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ESPフォーキャスト調査

17年10〜12月期は年率0.94%成長 −米景気拡大、最長更新も−

2018年2月調査を公表しました(2018年2月8日)


 消費は依然弱いが、輸出と設備投資が伸びて年率0.9%成長に----。民間エコノミストが見込む10〜12月期実質GDP成長の姿だ。この推計値は前月調査から0.1%上方修正となった。2017〜18年度の実質成長率予測も、さらに上方修正され明るさを増している。一方、就任1年を経過したトランプ米大統領の政策が2021年頃の米国成長率にどう響くかを聞いたところ、「高くなる」「やや高まる」が24名と6割以上を占め、その評価は昨年5月調査(「高まる」と「低くなる」がほぼ拮抗)と比較して増加した。2カ月ぶりに聞いた「景気のリスク」でも「米国景気リスク」は低下し、「円高リスク」が「中国景気リスク」を上回って首位となった。また、米国景気の転換時期について調査したところ、8割強のフォーキャスターが過去最長の120カ月を超えると回答した。
 その他に、内外政策金利見通し、中国景気などについても調査した。

@ 17年10〜12月期予測は上方修正――輸出・設備投資・消費が上振れ
 直近の10〜12月期の成長は前月調査の0.83%から0.94%に上方修正された(前期比年率)。輸出、民間設備投資、民間消費と主要需要項目が上振れした(図表1)。住宅投資、在庫変動、公共投資は下押し要因だった。鉱工業生産(速報実績)は前期比1.8%増と勢いがつき、在庫循環図を描いてみると在庫積み増しも進んだ(図表2)。



A 18年度1.3%、19年度0.8%成長――小幅上方修正
 2月調査では、18年度の実質成長率予測は3カ月連続上方修正され1.29%となった。輸出(6カ月連続)、設備投資(3カ月連続)に加えて消費が上方修正された。図表3では、半年前の8月調査との比較を行っている。円相場が小幅円高方向に修正されるなかで輸出の上方修正が目立つ。内外需別には内需で1.2%(民需が1.0%)、外需が0.1%を稼ぐ内需主導の形だ。
 なお、17年度の成長率も1.89%と4カ月連続で上方修正された。これにも輸出、設備投資と消費が寄与している。19年度は0.78%だった。
 景気の転換点の設問では、回答のあったフォーキャスター38名全員が、12年11月の谷以降まだ山を過ぎていないとみている。彼らが「今後1年以内に転換点(山)を迎える」と予想する確率は23.8%と、前月調査比0.3%低下した(5カ月連続低下)。


B いつまで続く輸出の増勢
 18年度の実質輸出等は 2月調査では6カ月連続で上方修正され、前年比4.3%増となった(図表4)。19年度も2.9%増とフォーキャスターはみている。



 輸出数量の変動要因として、相対価格要因(日本からの輸出価格が相対的に下がれば日本からの輸出が増える)と所得要因(相手国の所得が増えて日本からの輸出が増える)について分けて考えてみよう。
 相対価格に円レートは影響するが、フォーキャスターの見通しは5カ月ぶりに反転し、円高方向に振れた(図表4)。1月調査の114.02円から112.37円へ1.65円(1.4%程度)の円高だ(18年度平均)。それでも輸出見通しは、円安見通しが進んでいたこれまでよりも上振れしている。
 一方、所得要因をみると、国際通貨基金(IMF)は年初の改定世界経済見通しで、18年の実質成長率を0.2%上方修正(昨年10月対比)して3.9%とした。17年の世界貿易量の所得弾性値は1.2(=貿易増加率4.5%/成長率3.6%)と1を上回るまで回復し、スロートレードを脱却したかのようだ。
 相対価格要因よりも所得要因の方が強く、輸出の増勢は続くとみてよいのかもしれない。

C 米景気拡大期間の最長更新見込む――利上げ予想はさらに分散
 米国の景気拡大の転換時期について初めて調査した。2020年第4四半期以降との回答が15名と、回答者の4割に上った。米国の過去最長の景気拡大期間である120カ月(91年3月〜01年3月までの10年間)を優に超えるとの回答だ。ちなみに、最長更新(121カ月目)を達成することになる時期は19年7月であり、その実現を31名(8割強)が予想している。
 18年の米利上げについては、今回調査では3回以上が5名増え(前月調査21名→今月26名)、1〜2回の利上げ予想が7名減った(同20名→17名)。また、19年末には、1月調査よりも6名多い20名がFF誘導水準「2.5%以上〜2.75%未満」を予想する一方で、「1.25%以上〜1.5%未満」を予想するフォーキャスターも出るなど、さらに分散した。

D 景気のリスク――原油高・円高懸念が増加
 半年から1年先にかけて景気を反転させる可能性のある要因について、3つまで挙げてもらった(図表5)。
 トップが前回の12月調査と入れ替わり、第1位が円高、第2位が中国景気の悪化となった。前回調査と比べると円高については、挙げる回答者の割合は53%から63%に上昇、中国景気は73%から55%へ低下した。これは、年初以降円高が進行したこと、2017年の中国の実質経済成長率が好調だったことを反映しているのだろう。
 第3位と第4位には、前回調査と変わらず、国際関係の緊張や軍事衝突、米国景気の悪化が続いた。前者は回答者の53%が挙げたが、米国景気については回答者の34%と減少した。
 その他の項目については、それぞれ挙げた人は回答者の3割以下にとどまる。しかし、原油価格の上昇とIT部門の悪化、株安は、いずれもリスク要因とみなすフォーキャスターが、前回調査よりも増加した。


E トランプ政策の影響―2021年頃に向け成長促進
 トランプ大統領の経済政策は、米国経済の成長率にどう影響するか。大統領就任直前の経済政策が続いていた場合を基準として、2021年頃に向けた見通しを尋ねた。2017年5月調査でも同様の調査を行っており、図表6はその時の回答と比較したものだ。ただし、予測対象期間を、今回の「2021年頃に向けて」に対し、前回調査では「3〜4年先にかけて」としていた。
 前回調査と比べて大きく変わったのは、成長率が「高まる」という見方が大幅に増えたことだ。図表6では、「高まる」「やや高まる」という回答を合わせて「高まる」、「低くなる」と「やや低くなる」を合わせて「低くなる」として示している。回答者の63%が「高まる」と答え、「低くなる」という回答は24%である。前回調査と比べて、「高まる」が27%ポイント増加、「低くなる」と「変わらない」がそれぞれ7%ポイント、11%ポイント低下したことになる。
 「高まる」とみる回答者全員が、その理由として、法人税引き下げなどが決まったことを挙げた。続いてインフラ投資が増えそうなこと(「高まる」という回答者の58%)、株高(同33%)、規制緩和が進みそうなこと(同29%)が理由として続く。
 一方、「低くなる」とみる理由は、インフレや金利高が最も多く(「低くなる」という回答者の78%)、保護主義で貿易が鈍化すること(同67%)、財政拡大の反動(同56%)という順番だ。
 前回調査と比較すると、「高まる」理由として、法人税引き下げと株高が増加し、規制緩和とインフラ投資が減少した。「低くなる」理由のなかでは、インフレや金利高、財政拡大の反動、地政学リスクが増加し、移民排斥やドル高が減少した。大統領就任から1年が経過して政策の方向性がより明確になってきたことや、金融政策正常化の動き、国際関係の変化を反映した結果となった。


F 中国PMIは足元上方修正も先行き低下
 製造業PMI(購買担当者景気指数)の動向は、2018年7〜9月期までは11月調査と比較して上方修正となったが、10〜12月以降は下方修正となった。図表7は、製造業PMIの見通しについて「上昇」「横ばい」「下降」のいずれかで答えてもらい、「上昇」には100、「横ばい」には50、「下降」には0を与えて回答数で加重平均した数値を示している。2018年1〜3月期の92.9から、2019年4〜6月期の52.9まで低下が続く。
 1月に公表された中国の2017年の実質経済成長率は6.9%と政府目標を上回ったうえ、前年よりも高まった。また、本調査の景気のリスク要因(半年先から1年先)に関する質問では、中国景気の悪化を挙げるフォーキャスターの割合は55%と、12月調査の73%から低下していた。足元では楽観となった(上述D)が、先行きどうなるか、引き続き注目される。


(門多治・伊藤由樹子)

調査結果

2016年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2018年3月調査 03月19日
2018年4月調査 04月10日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。