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ESPフォーキャスト調査

1〜3月期年率0.56%、17年度は1.8%成長−先行きは保護主義のリスク上昇−

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2018年4月調査を公表しました(2018年4月10日)


 2018年1〜3月期の実質GDP成長率は2カ月連続で下方修正された。設備投資や輸出の下振れなどが主因である。18年度は1.3%と前月調査並みだった。為替レートの円高予想が増え、18年度平均は108.55円と、1月調査と比べて5.5円切り上がった。しかし、その状況下でも輸出は5%弱の伸びが予想されている。
 向こう半年から1年先にかけて景気のリスクとなる要因を聞いたところ、トップは引き続き円高だったが、保護主義の蔓延、国内政治リスクの急増が目を引いた。その他に、米国の金融政策の行方、トランプ米大統領の経済政策の中期的な影響なども尋ねた。

@ 1〜3月期は0.56%に下方修正
 18年1〜3月期は設備投資や外需の下振れなどから前期比年率0.56%増と前月調査の同0.71%から、さらに下方修正された(図表1)。


 その他の需要項目の1〜3月期の動きについても、住宅投資、在庫変動、公共投資が成長にマイナスに寄与したとみるフォーキャスターが多い(図表2)。


A 17年度1.8%は政府見通しも超える上振れ、18年度は1.3%成長
 17年度の実質成長率実績見込みは1.8%と前月調査比横ばいだった。1年前の17年4月調査では1.3%成長が見込まれていたため、それと比べると0.5%の上振れだ。その内訳は内需が0.4ポイント、外需が0.1ポイントである。内需では公共投資が下方修正されたのに対して、投資、消費など民需全般が上方修正された。政府見通し(17年1月閣議決定)は1.5%だったから、今回調査の予測値は、民間よりも楽観的だった政府見通しをも上回ったことになる。
 4月調査での18年度の実質成長率予測は、前月調査比ほぼ横ばいの1.3%だった。ここ数カ月の予測の推移を振り返ってみると(図表3)、設備投資、輸出の上方修正、公共投資のマイナス幅の縮小が眼につく。民間消費は低迷している。政府見通し(18年1月閣議決定)は1.8%と、17年度と同じく民間平均を上回っており、今後、円高が予想される状況においても、予測値が上振れしていくかどうかが注目される。


B 円高進むも輸出は横ばい
 今回調査でも為替レート見通しで円高シフトが進んだ。18年度平均は、1月調査の114.02円から4月調査の108.55円まで、5.5円程度3カ月連続で円高方向に進んだ。4月の日銀短観においても、大企業製造業の18年度の想定レートは109.66円と110円を切っている。
 このような中で輸出見通しはどうか。依然として18年度の実質輸出等は5%近い増加予想となっており(図表4)、さほど円高の影響を受けていないように見える。背景には海外経済が堅調という予想があるのだろう。円高に米国の保護主義的な動きも加わり、景気に大きな影響を与える輸出の先行きが注目される。


C 雇用逼迫・原油価格上振れ続くも、物価・賃金は弱含み
 失業率予測は、18年度2.6%、19年度2.5%となった。19年度は年度ベースでは25年ぶりの2.5%が予想されている。また、原油価格予測は7カ月連続上昇し1バレル62.04ドルとなった。ボトムの昨年9月と比較すると10.6ドル(21%)の上昇だ。それにもかかわらず、18、19年度の名目賃金上昇率は0.86%(前月調査並み)、0.94%(前月調査0.95%)、消費者物価上昇率は0.94%(前月調査並み)、0.89%(前月調査0.92%)と弱含みだ。

D 景気リスクのトップは引き続き円高、保護主義・国内政治リスク急増
 半年から1年先にかけて景気を反転させる可能性のある要因について、3つまで挙げてもらった(図表5)。また、今回の調査では、その項目をリスクとして挙げた理由も可能であれば書いてもらった。


 トップは円高で、前回の2月調査と変わらないが、回答者の中で挙げる人の割合は72.5%と、2月調査の63.2%から上昇した。その後の順位は大きく入れ替わった。
 第2位から第4位は保護主義の高まり(回答者の50.0%)、中国景気の悪化(同40.0%)、米国景気の悪化(同32.5%)と、海外動向に関するリスクが続く。これらについては、米国と中国の間の貿易摩擦が激化した場合、貿易の停滞を通じて世界経済が悪化し、日本経済にも、円高、株安、設備投資や輸出の減少などの形で影響する可能性が指摘されている。全面的な貿易戦争が回避されるとしても、不確実性の上昇自体が設備投資等を抑制するという回答もあった。中国については、対米摩擦のほかに、信用バブルの崩壊が金融危機を招くリスクなども指摘された。
 第5位は、IT部門の悪化、国内政治の不安定化、国際関係の緊張や軍事衝突の3項目が並んだ(回答者の17.5%)。2月調査と比べて大きく動いたのは、IT以外の2項目で、国際関係の緊張や軍事衝突(2月調査では回答者の52.6%)が減少した一方、国内政治の不安定化(同2.6%)が増加した。アベノミクスの失速や政権の退陣により、円高、株安に振れるリスクが指摘された。
 2月調査で26.3%の回答者が挙げていた原油価格の上昇によるリスクは、大きく低下した。

E 米国 18年2回利上げ予想が6割超、19年は分散
 18年の利上げの回数については、4月調査では「あと2回」との予想割合が63%と、前月調査の「あと3回」(59%)より高まり、「あと3回」との予想も増えた(前月調査12名(29%)→今月14名(35%))(18年末回答者40名)。
 また、19年については、前月調査同様に2回(44%)が最も多かったものの、3回(23%)と1回(15%)、4回と0回(各8%)などにも分散した(19年末回答者39名)。

F 保護主義的通商政策発動後、米成長低下予想がやや増加
 上述のD景気のリスクでは、トランプ米政権の保護主義的な政策スタンスに端を発するリスクの増大が示されたが、米国の経済政策は成長率にどう影響するだろうか。大統領就任直前の経済政策が続いていた場合を基準として、2021年頃に向けた見通しを尋ねた。米国が鉄鋼・アルミ輸入制限について発表する前に実施した2018年2月調査でも同様の調査を行っており、図表6はその時の回答と比較したものだ。


 「高まる」と「やや高まる」という回答を合わせた「高まる」という回答が最も多い(回答者の59.0%)のは、2月調査(同63.2%)と同じである。「低くなる」と「やや低くなる」を合わせた「低くなる」という回答者の割合は、2月調査の23.7%から28.2%と上昇した。その分「変わらない」という回答が減少している。
 その理由をみると、「高まる」とみる回答者全員が法人税引き下げを挙げたのは2月調査と同様だ。ただ、インフラ投資を挙げる回答者は増加した。一方、規制緩和や株高を理由とする回答者の割合はやや減少した。
 「低くなる」理由として、保護主義による貿易の鈍化、財政拡大の反動を挙げる者が、2月調査よりも増加した。

(門多治・伊藤由樹子)

調査結果

2016年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2018年5月調査 05月14日
2018年6月調査 06月18日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。