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ESPフォーキャスト調査

16年度実質成長率は0.68%――増税延期で17年度は0.95%に好転

2016年6月調査を公表しました。

 政府の消費増税再延期表明を受け、景気見通しが大きく変わった。増税延期を織り込んだ39人(機関)のエコノミスト予測を集計したところ、実質成長率見通しは2016年度が0.68%、17年度が0.95%となった。駆け込み需要が消える16年度は前月調査に比べ0.18ポイント低下、逆に17年度は反動減と負担増がなくなったことで0.95ポイント高まった。
 増税先送りで目先の景気安定は見込みやすくなったが、長期的な見通しはむしろ慎重になっている。年に2回調査している長期予測では、2018年度から22年度までの5年間は昨年12月調査比0.2ポイント低下した。

@消費増税再延期で変わる16・17年度経済
 16年度末にかけて駆け込み需要が増え、17年度入りとともに反動減で成長率は大きく落ち込む――。来年4月の消費増税を前提に描いてきた景気見通しのデコボコが、今回の調査では姿を消した。
 年度見通しを前月調査と比べると、内需項目が揃って16年度は下方、17年度は上方修正となった。特に17年度の修正が大きい。増税がある場合には、駆け込みで前年の需要が膨らみ、当年に反動減が出るため、前年比伸び率の揺れが増幅。これに増税による実質購買力の低下が加わる。17年度の上方修正が大きいのは、これらが取り除かれるためだ。


 項目別にみると、消費の見通しは前年比▲1.0%から+0.8%と好転した。これだけで成長率見通しを1.0%押し上げる計算だ。住宅投資も▲4.3%からほぼ横ばいへと変わった。通常、投資は非課税だが、非課税事業者が駆け込む場合や、全体の景気からの波及効果もあり、設備投資も連動して見通しが改善した。
 一方、消費税とは直接関係がないはずの輸出が、16年度、17年度見通しとも悪化しており、世界経済への警戒感が消えていないことをうかがわせる。


A長期予測は成長・物価ともに下方修正
 今月は年2回の長期予測月に当たる。消費増税の扱いが揺れる中での長期予測となった。17年度までは毎月予測しているので18年度以降を5年刻みで実質成長率と消費者物価上昇率の年平均値を答える仕組みになっている。
 18〜22年度を前期5年、23〜27年度を後期5年とすると、前回の15年12月予測(前期が17〜21年度、後期が22〜26年度)に比べ、前・後期とも、実質成長率で0.2ポイント、消費者物価上昇率(消費増税込み)で0.4ポイント下方修正になっている。消費増税の影響を除いたベースでは、前期で0.3ポイント、後期で0.4ポイントの下方修正になっている。


 焦点の消費増税については、多くのフォーキャスターは今回安倍首相が約束した19年10月からの2%引き上げを織り込んでいる。しかし、個別フォーキャスターごとにつぶさにみると、6名は19年10月も消費増税はできない、と判断している。
 今月のESPフォーキャスト調査は17年4月からの消費増税延期を前提にした39名の人たちの予測だけを集計している。しかし、内心忸怩たるものがあるのではないか。というのは、うち21名は延期すべきではない、と答えているからだ。
 将来の社会保障とこの財源の手当をどう描くのか、改めて大きな課題になっている。

B4〜6月期予測さらに低下、0.12%成長に――消費・輸出の足取り重く
 16年4〜6月期の実質成長率予測は4カ月連続で下方修正となり、6月調査では前期比0.12%まで低下した。消費、設備投資、輸出がともに下方修正となったが、なかでも消費は▲0.06%とゼロを下回った。所得環境のベースとなる所定内給与の16年度予測は、前月の0.4%から0.5%とわずかに上昇したが、まだ弱い状況だ。
 前月からの変化では、輸出の下振れも目立つ。16年度、17年度ともより慎重な見方に傾いている。


C消費者物価予測の下方修正に下げ止まりの気配
 14年6月時点の四半期別消費者物価上昇率予測を出発点に今月の予測まで、半年ごとに予測値をグラフにしてみた。
 2年前の予測は14年4〜6月が前年比1.27%上昇の予測だった。消費税を3%増税した最初の四半期で1.27%は増税の影響を除いた数字だ。当時の四半期予測は予測期間全体で1%を上回っていた。
 それ以降、足元の上昇率がどんどん落ちてくる。今月調査でも16年4〜6月は▲0.30%で前月調査から0.09ポイントの下方修正だ。ただ、先高の予測パターンは終始変わらず、四半期予測線は右上がりになっている。その予測線が時の経過とともにどんどん落ちてくる。


 さて、この落下が今月調査あたりで止まるかどうかだ。まず、足を引っ張っていた原油価格。今月調査では16暦年のWTIは43.53ドルになった。前月調査を3.76ドル上回っている。17年にかけて右上がり予測になっている。
 次は輸入物価に影響を与える円相場。こちらは円高リスクを抱えたままだが、16年度の予測値は前月とほとんど変わらない110円台だ。17年度では若干の円安予測になっている。
 消費者物価を取り巻く環境は落ち着きを取り戻しているようにみえる。

D米利上げは慎重論が一服
 16年末の米政策金利(FFレート)の見通しは、前月から横ばいとなり、年初から強まってきた利上げに対する慎重論が、ひとまず一服となった。米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長が5月末の講演で、米国の成長・物価に対する楽観的な見通しを示し、近く追加利上げに踏み切ることを示唆したことが背景とみられる。
 ただし、今回調査の締め切り後に公表された5月の雇用統計では、雇用者数の伸びが予想を大幅に下回った。これにより早期利上げはいったん遠のく可能性がありそうだ。
 年末のレンジに対するフォーキャスターの回答は、「0.5〜0.75%」と「0.75%〜1.0%」がほぼ同数(17人と15人)で、現在の誘導目標「0.25〜0.5%」を基準にすると、年内の利上げは1回か2回という見通しだ。


(担当:門多治・猿山純夫・池田吉紀)

調査結果

2014年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2016年 7月調査 7月11日
2016年 8月調査 8月09日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。