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7〜9月期、年率1.50%成長を予測−新政権に労働市場、社会保障、規制改革を期待−

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2017年11月調査を公表しました(2017年11月9日)

 2016年度優秀フォーキャスターを公表しました(9月20日)
 「16年度優秀フォーキャスターに聞く」を公表しました(10月18日)
 詳細は優秀フォーキャスターページをご覧ください。


 民間エコノミストが見込む7〜9月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、前月調査の年率1.34%から同1.50%に上方修正された。消費や設備投資は小幅下方修正されたが、輸出の上方修正が利いた。また、17年度成長率見通しは1.60%、18年度は1.16%とほぼ前月調査並みだった。足元の株式市場の活況を受けて、18年度の日経平均株価(平均)予想は前月調査比で1,360円もの上方修正となった。ただ、民間最終消費は18年度0.93%増と同0.02ポイント上昇にとどまり、株高の消費押し上げ効果は大きくないようだ。18年度の消費者物価見通しは3カ月前比で0.04%低下した。新政権が優先すべき経済政策を尋ねたところ、労働市場改革を第1位に挙げたフォーキャスターが最も多かった。

@新政権の経済政策――3分の1以上が労働市場改革最重視
 本調査では、衆議院総選挙を終えて、今後2〜3年、どのような経済政策が重要だと考えるか、1位から3位まで順位をつけて回答してもらった(図表1)。
 図表1の棒グラフは、順位別にその項目を挙げたフォーキャスターの人数を示している。最も優先すべき経済政策として、労働市場改革を挙げる人が回答者の35%と最も多かった。次いで、規制改革と社会保障改革がそれぞれ25%、18%であった。さらに、子育て支援・少子化対策、財政再建、地方再生策と続く。2名のフォーキャスターは、上記以外の「2%インフレの早期実現」「財政支出の拡大、減税」を挙げた。
 順位を考慮し、1位は3点、2位は2点、3位は1点というウェイトをつけ、加重平均したポイントを計算してみた(折れ線グラフ)。トップは、最も多くのフォーキャスターが最重要視する政策として挙げた労働市場改革である。次いで、社会保障改革、規制改革、子育て支援・少子化対策、財政再建と続く。社会保障改革は、2位、3位とするフォーキャスターが多く、1位と併せると回答者の4分の3が挙げた。


A7〜9月期、輸出さらに上方修正――輸入減も加わり外需増
 17年7〜9月期の実質成長率予測は前期比年率1.50%増と、10月調査に比べ上方修正となった(図表2)。これは輸出の上振れと輸入減によるものだ。前月予測に比べ民間消費、民間設備投資は下方修正された。輸出を取り巻く環境は好転している。海外経済見通しは米国、中国、ユーロ圏すべてで17〜18年共に小幅上方修正された。円ドルレートは、17年度0.46円、18年度0.42円だけ円安方向に修正され、それぞれ112.16円、113.29円となった。また、輸入は0.63%減に転じた。これは鉱物性燃料の輸入数量減少を主因とし、その結果、外需が成長を押し上げることとなったと考えられる。




 その他の需要項目では民間在庫が押し上げ要因に、また、住宅投資、公的固定資本形成など公的需要が押し下げ要因となった(図表3)。

B年度成長見通しはほぼ不変――半年前比では17年度0.2%上昇
 17年度成長見通しは前月調査1.59%とほぼ変わらず1.60%、18年度は1.16%で同じだった。半年前の5月調査と比較すると、17年度を中心に上方修正されていることがわかる(図表4)。項目別には民間消費、設備投資、鉱工業生産が上方修正、公共投資、消費者物価は下方修正された。


C消費者物価見通し小幅下方修正――日銀「展望」比でも低く
 実質成長率と物価上昇率については、19年度の見通しも尋ねている。その中で消費者物価上昇率(生鮮食品除く、消費税抜き)は前月調査の0.93%から0.91%に下方修正された(18年度は0.82%から0.83%に)。また19年10月の増税を標準予測で想定しないフォーキャスターは1名減少し6名となった。
 10月31日に公表された日銀の「展望レポート」と比較してみると、物価見通し(消費税抜き)は3ヵ月前と比べて、17年度は本調査で0.05P(ポイント)、展望レポートで0.3P、18年度はそれぞれ0.04P、0.1Pだけ下方修正された。足元の物価上昇が弱いことが影響したとみられる。また19年度については、日銀は3ヵ月前と同じだが、本調査は0.05P低まり、上昇率は0.9P程度日銀予測を下回っている(図表5)。


D18年度株価は大幅上昇――民間消費0.93%増
 直近の株高を受け、18年度にかけて株価見通しが大幅に上方修正された。17年度平均は前月調査から681円高の20,733円、18年度は同じく1,360円高の22,104円となった。この株高は消費を押し上げるのか。いわゆる資産効果をフォーキャスターがどの程度見込んでいるかを見るために、株価の回答があったフォーキャスター31名について、8月と今回の調査結果をプロットしてみた(図表6)。
 8月調査では日経平均株価は20,769円、18年度の実質民間消費増加率は0.85%だった。それが、11月調査ではおのおの22,104円、0.93%と右上の方向にシフトしている。所得をはじめとして他の条件が変更になっており評価は難しいが、全体としては、株価の上方修正の割には、消費の上振れ幅は小さいと見ているようだ。


E米金利、18年は2回引き上げが主流――依然慎重な見方
 連邦準備制度理事会のイエレン議長の後任がパウエル理事に内定し、穏当な人事との評価が多いと伝えられる。フォーキャスターの見方は、利上げは12月に続いて、来年は2回との見方が主流だ。

F中国景気、先行き見通しやや改善
 10月調査で半年から1年先の景気のリスクを尋ねた際、中国景気の悪化を挙げるフォーキャスターが最も多かった。
 11月調査では、3ヵ月ぶりに中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)の動向について、各期ごとに「上昇」「横ばい」「下降」のいずれかを聞いた(図表7)。図表7では、「上昇」という回答には100、「横ばい」には50、「下降」には0を与えて、回答数で加重平均した数値を示している。今回調査を8月調査・5月調査と比較してみると、各期で「上昇」という回答が増え、全体的に折れ線が上方へシフトした。
 しかし、過剰生産能力や過剰債務など、これまで先行きに関して慎重となる要因である構造問題が解消したわけではない。10月の共産党大会で一強体制を確立した習近平総書記が、今後、これらの問題にどう切り込んでいくかが注目される。


(門多治・伊藤由樹子)

調査結果

2015年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2017年12月調査 12月18日
2018年1月調査 01月16日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。