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ESPフォーキャスト調査

1月13日発表:新年度日本経済は15年度より全般的に改善―17年度は実質0.06%成長に

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2016年1月調査を公表しました。

@16年度は緩やかに回復
 1月調査で16年度の実質成長率は1.44%になった。前月の12月調査に比べると0.07%ポイントの下方修正だが、15年度の1.05%と比べると、0.39%ポイント上回っている。消費増税で停滞した14年度のマイナス成長を抜けてようやく少し安定感のある経済を迎えられそうだ。


 しかし、ESPFの予測は、政府経済見通しと比べると全体的に低い。実質成長率は政府見通しの1.7%に対しESPFは1.44%と0.3%ポイント低い。輸出が拮抗しているのを除けば、消費、設備投資と内需は政府見通しをかなり下回っている。消費者物価の見通しも政府の1.2%に対し、0.4%ポイント程度下回っている。


A波乱含みの17年度経済
 17年度は一転、波乱含みの展開になる。
 ESPFはこの1月調査から本格的に17年度経済を予測することになる。15年12月調査でも17年度を聞いていたが、実質成長率と消費者物価だけだった。GDP関連の需要項目や海外を含めたフル予測は今月からスタートする。


 最大の難関は消費増税2%をしのげるかどうかだ。3%増税のあった14年度の実質成長はマイナス1%に沈んだ。2%増税を前提にした17年度は0.06%と曲がりなりにもプラス成長の予測になっている。
 だが、16年度予測と比べると実質成長率は1.4%ポイント下回る。消費は2.7%、設備投資は2.1%低くなっている。
 こうした中で消費者物価は増税の影響を除いたベースで1.13%上がる姿になっている。日銀の物価目標である2%はまだ遠いがデフレ脱却を予感させる伸び率だ。

B15年10-12月期実質成長率は下方修正
 15年10-12月期の実質成長率(前期比年率)は0.63%と先月の1.31%から下方修正となった。7-9月期の2次QEで実質成長率が▲0.8%から1.0%へと大幅に上方修正されたことで前期の水準が押し上げられ、伸び率でみると10-12月期の下方修正幅が大きくなった可能性がある。
 内訳では、消費の下方修正が続いている。暖冬の影響で、冬物関連の消費の低迷が報じられているが、年末・年始商戦の結果も含め、引き続き、動向が注目される。


C消費者物価はなだらかな上昇軌道へ
 消費者物価も聞き取りを行っている全ての年度で下方修正になった。原油価格の軟調が依然として物価の足を引っ張っている。消費者物価上昇率2%の達成が可能かどうかを聞いている特別調査の回答は「はい」(できる)が17名、「いいえ」(できない)が22名だった。前月調査と比べて人数に変化はないが、達成可能時期は、2018年1-3月以降との回答が16名に増え、後ずれしている。


 予測の変化という意味では下方修正だが、予測値は着実に高まっている。17年度の消費増税の影響を除いた1.13%の上昇は08年度(1.2%)以来の高い伸びとなる。


D17年末マネタリーベースは512兆円
 今回本格的に17年度予測を始めるに当たって予測の前提条件となる17年末のマネタリーベースを聞いた。
 回答者34名の平均は512兆円になった。12月調査の16年末マネタリーベース予測は437兆円だったので、さらに1年で75兆円積み増す予測になっている。
 平均は512兆円だが、高位平均が541兆円なのに対し、低位平均は482兆円と60兆円近く開きがある。12月調査の16年末は高位平均が450兆円、低位平均が420兆円で開きは30兆円しかなかった。量的・質的金融緩和策が転換点を迎えるとみるフォーキャスターが増えてきていることが読み取れる。


E悩ましい金融政策予測
 12月7日に発表した12月調査で回答者37名の内11名が16年1月緩和と答えた。1カ月近く経って、今月は16年1月追加緩和予測は6名に減っている。
 この間にあったイベントは日銀が12月18日に導入を決めた金融緩和の「補完的措置」。買い入れる国債の残存期間を長くするなど、資産購入の円滑化措置だった。黒田総裁が記者会見でわざわざ「追加緩和ではない」と述べているように、あくまでも補完的措置だった。見方によっては追加緩和が近いともとれるが、長期戦への備えとみれば、当面の追加緩和が遠のく。
 1カ月間の変化を要約すると、緩和が1名増え、引き締めが6名減った。この差の5名は、無回答が2名、残り3名が「中立」に動いたことになっている。
 引き締め予測が減っているのは金融緩和が長期戦になるとの判断を反映している。中立が増えているのも、フォーキャスターの方向感が定まっていない証拠であろう。
 しかし、内外環境は追加緩和を催促しているようにみえる。異次元緩和は胸突き八丁を迎えている。



F16年末の米国FFレートは1.0%〜1.25%
 今月調査で初めて米国FFレートの2016年末値の予測を聞いた。回答は、1.0%〜1.25%が一番多く16名、次いで0.75%〜1.0%の8名、1.25%〜1.5%の6名となり、利上げ幅を0.25%とすると、年内にあと3回利上げを行うとの見方が多数派となった。FOMC参加メンバーによる予測と比較すると、FOMCが年内にあと4回の利上げをみているのが多数派であるのに対し、ESPフォーキャスト調査の方が利上げ回数を少なくみている結果となった。


G減速が続く中国経済
 今月調査から2017年の実質成長率の聞き取りを開始しており、2015年〜2017年までそれぞれ、6.90%、6.58%、6.40%となった。今後も成長は続けるものの、その伸び率が徐々に鈍化していくとの見通しだ。


 中国経済予測の一環として製造業PMI(購買担当者景気指数)の四半期見通しを聞いている。50超を「上昇」、50を「保ち合い」、50未満を「下降」とした予測だが、今月は全般的に「上昇」の回答が減り、「保ち合い」の回答が増えることとなった。2016年実質成長率予測の下方修正も続いており、引き続き中国経済の動向は注意が必要のようだ。

(文責:池田吉紀・舘祐太)

■訂正とお詫び■
 1月13日午後3時に公表しました資料「1月調査結果全文」(会員の皆様用)に誤りがありました。お詫びして訂正します。PDFを訂正版に差し替えて、掲載しております。

該当箇所:
 9ページ目、Z.金融政策調査
 中立と緩和の行が逆になっておりました。正しくは下表のとおりです。


調査結果

2014年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2016年 2月調査 2月10日
2016年 3月調査 3月 7日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。