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4〜6月期GDP、年率1.9%増を予測 −欧州が急上昇、米国は足踏み−

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2017年7月調査を公表しました(2017年7月10日)

 2017年6月調査結果(PDF版)に誤りがありました(7月6日)
 「概要版」「全文」それぞれのp4、CPI予測の確率分布を表すグラフの横軸目盛りに誤りがありました。お詫びして訂正します。


 民間エコノミストが見込む4〜6月期の実質GDP(国内総生産)成長率は、年率1.9%となった。1〜3月期実績の同1.0%から上向く見通し。GDPに対する寄与度を高めるのは、民間在庫や公共投資などの政府支出。在庫が積み増し局面に入っているのに加え、昨年決定した経済対策の効果が現れる。海外では欧州の見通しが急上昇している。輸出が伸びており、製造業が好調だ。これに対しトランプ大統領の拡張政策で上振れを見込んでいた米国の見通しは、期待ほどには効果が表れないとの見方から、足踏み傾向になっている。

@4〜6月期、在庫・公需が押し上げ――17、18年度見通しは変わらず
 17年4〜6月期の実質成長率予測は前期比年率1.90%と2カ月連続の上方修正となった。予測数値を尋ねている民間消費、設備投資、輸出は前月調査からほとんど動いていない(図表1)。今回初めて、この3項目以外の需要項目について、「4〜6月期に実質の季節調整済み伸び率(またはGDPに対する寄与度)が1〜3月期よりも高まると思われる項目」を尋ねた。その回答結果(図表2)を見ると、民間在庫と公的固定資本形成(公共投資)を挙げたフォーキャスターが9割程度、政府消費が6割、民間住宅投資が2割だった。



 年率1.0%増だった1〜3月期に比べて、4〜6月期の成長が加速するのは、在庫や公共投資の押し上げによるものだ。消費と設備投資が前期並みの伸び、輸出は増勢が鈍化する見込みだ。在庫をプラスと見るのは、鉱工業統計から見ると生産活動が在庫積み増し局面に入っているためだろう。公共投資も年明け以降、請負金額の増加の下で手持ち工事高が上向いてきた。

 17年度と18年度の実質経済成長見通しは、それぞれ1.4%、1.1%と前月調査と同じだった。


A景気への警戒感まだ---「1年以内に山」確率28%
 内閣府は「景気動向指数研究会」(6月15日開催)で、アベノミクスが始まる直前の12年11月の「谷」以降、14年には「山」を設定しないとの判定を下した。14年度の消費税引き上げや、15年以降の資源価格の暴落による新興国経済の停滞なども指摘されるものの、国内景気は拡大を続けているとの判断である。

 今月はこれを受けて、それ以降に次の景気転換点(山)が来たかを尋ねた。本質問に答えた40人全員が「まだ」と答えた。さらに、景気が今後1年以内に山を迎える確率を尋ねたところ、平均は27.6%だった(高位8名平均47.5%、低位8名平均13.8%)。

 フォーキャスターの18年度見通し(実質GDP成長率)と、上記の確率とをプロットして見ると図表3のように緩やかな右下がりとなった。山を迎える確率を低く見ているフォーキャスターほど18年度成長率を高めに予想している。1名を除いては、成長率は0.5%以上、後退に転じる確率は5割以下だ。まだ景気への警戒感は読み取れない。


B欧州の見通し、急ピッチで上昇---偏差値では70に迫る
 日本の上方修正が一服となる中で、上り調子が続くのが欧州経済だ。輸出が伸びており、製造業が好調だ。7月調査では、17年の実質成長率が1.8%、18年が1.7%の予測になった。と言っても、これがどのくらい高い数字なのか、普段からウオッチしていないと相場観をつかむのが難しい。

 そこで、これを「偏差値」に直してみた。各地域の基調的な成長率を14年から足元までの平均値としてはじき、さらに平均からの上振れ・下振れを標準偏差で調整する。ここでは、平均を50、1標準偏差を10とした数値に変換した。計算に当たっては、今年(度)と来年(度)の対象月数で「向こう1年間」の成長率を事前に計算した。7月調査で見ると、同成長率はユーロ圏が1.7%、米国が2.3%のようになる(図表4)。

 右側が偏差値に直したグラフだ。ユーロ圏の急ピッチな上昇が鮮明になる。16年後半には50を割っていたのが、7月には70に迫る勢いだ。欧州の成長率は平均が1.4%で、0.2ポイント上昇するごとに偏差値が10上がる。0.1ポイントの差が大きい。

 次いで足元の成績が高いのが日本だ。50台後半まで伸びてきた。成長率予測が1.1%を超えると、良い部類に入る。米国はトランプ大統領の誕生で、減税やインフラ投資拡大期待から一時は高めの予測が増えた。しかし、ここ数ヵ月は政策の実現に懐疑的な見方が増え、50割れが続いている。国際通貨基金(IMF)も6月下旬に同様の理由で、米国見通しを引き下げた。中国は昨年後半に下げ止まったものの、その後の回復は他地域に比べると見劣りがする。


 

C金利目標、内外格差が鮮明に
 景気が明るさを増すにつれて、欧米では金融緩和政策の軌道修正が視野に入りつつある。欧州中央銀行は6月の理事会で、政策の運営方針を追加緩和に軸足を置いた表現から中立に変更した。米国は9月にも中央銀行バランスシートの縮小に着手するとの見方がある。来年に向けてどの程度の金利引き上げがあり得るのか、17年末に加え、18年末の日米の金利目標の見通しを聞いた。日本では、イールドカーブ(利回り曲線)コントロールと呼ぶ長期金利を含めた目標設定をしているため、長期金利についても尋ねた。

 目立つのは日米格差だ。フォーキャスターは、米国のFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標が右上がりとなる姿を描いている(図表5)。中央値で見ると、現在の1.0〜1.25%から17年末には1回の利上げに相当する1.25〜1.5%となり、18年末は1.75〜2.0%と同年中に2回の利上げを見込んでいる。

 これに対し、日本の金利は今のまま動かないとの見方が大勢だ。17年末の短期政策金利は42人中全員、18年末は35人が横ばいの回答だった。ただ、日本では、来年4月に黒田東彦総裁の任期が切れた後、誰が総裁となり、どんな金融政策を展開するのか――それが判然としない状態になっている。大規模な資産買い入れを継続するのは難しいはずで、長期金利に上昇圧力がかかることも予想される。フォーキャスターの一部はその気配を嗅ぎ取っているようだ。高位5人平均でみると、長期金利の誘導目標は18年末には0.3%まで上昇する。金融政策と金利には相当の変動余地があると見ておくべきだろう。


D19年度成長、増税で0.07ポイント低く
 先月から開始した19年度予測では、同年10月の消費税率引き上げを標準ケースで想定しているかも合わせて尋ねた。増税ありが27名、なしが11名だった(うち1名は予測値の回答なし)。理由は今回の調査では聞いていないが、6月前半の「骨太方針」から消費増税の文字が消えたため、政府が増税に消極的と受け止めたフォーキャスターが多かったものとみられる。

 増税ありとなしの回答を比べると、増税の影響を推し量ることができる(図表6)。成長率は増税ありが低いが、その差は0.07ポイントにとどまる(0.75%と0.68%との差)。差が小さいのは、増税が10月のためだ。過去の消費税導入・引き上げはすべて4月実施だった。10月実施だと、年度成長率への影響は2つの面で小さくなる。

 1つは駆け込み需要とその反動が相殺されることだ。9月にかけて駆け込み需要が増え、10月以降は反動減があるが、年度では打ち消される。残るのは、税率引き上げに伴う物価上昇とそれを受けた実質所得の押し下げの影響だ。もう1つは、単純に上記の影響が年度の半分しか現れないことだ。

 14年に実施された消費税率の3%引き上げの際には、14年度の成長率は、大方の予想を上回って、13年度の2.6%から14年度は0.5%減へと3.1ポイント減速した。今回はそれに対して、18年度の1.1%から19年度は0.7%へと、0.4ポイントの低下へと下落幅は小さくなっている。

消費者物価指数(CPI)への影響は、増税あり派の税込みと税抜きを比べるのが素直だろう。差は0.54ポイントだった。年度初めからの実施であれば、この2倍の影響があることになる。


(門多治・猿山純夫)

調査結果

2015年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2017年8月調査 8月9日
2017年9月調査 9月19日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。