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東日本大震災後の日本経済の行方を確かなものとするための手立て・論点は何か。
復興やエネルギー選択のあり方、税・年金改革などを分析・提言しています。

最新トピックス
◆エネルギー基本計画案について議論−再エネ普及促進や原発再稼働への条件には注文も/研究本部(14年3月24日)

  エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル(座長、岩田一政理事長)の第5回会議を3月3 日(月)に開きました。2月下旬に公表された政府のエネルギー基本計画案を題材に政府関係者を講師に招いて、討論しました。

<要旨>

・人口減少や省エネの進展を考えると、経済成長を実現しても2030年の日本のエネルギー需要は現在と同じ程度ではないか。原子力がどうなるのか見通せない中で、あるべきベスト・ミックスを示すことは厳しい。電気料金は震災前に比べて30%程度上がっているが、これ以上の値上げは産業によっては深刻なダメージになる。需要抑制のために料金を上げる政策は、ピークカットには有効だが、需要総量が(産業構造の大幅な変化なしに)どれだけ減るのか、疑問だ。

・一定規模の原発を残すには、高レベル放射性物質の最終処分地選定と原発事故への賠償の仕組みを見直すことが欠かせない。最終処分地は、地震国・日本の国内に見つけられるのかという疑問があるが、科学的には、少なくとも、どこが処分地に不適なのかは、明らかにできる。国際ルールに則って国内に処分地を見つけることは可能だろう。民間の電力会社へ青天井の負担を負わせている現行の原子力損害賠償法には問題がある。ただ福島第一原発事故の処理が進行中は、見直しは難しいかもしれない。また核燃料サイクル政策を含めて原子力政策にはもう少し柔軟性が必要だ。

・原発再稼働に対して国民の理解を得るには、広域避難計画(原発立地地点から半径30km)を国が主導して立案する必要がある。現行法では原子力防災は地方自治体を中心に進め、原子力規制委員会が支援し、避難が他県にまたがる場合、都道府県同士で協議する建前になっている。(立案が進まないのは)要介護者や高齢者への対処が難しい面もあるからだ。訓練も相当必要になり、時間をかけるしかない。

・再生可能エネルギーについては、導入目標を示す前に、どれだけ送電系統に余裕があるか、分析が必要だ。民間任せでは上手くいかない。最終的には温暖化対策や国民負担など総合的なコストを考えないといけない。再エネだけでなく、原子力や火力、省エネなどのコストについて、全般的に今回のエネルギー基本計画案では、十分に検討されておらず、さらなる情報開示が求められる。




提言リポートを読む

掲載日 タイトル 著者
2014/03/05 ◆エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル
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2014/01/31 ◆エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル
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2014/01/14 ◆エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル
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日本経済研究センター 研究本部
2013/12/13 ◆原子力の代替エネルギーを考える(7)
エネルギー自治なくして脱原発なし―ドイツにみる合意形成の姿―
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2013/10/16 ◆エネルギー・環境の未来を語るラウンドテーブル
エネルギーと環境、立場超え議論―円卓会議、有識者や実務家で発足―
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2013/08/02 ◆原子力の代替エネルギーを考える(6)
バイオマス利用、大規模化には経済性の壁も―ドイツ、地産地消型で成功―
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2013/04/12 ◆原子力の代替エネルギーを考える(5)
バイオマスの離陸、製材業との組み合わせで−燃料価値の評価法確立がカギ
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2013/01/24 ◆原子力の代替エネルギーを考える(4)
地熱、見込めるのは原発1基分か
日本経済研究センター 小林辰男
2013/01/09 ◆続・原発存続の条件を考える
原発を残すには―事故対応費用の明示、官民の事業団へ一本化を
日本経済研究センター 研究本部
2012/12/26 ◆原子力の代替エネルギーを考える(3)
石炭火力で代替なら、費用は半減も―プラント輸出の主役になる可能性―
日本経済研究センター 小林辰男
2012/11/16 ◆原子力の代替エネルギーを考える(2)
再エネ導入、ドイツでも補助金頼みには限界―成功事例に地元のリーダーあり−
日本経済研究センター 小林辰男
2012/10/26 ◆原子力の代替エネルギーを考える(1)
風力の普及、産官連携と地元との共生が不可欠−技術・メンテには強み、量産でコスト低減が必要−
日本経済研究センター 小林辰男、松崎いずみ
2012/10/02 ◆景気後退・円高阻止とデフレ克服のための緊急政策提言
「リスク封じ消費税円滑に−景気下支えへ2兆円対策を−」
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2012/10/02 ◆避けられるのか財政破綻
「破綻リスク膨らめば国債金利10%も−海外保有比率高まり18年から28年にも−」
日本経済研究センター 松岡秀明、寺田昇平
2012/09/18 ◆2030年代脱原発を考える
「使用済み核燃料・余剰プルへの対応が最優先に−2050年脱原発も視野に−」

【関連資料】理事長・岩田が9月18日の国家戦略会議に配布した意見書
日本経済研究センター 研究本部
2012/08/28 ◆チェルノブイリ原発――特別報告
「チェルノブイリ、再生に厳しい現実――事故から26年の今」
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2012/08/14 ◆Discussion Paper 138
「環境・エネルギー政策を評価する動学的CGEモデル―その特徴と分析手法に関するノート―」
舘祐太、小林辰男、落合勝昭
2012/07/25 ◆原発存続の条件を考える
2030年以降に原発を残すには――その4条件
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2012/06/11 ◆米国のエネルギー需給見通し
新設原発 2016年にも稼働の可能性
―60年超える再延長運転、天然ガスとのコスト見合いか

田原健吾・研究員
2012/05/10 ◆環境・エネルギー政策のシナリオ分析
原発・再エネの選択、経済影響はCO目標次第に

【参考】5月9日総合資源エネルギー調査会基本問題委員会での提出資料
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2012/04/16 ◆活力と希望呼び込む税・年金改革を(2)
段階的改革も選択肢、まず「税方式化」着手を
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2012/04/04 ◆英国の最新・再生可能エネルギー事情
「外資を梃子にし、成長目指す
―海の風、波に恵まれた洋上風力、海洋発電に注力
―英国でも再エネが拡大」

平崎誠司(アミライズ・インサイト代表)
2012/03/09 ◆中期経済予測(論点)
「原発の行方で異なる4つのシナリオ」
「石油危機に学び、省エネ余地を探る」
研究本部 中期予測班
2012/02/13 ◆脱原発依存時代の温暖化防止策
「環境技術で競争優位を築け
―国際ルール構築に貢献を
―原発なしでの京都議定書の達成可能性とポスト京都」

小林 光・特任研究員、前環境事務次官
2011/12/27 ◆「脱原発」を考える
「省エネ・新エネ推進は原発維持よりコスト安―原発発電コスト、政府試算の2倍以上の可能性」

「独、新エネ開発で地域、産業の再生―産官学で港湾整備、工場用地提供から運営ノウハウまで」
小林辰男・主任研究員
2011/10/03 ◆公害対策に見る経済影響
「環境投資で経済成長を後押し ―重厚長大産業にも需要増」
小林 光・特任研究員、前環境事務次官
2011/09/26 ◆地域・産業別影響を考える
「電力不足による産業構造変化、マイナス影響を緩和 ―経常赤字避け、機械産業へシフト」
小林辰男、落合勝昭、舘 祐太
2011/09/26 ◆Discussion Paper 132
「原子力発電全停止による地域・産業別影響の試算 ―火力代替可能な中部・中国では影響軽微も、東北地方では打撃大きく」
舘 祐太、落合勝昭
2011/09/22 ◆2020年の産業動向−第37回改訂中期経済予測に基づく産業連関予測
「輸出の増加により、加工産業の伸びは堅調−エネルギー構造の転換は卸売業、運輸業へプラスに寄与」
研究本部 中期予測班
2011/08/31 ◆欧州の電力政策を考える
「進む送電網の統一 ―欧州全体では、新エネも原発も推進」
古谷茂久・日本経済新聞社パリ支局長
2011/07/19 ◆発電コストを考える
「原発の発電コスト、20年度には事故前の3倍に―福島事故の事故処理費が大きく」
※19日付日本経済新聞朝刊1・3面に関連記事が掲載されました。
研究本部
2011/06/28 ◆会報WEB版創刊号
特集「大震災後の日本経済の中期見通し」
−−
2011/06/14 ◆第37回改訂中期経済予測(2011−2020 年度)
「全原発停止なら年7兆円の経済損失も―火力代替で17年度にも経常赤字に」
理事長・岩田一政、
主任研究員・坪内浩(中期予測班主査)
2011/06/01 ◆エネルギー制約を考える
「火力代替で所得流出4兆円も」
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服部哲也・研究員
2011/05/17 ◆税・社会保障改革
「活力と希望呼び込む税・年金改革を−年金は税方式に、法人税減税もあわせて」
研究本部
2011/05/01 東北の復興、“風力”と“無税特区”で―“風任せで”年間1200億円の収益、法人税・固定資産税を無税に 研究本部
2011/05/01 エコ産業シフト、エコまちづくりこそ、復興の王道―安全と高付加価値、環境を核に実現可能 小林 光・特任研究員、前環境事務次官
2011/05/01 欧州、原子力への距離感は変わらず―Fukushimaは日本問題 平崎誠司・EBS上席コンサルタント
2011/04/25 既存原発止まれば、影響10年単位に―電力不足、GDPを最大2%押し下げも 研究本部
2011/04/21 ◆生活者ができる10の行動
賢い生活者が震災後の日本経済の痛みを和らげる
前田昌孝・主任研究員
2011/03/17 ◆東日本巨大地震 緊急リポート
5兆円規模の災害対策、早急に
研究本部
2011/03/17 ◆東日本巨大地震 緊急コラム
巨大地震の経済的影響の考え方
小峰隆夫・研究顧問
2011/01/04 ◆日本経済新聞社と共同政策提言
2年でデフレ克服を 一層の金融緩和が必要、成長戦略を3分野に集中
政策提言研究会

関連セミナー

掲載日 タイトル 講師
2011/8/1 ≪日本経済の再設計―震災を越えて≫シンポジウム
復興への具体策作り、産官学の力を結集― 実学発想による新しい社会環境資本を求めて
「復興を日本再生のモデルに」
■パネリスト
桜井勝延・南相馬市長
和泉洋人・地域活性化統合事務局長、慶應義塾大学理工学部特任教授
前原金一・経済同友会副代表幹事・専務理事
國領二郎・慶應義塾大学総合政策学部長
岩田一政・日本経済研究センター理事長
■司会
小林光・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授、
日本経済研究センター特任研究員(前環境事務次官)
2011/6/2 ≪5/25総会記念講演≫
日本経済の再設計―大震災・エネルギー制約を越えて
「負担増より希望を若者に与えよ」 
岩田一政・日本経済研究センター理事長
2011/5/11 《震災復興・緊急シンポジウム》
震災と日本経済―その先の持続可能な新しい地域づくりに向けて、会員と共に語る
「現地との対話重ね、将来見据えた復興を」
■講師
小峰隆夫・「地域創造研究会・地域から考える成長戦略研究分科会」主査、日本経済研究センター研究顧問、法政大学大学院教授
玄田有史・「地域創造研究会・地域アイデンティティ研究分科会」主査、東京大学社会科学研究所教授
岩田一政・日本経済研究センター理事長
■ディスカッション
瀬谷俊雄・東邦銀行取締役会長
小峰隆夫、玄田有史氏、岩田一政
司会)新井淳一・日本経済研究センター会長