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ESPフォーキャスト調査

4〜6月期成長率は1.73%に回復−「保護主義」リスク増え「円高」並みに−

2018年6月調査を公表しました(2018年6月18日)


 6月8日の2次QE公表後、民間エコノミストが見込む18年度の実質GDP(国内総生産)成長率は、前月調査の1.21%から1.07%に下方修正された。4〜6月期は前期比年率1.73%と、前月調査の1.36%から0.37ポイント上方修正された。
 向こう半年から1年先にかけて景気のリスクとなる要因を聞いたところ、トップ3は「円高」「保護主義の高まり」「中国景気の悪化」で前回の4月調査と同じだったが、「保護主義の高まり」が増加して「円高」にほぼ並んだ。
 2029年度までの長期予測と、25年度の国・地方の基礎的財政収支についても半年振りに尋ねた。

@ 18年4〜6月期は0.37ポイント上振れ
 4〜6月期の成長は前月調査の1.36%(前期比年率)から1.73%(同)に上方修正された。前期の一時的なマイナス成長からリバウンドするとみているようだ。


 輸出が前月調査比で0.24%の上振れ、設備投資、民間消費はほぼ前月調査並みの増加だ。輸入は増勢が弱まる。18年の米国経済見通しも2.73%に上方修正され(5月調査2.70%)、円相場も年平均109.28円と円安方向に修正された(同108.72円)。
 その他需要項目では公的需要が増加するとみているフォーキャスターが多い。一方、住宅投資は減少するとの見方が多かった(図表1、2)。


A 18年度は実質1.07%成長
 18年度実質成長率は5月調査比0.14%下方修正され、1.07%となった。民間消費、設備投資を中心に民需が下方修正される一方で、外需と公共投資が上方修正された(図表3)。成長率は下方修正されたものの、1%弱とされる潜在成長率は上回っている。
 所得環境につながる変数の18年度の動きをみると、名目賃金指数は2カ月連続で上方修正され0.95%増となった。また、失業率は4カ月連続で下方修正され2.48%となった。物価(消費者物価上昇率(生鮮食品除く))上昇率は4カ月連続横ばいの0.94%となっており、所得環境の緩やかな改善が見込まれているようだ。
 設備投資の予測は、2.59%と前月調査より下振れた。しかし、先行指標である機械受注(船舶・電力を除く民需)は4月に前月比10.1%増と、生産用機械・業務用機械を中心に好調で、リーマンショック直前の水準を超える9年10ヵ月ぶりの高水準となっており、今後の動向が注目される。
 円相場は、2ヵ月連続で円安方向にシフトし年平均109.28円という予測で、日銀短観(3月調査)の今年度想定為替レート(109.66円、大企業製造業)並みとなった。これは、内閣府「平成29年度企業行動に関するアンケート調査」(18年3月公表)の輸出企業の平均採算円レート(100.6円)と比較すると、約9%輸出企業には有利な水準だ。今回、ユーロ圏の成長は小幅下方修正されたものの、米国は昨年11月調査以来、中国は昨年8月調査以来上振れが続いており、良好な輸出環境が続くとみているようだ。


B 「原油価格上昇」「IT部門の悪化」リスクが増大
 半年から1年先にかけて景気を反転させる可能性のある要因について、3つまで挙げてもらった(図表4)。その際、その項目をリスクとして挙げた理由も可能であれば書いてもらった。
 トップ3は「円高」「保護主義の高まり」「中国景気の悪化」で、前回の4月調査と順位は変わらなかった。第4位以降の順位は入れ替わりが大きい。リスクとして挙げたフォーキャスター数に注目すると、「保護主義の高まり」は増加し、「円高」と「中国景気の悪化」は減少した。「保護主義の高まり」は、中間選挙を前に米国の保護主義的なスタンスがもう一段強まることで、貿易の停滞を通じて世界経済が悪化し、日本経済も、円高、設備投資や輸出の減少などの影響を受ける可能性が指摘された。
 4月調査よりも、リスクとして挙げた人が増加した項目は、「原油価格の上昇」と「IT部門(電子部品など)の悪化」である。ITに関しては、在庫の高まりを指摘する人が多かったが、米中貿易摩擦がIT分野にも影響するという回答もみられた。「国内政治の不安定化」は、前回調査でリスクとして挙げた人が一時増えたが、今回はリスクとして挙げるフォーキャスターはいなかった。


C 長期予測、成長・物価ともほぼ前回並み
 毎年6月と12月には長期予測に関する調査を実施している。今回は、20〜24年度(前期5年間)、25〜29年度(後期5年間)について、実質GDPとCPIの年平均増加率を尋ねた。長期予測の前提として、消費増税についての想定も同時に尋ねた。前期は回答者31名のうち4名、後期は回答者30名のうち10名が消費増税を織り込んでいた。
 足元の予測は下方修正されているものの、20年度以降はGDPとCPI共に前回12月の調査対比大きな変化はなかった(図表5)。GDPは前回に比べて前期が0.01ポイント、後期が0.02ポイント上方修正され、0.92%、0.84%と低下していく。CPI(消費税込み)は、前回に比べ前期が▲0.06ポイント、後期が▲0.01ポイント下方修正され、それぞれ1.15%、1.27%まで上昇。税抜きベースでは、前期が変わらず、後期が▲0.01ポイント下方修正され、それぞれ1.03%、1.17%まで上昇する。


D 財政「25年度黒字化」に慎重
 長期予測とあわせて財政収支の見通しを聞いたところ、25年度も、引き続き厳しい状況が続くという結果だった。 国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の対名目GDP比は平均が▲1.8%、高位8機関平均でも▲0.5%、黒字化を見込む回答は1名のみ、0.0%までの改善を見込んだ者も1名にとどまった(低位8機関平均は▲3.1%)。また、20年度以降も消費増税を想定していながら、25年度の収支見通しが▲2.0%未満にとどまるとの回答もあった。
 内閣府の1月の試算では、25年度の国・地方の基礎的財政収支(復興・復旧対策の経費及び費用の金額を除いたベース)を、ベースラインケースで▲1.5%、成長実現ケースで▲0.5%と見込んでいる。今回調査では慎重なベースラインケースよりもさらに控え目にみる回答が17名だった。フォーキャスターの回答をプロットしてみると、財政の改善と成長との関連性は低いようにも思える(図表6)。


(門多治・伊藤由樹子)

調査結果

2016年12月調査まではどなたでもご覧になれます。

■「ESPフォーキャスト調査」とは
 経済企画協会が2004年から実施してきた「ESPフォーキャスト調査」事業を2012年4月より日本経済研究センターが引き継ぎました。
 この調査は日本経済の将来予測を行っている民間エコノミスト約40名から、日本経済の株価・円相場を含む重要な指標の予測値や総合景気判断等についての質問票に毎月回答頂き、その集計結果から、今後の経済動向、景気の持続性などについてのコンセンサスを明らかにするものです。

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調査結果の公表予定
2018年7月調査 07月09日
2018年8月調査 08月08日
いずれも15:00頃を予定

*上記の予定は現時点での予定であり変更する可能性があります。