実質成長率も大幅低下。
 前月までプラス成長で推移していた4-6月期の実質成長率がマイナスになった。季調済み前期比年率で▲1.55%。前月予測に比べ2.27%ポイントもの下方修正だ。1-3月期に3.93%もの高成長を示し、“消費増税不況”から抜けた、と思われていた判断が狂ってきた。


 四半期の前期比成長率から年度成長率を求める簡便式は
 【ゲタ】+【4-6月前期比】+3/4×【7-9月前期比】+2/4×【10-12月前期比】+1/4×【1-3月前期比】
になる。ゲタは0.71%だから、4-6月の前期比が▲0.38%なので、仮に7-9月期以降がゼロ成長だとすると、今年度の実質成長率は0.33%で終わる。仮に7-9月期以降前期比0.5%(年率2%)で推移したとすると、0.33%+6/4×0.5%だから、1.08%にしかならない。
 実際、今月調査の15年度実質成長率は1.21%だった。前月調査に比べ0.45%ものマイナス修正になっている。


A15年度予測“崩壊”の元凶は輸出に。
 15年度の4-6月期さらには年度平均と実質成長率予測は“崩壊”と呼べるような大幅下方修正になった。この元凶は輸出にある。
 まず、短期―。


 前回の7月調査と比べてみると、実質輸出等の予測値は▲3.24%で前月予測より3.14%ポイントもマイナス幅が広がった。
 次に年度―。


 今月調査の予測値は2.87%増。7月調査は5.73%増だった。1カ月で2.86%もの大幅下方修正になった。
 アベノミクスがスタートした13年度は「円安なのに輸出が増えない」とさんざん言われた。それが14年度で8.0%増を記録、「期待通り輸出が出てきた」「Jカーブは生きていた」と前向きな評価に変わった。
 それが再び“ダメ輸出”に逆戻りした。
 背景にあるのは世界経済環境の悪化だ。加えて日本製品をめぐる相次ぐトラブルも原因かもしれない。輸出戦略の再検討が迫られている。

B15年度実質民間住宅投資の上方修正が続く。
 15年度の住宅投資は、15年4月調査の0.32%から4カ月連続の上方修正となり、今月調査では2.54%と2%を超える伸び率となった。


 かねて、相続税対策から貸家の好調さが伝えられていたが、足もとでは、省エネ住宅ポイント制度や贈与税の非課税枠の拡大などを背景に持ち家増加のニュースが多く、こうした動向が予測値に反映されている模様だ。
 民間住宅投資は13年度に消費増税を控えた駆け込みで需要が膨らんだが、14年度は一転、実質11.7%減になった。この反動減からようやく立ち直ったようだ。

C消費者物価予測も下方修正。
 消費者物価予測は、聞き取りを行っている15〜17年度の全てにおいて、前月調査から下方修正となった。膠着状態が続いていたが、足もとで再び弱含んでいる原油価格の動向が消費者物価予測に織り込まれたとみられる。


 消費者物価上昇率2%の達成が可能かどうかを聞いている特別調査の回答は「はい」(できる)が19名、「いいえ」(できない)が20名となり、前月調査から変化なし。ただし、達成可能という回答のうち、2016年度中の達成は前月から1名減り4名になっており、2016年度前半頃とする日銀の目標達成は、きわめて厳しい情勢が続いている。

D持ち合うマーケット予測。
 最大の懸念であったギリシャ情勢は、財政改革法案の可決でひとまずは沈静化。マーケット関連指標の予測も前月から大きな変化はなかった。
 ギリシャの動向や中国経済の先行きといった海外の動向に加え、国内の景気見通しの悪化が新たなリスク要因。決算の発表も控え、引き続きマーケットの動向が注目される。



 為替レートを横軸、日経平均株価を縦軸にとって予測機関ごとに散布図を描いてみた。フォーキャスターごとにばらつきはあるものの、概ね右上がりの相関関係がみてとれる。散布図は円相場と株価に対するフォーキャスターの考え方を反映したものだが、背後にあるのがアベノミクスの“第1の矢”だ。いくぶん神通力が弱まってきているようにもみえる昨今、真価が問われるのはこれからだ。

E15年度鉱工業生産も大幅低下。
 3%近い伸び率で推移していた15年度の鉱工業生産予測が1%台前半まで落ちこんだ。下方修正は5カ月連続となり、前月調査で1%ポイント近く修正された予測値は、今月調査も低下に歯止めがかからなかった。4-6月期の実績値が公表され、前月調査時の▲0.94%の予測を大きく下回る、▲1.5%となったことが影響している。1-3月期の実績が公表された時点では4-6月期の前期比を0.64%と予測していたため、消費や輸出などを中心に足もとの経済情勢が想定よりも大幅に悪化してきていることがうかがえる。


Fことしのユーロ圏実質成長は少し上がる。
 春から夏にかけて気をもんだギリシャ問題は小康状態に入った。これを反映して今月の15年ユーロ圏実質成長率は1.38%と7月調査から0.02%ポイントとわずかだが上がった。
 だが、ギリシャ問題の帰趨はこれからだ。チプラス首相が国民投票の結果とは逆にEUと約束を交わした緊縮策がワークするのかどうか。ギリシャの構造改革が進まないとなると、PIIGS(ポルトガル・アイルランド・イタリア・ギリシャ・スペイン)と言われた時代の悪夢がよみがえる。


 
(文責:池田吉紀・舘祐太)

調査結果

2013年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2015年 9月調査 9月 7日
2015年10月調査10月 8日

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。