トップ » ESPフォーキャスト

ESPフォーキャスト調査

18年度は実質1.3%成長− 企業部門主導続く−

  • Tweet this articl
2018年1月調査を公表しました(2018年1月16日)


 海外経済の好調と円安の持続を背景に輸出が増勢を保ち、高収益や五輪需要を背景に設備投資も堅調を続け景気を押し上げ――。フォーキャスターが描く18年度経済の姿だ。企業部門が景気を押し上げる半面、住宅投資の一服、公共投資の減少などもあって、実質成長率は1.3%となる。これは2017年度見込み(1.9%)を下回るものの、潜在成長率はなお上回る水準だ。やはり焦点は消費にあるだろう。消費に大きく影響する所得についてみると、18年度の所定内給与は前年度を0.2%上回る0.7%、さらに賞与などの伸びによって名目賃金(現金給与総額)は0.8%程度増加する。それでも消費は加速しない。
 このような民間予測と政府経済見通しとの比較、次の金融政策予想などについても調査した。

@17・18年度共に0.1%上方修正――輸出・投資が上振れ



 米国トランプ大統領が就任して1年が経過し、日本でもアベノミクスが6年目を迎えた。新年度日本経済はどのような姿になるのか。41人のフォーキャスターの回答から概観してみよう。
 今回の1月調査では、18年度の実質成長率予測は2カ月連続上方修正され1.26%となった。輸出が6カ月、設備投資が2カ月連続で上方修正され、3〜4%程度伸びることが主因だ(図表1)。民間消費は0.9%と1%に満たず、公共投資も減少するなかで企業部門主導の成長となる。内外需別には内需で1.1%、うち民需が1.0%、外需が0.1%を稼ぐ内需主導の形だ。景気の転換点の設問では回答のあったフォーキャスター39名全員が、現状、12年11月の谷以降、山を過ぎていないとみている。彼らが「今後1年以内に転換点(山)を迎える」と予想する確率は平均24.1%と前月対比1.2%低下した。景気拡大局面では高位8機関の予測値の平均が経験的に予測のパフォーマンスが高いことがわかっている。18年度の成長率の高位平均は、実質で1.6%、名目で2.5%となっており、順調に推移すれば実質1%台後半の成長もみえてくる。
 外生的な要因をみると、良好な海外経済、円安気味の円ドルレートの持続が見通しの背景にある。18年の米国経済成長率は3カ月連続で上方修正され2.5%成長が見込まれる。年末の法人税等の減税法案の成立やそれを受けた株高が背景にあるのだろう。また、ユーロ圏経済は11カ月連続で上方修正され2.1%成長だ。世銀は年初、18年の世界経済見通しを0.2%上方修正(昨年6月対比)して3.1%とした。内需では、日経新聞社の設備投資アンケート(17年度修正計画)によると、当初調査比1.3%上方修正され15.8%増と好調であり、18年度もこの勢いが続くとみているのだろう。これを受けて、鉱工業生産も2%台の増加だ。
 また、17年度の成長率も1.9%と3カ月連続で上方修正され、2%成長が目前だ。これにも輸出と設備投資が寄与している。
 19年度はほぼ前月調査並みの0.8%の成長、消費増税除くベースで0.9%の物価上昇と見込んでいる。

A政府見通しとの比較――デフレータ予測の官民差縮小
 1月調査での次年度(18年度)予測を政府見通しと比較してみた。図表2に、16年度以降について、前年末に策定された政府見通し、1月のESPフォーキャスト調査における次年度予測、および実績値(または実績見込み値)をプロットしてみた。
 まず、16年度と17年度についてみると、実質・名目ともに政府見通しは常にESPフォーキャスト調査の予測値を上回っていることと、物価上昇率が政府見通しではより強いという特徴が見て取れる。
 次に、実績(実績見込み)と比べると、ESPフォーキャスト調査予測値は、16年度は実質が0.2%の乖離にとどまったが、物価を過大にみていたことから名目は1.0%ポイント過大であった。それでも政府見通しよりは実績に近い。
 しかし、17年度はESPフォーキャスト調査の予測値は、実質0.8%ポイント、名目は0.6%ポイント過小で、実質については政府見通しに軍配が上がりそうだ。


B17年10〜12月期予測は上方修正――輸出と設備投資が上振れ
 直近の10〜12月期の成長は前月調査の0.75%から0.83%に上方修正された。民間消費の下方修正や民間在庫・住宅投資などの下押し要因を、輸出と民間設備の上振れが上回るとの見方だ(図表3、4)。



C金融政策予想は「引き締め」が2名増加し32名に、「緩和」は2名(回答40名)
 金融政策の次の一手について尋ねたところ、「引き締め」との回答が2名増えて32名となった。時期は18年4月、9月頃が各2名、10月頃が7名、12月以降が21名だった。4〜10月に引き締めるとした回答者のうち10名が長期金利誘導目標の引き上げを挙げた。また、この期間にETF買い入れの減額、国債買い入れのペースダウンを各々4名が予想している。12月以降に引き締めがあるという回答者のうち15名が長期金利誘導目標の引き上げを挙げた。
 「次は緩和」との回答は前月と同じ2名だった。具体的には、物価目標の下方修正の際に追加緩和実施をコミット、政府の財政政策との協調をアピールできるような緩和策を採用、との回答だった。
 引き締め・緩和以外のその他の政策変更を予想するとの回答も6名(前月調査8名)あった。具体的には、物価目標の柔軟化(枠組み変更)、指値オペの発動基準緩和などを通じた長期金利小幅上昇容認などである。
 その他では長期金利目標年限の短期化を中心とする枠組み変更を4名が挙げた。

D米利上げ予想は分散
 18年の米国経済見通しは上方修正された。利上げについては、1月調査では2回利上げの予想が減り(前月調査21名→今月15名)、3回以上が2名増え(前月調査19名→今月21名)、一方で1回の利上げ予想も5名(前月調査1名)に増えた。また、19年も、「1.5%以上〜1.75%未満」が3名(同1名)に増える一方で、2年で6回以上の利上げ(19年末に2.75%以上)を予想するフォーキャスターも4名(前月調査0名)に増えるなど分散した。

E賃金は小幅上方修正
 今月調査から、年度ベースの毎月勤労統計調査(厚生労働省)の名目賃金指数の伸び(上昇率)の調査を開始した。GDPの過半を占める民間消費予測での所得関連のキー変数の一つである。18年度予測では38名のフォーキャスターから回答が得られた。一方、四半期に1回程度調査している所定内給与も9月以来、4カ月ぶりに尋ねた。
 毎月勤労統計の一般労働者・パート労働者合計(5人以上事業所)では、所定内給与は近年年間計では名目賃金(現金給与総額)の約4分の3を占め、春季賃上げ率と関連が深い。残りの4分の1は所定外給与と特別給与(賞与・期末手当など)だ。所定内給与以外の部分の方が短期的には景気に連動性が高いと推測される。
 18年度には、所定内給与は前年度を0.2%上回る0.7%の増加率に上昇し、さらに賞与などの伸びによって名目賃金(現金給与総額)は0.8%程度増加するというのがフォーキャスターが描く姿だ。それでも民間消費は実質で0.9%にとどまる。

(門多治・伊藤由樹子)

調査結果

2016年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

調査参考資料(PDF形式)・関連資料はこちら

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

「ESPフォーキャスト調査」サービスのご案内 △このページのトップへ


調査結果の公表予定
2018年2月調査 02月08日
2018年3月調査 03月19日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。