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日本経済研究センター Japan Center Economic Research

最終更新日:2013年7月1日
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経済百葉箱 番外編<2013年度>

 「経済百葉箱」は当センター経済予測班による分析リポートです。このうち「番外編」は、主に新年度から研修を開始した企業・団体からの派遣研究生が、「第一弾」としてまとめたリポートです。4月からの「基礎研修」で身に付けた経済の知識を生かし、グループでの検討を重ねながら、日本が抱える課題に切り込んでいます。内容的には詰め切れていない部分もありますが、やや粗削りでも、社会の議論に一石を投じる意味で公表する次第です。研修制度ご紹介のページもぜひご覧下さい。
■経済百葉箱 ≪番外編・研修リポート≫について■日経センターの研修制度ご紹介はこちら

2013年7月1日公表 2013年度研究生

<掲載情報>
1.ニッポン開国!―労働力不足時代への処方箋―
2.介護難民をなくせ
3.クラウドファンディングを起業への架け橋に!〜ワンコインから始まる経済活性化〜
4.本当にやっちゃうの?軽減税率―消費税増税を実現するための妥協の産物―
5.炭素税導入で2020年度CO2排出量20%削減と2.0%経済成長の両立を目指せ
6.クール・ジャパン戦略への処方箋―市場獲得の鍵は現地化戦略にあり!―
7.ロボットと切り拓く未来―「普及」策と「共存」策作りを急げ―


ニッポン開国!
― 労働力不足時代への処方箋 ―

百葉箱

▼要旨▼
 日本は、少子高齢化の進行により、2020年代前半には、対2010年で就業者数が約500万人減少することが想定される。この労働力不足は、女性・高齢者の労働参加を推進するだけではカバーすることが難しいと予想され、外国人労働者の受入れが重要になってくると考えられる。今後、先進国・新興国についても、高齢化の進行で労働力不足に陥ることが懸念され、各国間で労働力の奪い合いが始まると考えられる。そこで、こうした国際的な労働力獲得競争の時代を日本が勝ち抜くための方策を探った。 日本が外国人労働者の受入れを推進するに当たっては3つの壁が存在する。 1つ目は「制度未整備の壁」である。これは、現行の在留管理制度では、外国人の就労に対する制限が厳しく、自由な就労が妨げられているという課題である。 2つ目は「言葉と文化の壁」である。これは、外国人が日本で就労・居住する際に、日本語でのコミュニケーション能力や日本文化に対する理解が欠如しているという課題である。 3つ目は日本人の「心の壁」である。これは、日本人が抱いている、外国人に対するネガティブな先入観が外国人との共生の妨げになっているという課題である。 そこで、こうした3つの壁を崩して、外国人労働者の受入れを推進するための、2つの提言を行いたい。1つ目は新たな在留資格「中流労働者」の創設と新資格試験の実施、2つ目は「クラウドエデュケーションの展開」である。新たな在留資格を設け、新たな資格試験を実施することによって、日本人と同様の能力を保持した外国人労働者を受け入れる態勢を整え、今後の労働力不足時代に備える。また、新たな資格試験に合格するための教育システムの整備し、日本での就労を希望する外国人に無償で日本語・日本に関する知識を学ぶ機会を提供すると同時に、日本人の外国人に対するネガティブな先入観を払拭する。
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介護難民をなくせ

▼要旨▼
 年々増加する要介護者数。厚生労働省によると、2012年には約550万人、2025年には約700万人になると試算されている。それに伴い施設でも在宅でも介護を受けられない、いわゆる「介護難民」が今後ますます社会問題化して行く可能性がある。 介護難民をなくすには介護職員の増加が急務だ。介護職員数は年々増加してはいるものの、高い離職率もあって不足を訴える事業所が多い。その背景として一番問題視されているのが賃金の低さである。ならば賃金を引き上げれば良いということになるのだが、現行の介護保険制度のもとでは現実的に難しい。 そこで、例えば住宅介護に比べ相対的に利用者負担の軽い施設介護利用者の自己負担比率を、現行の1割から2割に引き上げてはどうか。そうすれば約3,300億円が捻出でき、これを賃金引き上げに充当すると、月収ベースで一人当たり2.7万円の増加になる。 また、介護職員の担い手を増やすには、介護職員の社会的地位を向上させる努力も欠かせない。さらに、外国人介護士を積極的に受け入れることも検討すべきだ。すでにインドネシアやフィリピンから受け入れている介護士は、その仕事振りが施設関係者から高い評価を受けているほか、人手不足の介護分野であれば日本人の職を奪うという心配もない。 こうして介護職員が増加して行けば、介護難民を減らすだけでなく、家庭内における介護負担を軽減することを通じて、アベノミクスが標榜する女性の労働参加率アップにも貢献する可能性がある。いずれにせよ、介護問題は国策として真剣に議論すべき段階に入っている。
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クラウドファンディングを起業への架け橋に!
〜 ワンコインから始まる経済活性化 〜

▼要旨▼
 低迷する日本経済を活性化するには、開業率の引き上げが必要とよく言われる。しかし、起業する際の最大の障壁として資金調達問題(「死の谷」問題)が立ちはだかっているのが現実だ。 最近では、新規事業に対する新たな資金供給手段として、インターネット上で事業者と資金の出し手(個人)を直接つなぐ「クラウドファンディング」が注目されている。クラウドファンディングの最大のメリットは、事業の社会的貢献度や共感を判断基準とする個人が資金の出し手となることで、自己資金や金融機関による融資だけでは実現しなかった事業にも、実現の可能性が生まれるところにある。 すでに普及が進んでいる米英では、行政機関による資金調達手段としての活用や、エクイティ型クラウドファンディングの利用およびそのための法整備などが進められている。わが国においても、起業のための資金調達手段の多様化という観点から、クラウドファンディングをより一層普及させることが望ましい。そのためには、認知度や利便性の向上に向けた取り組みを、官民挙げて推進していく必要がある。
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本当にやっちゃうの?軽減税率
― 消費税増税を実現するための妥協の産物 ―

▼要旨▼
 政府は、消費税率10%への引き上げ時に軽減税率適用を検討するとの方針を表明している。しかし学界等では、軽減税率を導入しても逆進性は解消しないなどの理由から否定的な意見が多い。確かに税制調査会の答申においても、軽減税率導入は可能な限り避けた方が望ましいという基本的な考え方が一貫して示されてきた。ただし、同時に、消費税率が欧州諸国並みにまで引き上げられる場合には検討も必要、との見解も示されている。 軽減税率を適用しているイギリスでは、国民はどの品目に軽減税率が適用されているかなど普段はさほど関心を持っていないが、例えばある特定の商品に対して軽減税率の適用を外すべきかどうかを検討した際は、国民全体を巻き込んだ大きな議論に発展した。またカナダでは、消費税の逆進性を緩和するために理論上合理的な給付付税額控除を適用しているが、実態として国民は軽減税率あるいはゼロ税率に対して恩恵を感じているようだ。 このように、理論的には合理的な説明が難しい軽減税率だが、実際に消費税を負担する国民にとっては、負担軽減につながる緩和措置として受け入れられやすいという傾向がある。したがって、消費税率引き上げの実現を最優先に考える場合には、国民の理解を得るための妥協策として軽減税率を利用するということは理解できなくもない。 ただし、その際には、@軽減税率適用品目は必要最小限にとどめること、A所得捕捉能力を高め、効率的な制度運用を行うこと、B国民への理解度を高めること、などを念頭において慎重に議論を進めるべきであろう。
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炭素税導入で2020年度CO2排出量20%削減と2.0%経済成長の両立を目指せ

▼要旨▼
 世界的に温暖化防止への意識が高まる一方、わが国では東日本大震災以降、火力発電への依存度が高まり、CO2排出量は増加傾向にある。しかし、CO2排出量削減を無理に進めることは、わが国の経済成長を阻害する可能性が高い。そこで我々は、経済成長とCO2排出量削減を両立させる方法を探り、化石燃料由来のエネルギー価格を現在の4倍程度に上昇させる、最大300%の炭素税を課すことが有効であるとの結論に至った。 政府が企業に対し排出枠を設定し、その売買を可能にする排出権取引制度(キャップ&トレード)やエコポイント等の施策と比較して、炭素税は、公平性や持続可能性に優る。増加した税収を使った、省エネ産業への補助金や法人税減税等の財源効果もメリットとして考えられる。 また、炭素税導入により、電気代等のエネルギーコストが高騰するため、再生可能エネルギーやスマートシティ等の環境ビジネスの発展が期待できる。炭素税をテコに技術力向上を継続していけば、今後世界的に拡大が見込まれる環境ビジネス市場でのプレゼンスを一段と高めることにより、わが国の経済成長を2%まで押し上げることも可能であると考えている。
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クール・ジャパン戦略への処方箋
― 市場獲得の鍵は現地化戦略にあり! ―

▼要旨▼
 これまで日本の成長を牽引してきた自動車や家電等の産業は、新興国の台頭により厳しいコスト競争を余儀なくされており、これまでのような成長は難しい。日本の国際競争力を維持し、中小企業の活路や若者の雇用を確保するためには、産業構造の転換が喫緊の課題である。 そこで注目すべきなのが、アニメやコンテンツ、ファッションなどのクリエイティブ産業だ。日本のクリエイティブ製品は、「クール・ジャパン」として世界的に人気が高いことに加え、クリエイティブ製品を扱う世界市場は、2020年までに現在の約2倍となる900兆円超の規模にまで拡大するとの試算もあり、将来有望な産業である。 しかし、日本は官民挙げてクリエイティブ製品の輸出促進に向け取り組んではいるものの、貿易収支を見てみると、日本のクリエイティブ産業は軒並み輸入超過であり、肝心の輸出に成果が見られない。我々はその原因を、輸出先のニーズをきちんと汲み取り、自分の国独自の魅力を失わない形でアレンジする戦略、即ち現地化戦略が不十分であるためであると考える。 一方、日本と同じアジアに位置し、韓流ブームを足掛かりとしてベトナムや中国などアジアを中心に大きな存在感を示しつつある韓国が成功した背景には現地化戦略の奏功があると思われる。 クリエイティブ産業を日本の新たな収益源とするためには、徹底した現地化戦略を推進することが必要である。現地化戦略を推進するために、戦略の効果や方向性を分析・検証するための指数(通称クール・ジャパン指数)の開発及びクリエイティブ産業の海外進出を資金面から支援する官民ファンドの設立を提言したい。
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ロボットと切り拓く未来
― 「普及」策と「共存」策作りを急げ ―

▼要旨▼
 少子高齢化で労働力が不足する日本で、ロボットの活躍が期待されている。急速な進化で、二足歩行の人型ロボットなどが登場している。従来の産業用ロボットより複雑な作業が可能な新型ロボットも開発され、製造現場では導入事例も出てきた。 ロボットは人間が行う仕事を代替できるという利点がある反面、人間の仕事を奪ってしまうという不安がつきまとう。我々はロボットの活用は避けられないとの前提で、どのようにロボットを普及させ、人間と共存できるかを考えた。 現時点では、新型ロボットは開発が始まったばかりの黎明期と言える。福島第一原子力発電所の事故で、ロボットを活用するアイデアが出されたが、現実には役に立たなかった。今後は徐々に進化し、我々は約10年後の2025年頃までを本格普及期と位置付けることにした。新型ロボットは製造業、介護、農業など多方面での導入が期待される。普及のためには、@介護用ロボットなど安全面の規格作りA開発・導入費用の助成Bロボット利用者の技術力向上Cロボットとの心理的な不安を解消する社会的受容の形成――に取り組む必要がある。 本格普及期間中も技術革新は続き、人間の仕事を奪うほどのロボットが開発される可能性が高まる。人間の仕事を「職人型の仕事」、「そこそこ知的で複雑な仕事」、「高度でクリエイティブな仕事」の3つに分けると、進化したロボットは「そこそこ知的で複雑な作業」についても代替できるようになると考える。そんな時代を見据え、今からロボットと共存する仕組みを作るべきだ。 まず、ロボットに仕事を奪われた人間が職人型の仕事や高度でクリエイティブな仕事に移れるような仕組みを作ることだ。そのためには、人と仕事のマッチングを円滑にしなければならない。新規就業者については、はじめから職人型やクリエイティブな仕事に就けるような職業訓練や教育をしなければならない。
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