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経済百葉箱 第58号

日本経済研究センター経済予測班では、経済予測・分析の中で見えたトピックスに焦点を絞ったリポート、「経済百葉箱」を創刊します。経済はしばしば気象にたとえられますが、「百葉箱」はご存知のように、気温や湿度を正確に測定するための箱であり、「観測」の原点となる存在です。本リポートは随時掲載します。

日本が陥った『デフレの罠』のメカニズム
― 価格据え置きの“呪縛”、金融政策では解けず ―

2012年3月27日発表
上田翔一 、高久玲音 、<監修>短期予測班主査:愛宕 伸康

百葉箱

▼ ポイント ▼
日本は『デフレの罠(デフレ均衡)』に陥っている可能性が高い。本稿でいう『デフレの罠』とは、「売上低迷」→「財・サービスの性能向上分を価格に転嫁しない企業行動(実質値下げ)」→「原価逓減・人件費抑制」→「厳しい所得環境」→「売上低迷」→・・・という悪循環のこと。

わが国企業は、国内市場が伸び悩むなかで、投入する新製品の名目(表面)価格を据え置く傾向にある。消費者もそれを当然視しており、新製品に関して価格据え置きがある種の“呪縛”となって値上げを困難化させている。たとえ名目価格が横這いでも、性能向上に伴うコスト増が価格に反映されなければ、統計作成上は「実質値下げ」として物価指数を押し下げることになる。

名目価格を据え置く結果、企業は性能向上に伴うコストの増分を生産性引き上げによって吸収せざるを得ない。そのため原価逓減・人件費抑制姿勢が緩むことはなく、所得環境改善の遅れ、売上の低迷という形で再び企業に跳ね返ってきている可能性が高い。

こうした名目価格据え置きの“呪縛”は、単に金融緩和を強化するだけでは解けない。企業にとって問題の本質は売上の低迷であり、名目成長率を拡大させるための地に足の着いた議論をしなければ、いつまでも『デフレの罠』から抜け出すことはできない。.

全文全文



経済百葉箱 番外編
新年度から当センターで研修を始めた企業・団体からの派遣研究生が作成した「第一弾」のリポートです。4月からの「基礎研修」で身に付けた経済の知識を生かし、グループでの検討を重ねながら、日本が抱える課題に切り込んでいます。
詳細はこちら
1.長寿大国と医療費抑制の両立を:「予防医療」の推進に向けて
2.英語力のビハインドが招く国際競争力の低下
3.少子化問題は肌目細かな「子ども人数別政策アプローチ」の採用を
4.少子化と若年層の投票率低下がもたらす高齢者向け政策バイアス
5.晩婚化・非婚化の背後に、より深刻な男性若年層の「諦婚化」あり
6.3年以内の早期離職率3割の衝撃:学生、企業双方に多大なコスト

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バックナンバー

掲載日 タイトル 筆者
2012.3.9 東北に求められる「元通り」ではない復興
―局所的な「復興特需」に隠れる長期的な下落トレンド―
上田翔一
金子昌弘
高見浩輔
皆川篤
<監修>短期予測班:愛宕 伸康、増島 雄樹
2012.3.6 国内設備投資の回復は本物か
―不確実性は徐々に解消へ、中小企業設備投資の急回復はその兆し―
黄田和宏
<監修>短期予測班:愛宕 伸康、増島 雄樹
2012.2.17 『デフレだから円高になって当然』は本当か
山本啓介
<監修>短期予測班: 愛宕 伸康
2012.2.10 インフレ警戒のもとで減速が続く中国経済
― 金融緩和は漸進的に、物価安定には時間 ― 
上田翔一
皆川篤
高久玲音
<監修>短期予測班: 愛宕 伸康、増島 雄樹
2012.1.27 定着する「生活防衛消費」が小売を下支え
― POSデータに映る震災後の消費行動と企業の対応 ―
高見浩輔
<監修>短期予測班: 愛宕 伸康、増島 雄樹
2012.1.13 節電下の増産、今夏は難しく
―原発停止で燃料費増大へ―
新美陽大
<監修>短期予測班主査:愛宕 伸康
短期予測班総括:増島 雄樹
2011.10.28 「フラット35S」1%優遇の着工押し上げ効果は累積10万戸程度
―足元では復興需要も寄与、ただし本格化はこれから―
山本啓介
<監修>短期予測班主査:愛宕 伸康
短期予測班総括:増島 雄樹
2011.3.30 住宅着工が中期的に減少する中での、メーカーの生き残り策
−団塊ジュニアの持家取得が一巡した後は、多様化する住宅需要の掘り起こしが急務
金成玲子
澤大輔
山上美都樹
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.29 生き残り模索する邦銀:アジア市場での失地回復の可能性
−収益力強化には海外での融資拡大、国内での貸出増に向けた掘り起こしが急務
竹村裕一郎
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.28 資源高のもたらす消費者物価への影響
−原油高は農産物高よりも転嫁が進むが、デフレ脱却には要時間
風間春香
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.24 インフレ抑制に向け難しい舵取りに迫られる中国経済
−金融の漸次引き締めでは力不足。一層の元高誘導と財政緊縮も必要
上原卓
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.24 中国への依存を薄める観点でも、インド経済に要注目
−目立つ出遅れ、官民連携で成長取り込め
朝倉啓介
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.11 米国経済見通しをなお慎重にみる3つの理由
−労働市場や住宅市場の改善の遅れに加え、原油高が家計部門回復の重しに
片平幸伸
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.3.11 雇用所得環境を考える上での2つの視点
−実質賃金下落、雇用のミスマッチ拡大が家計の重しに
竹村裕一郎
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.2.21 「過剰感緩和」なのに雇用が増えない理由
−製造業の生産の海外移転、派遣労働規制が足かせ
風間春香
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.1.20 2011年、米国経済を覆う11の「日本化」現象
−信用バブル崩壊の傷深く、オバマ減税への過大な期待は禁物
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2011.1.11 自動車業界は緩やかな増産へ、景気後退の引き金とはならず
−残すは電子部品業界。在庫調整が進展すれば、晴れて生産は「足踏み」脱却へ
藤山光雄
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.11.5 景気左右するIT市場、需要構造変化で調整深刻化は回避
−新興国需要と新最終製品の登場が救世主も、日本は地盤低下の恐れ
鹿庭雄介
片平幸伸
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.11.4 低迷が続く民間建設投資の今後の展望
−建設業界、厳しい環境も、高度な技術力で商機つかめ
風間春香
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.10.13 即効性期待ならシニア層への消費喚起策
−生活防衛に走る現役世代と対照的、消費「楽しむ」世代
藤山光雄
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.10.7 新興国経済評価の二極化、際立つアジア地域の躍進
−設備投資ブームを取り込む好機、EPAなど官民協働が不可欠
上原卓
朝倉啓介
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.10.4 中国のストライキ多発の背景と本邦企業への教訓
−「経営判断の現地化」不可欠、対中進出後発組の非製造業も迅速な対応を
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.9.24 中国景気の減速をどうみるか:警戒?楽観?
−当局が「想定した」過熱の抑制後、2012年の共産党大会に向け景気は再加速
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.9.22 社会保障費の自然増を鵜呑みにしてよいか
−積算根拠の開示と理解が、最大の歳出項目の抑制への第一歩
石原淳
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.7.28 欧州財政危機のもたらす3つの副作用
― 動揺はひとまず封じたが、銀行不安の霧は晴れず ―
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.7.22 国内産業空洞化の加速を示唆した6月短観
― 迫る企業の11年度投資計画策定、政府は迅速な対応を ―
後藤達也
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.4.16 アニマル・スピリットは海外へ
−国内事業の環境悪化が「空洞化」を加速させる懸念
新庄晶太
鹿庭雄介
2010.4.6 米国経済 短期経済予測(2010年1-3月期〜2012年1-3月期)
−消費に期待できず頼りは外需にドル安
嶋崎俊
松岡秀明
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.3.23 企業収益回復も設備投資には点火せず
−過去の過剰投資と成長期待の低下が重石に
後藤達也
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.3.17 日本経済、「踊り場」入り回避の理由
−良好な輸出環境、世界的なIT分野の堅調持続がピンチを救う
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.29 蔓延するデフレ、「スパイラル」でなく「長期化」にこそ警戒を
−価格破壊が進展、家計の「デフレ期待」に円高が拍車
川手伊織
永田隼
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.26 新興国に先行利上げ国、先進国の「出口戦略」と異なる事情
−バブルの輸出論に与せず、自国に望ましい政策運営の継続を
小林拓哉
舘祐太
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.14 中小企業の苦境の要因、金融より需要不足やデフレ
−金融含めた救済策から、自立に向けた総合的政策への転換必要
嶋崎俊
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.12 IT部門が示す新年の日本経済の“3つの姿”
−韓国対比での出遅れ、設備投資回復の遅れ、景気踊り場入りの可能性
後藤達也
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.7 失業率の思わぬ低下、主婦の労働参加増が一因
−1人当たり賃金は低下、マクロの所得環境の改善には至らず
小林直樹
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.6 欧州の景気回復に「6つの重石」
-ギリシャなど南欧諸国に新たな火種、7つめの重石へ
櫻井俊文
川手伊織
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2010.1.5 米国経済 短期経済予測(2009年10-12月期〜2012年1-3月期)
−手詰まり感を背景とするドル安政策も、効果薄くリスク大
植中雄司
<監修>短期予測班主査:竹内 淳一郎
2009.12.25 更なる悪化が見込まれる米国の雇用情勢
安部直樹
2009.12.25 米国経済:やはりジョブレス・リカバリーは避けられず
−サービス部門の雇用吸収力、いつになく弱い公算大
植中雄司
2009.10.2 景気回復で先行の韓国、成長戦略としてFTA締結を加速
−日本、新政権には内政、通商のバランスよい展開期待
松岡秀明
2009.9.25 日本企業の雇用調整は速まったのか
−不況下では労働保蔵、先行きの雇用改善の重石に
川手伊織
2009.9.18 米国景気の回復をいつになく緩慢とみる一つの理由
−金融システムの回復なしに本格的な景気回復なし
小林直樹
2009.9.18 米国経済 短期経済予測(2009年7-9月期〜2011年1-3月期)
−景気回復はあくまで緩慢、加えて潜む下振れリスク
新庄晶太
2009.9.9 自動車取得促進策 日独での明暗は何ゆえか
− 入念な制度設計と時宜を得た導入に向け事後的検証を
佐々木真澄
2009.9.8 新政権、低金利安住の財政運営にリスク
−国債市場の需給バランス維持は難しく
後藤達也
2009.7.7 日独、外需依存の限界を露呈
−金融面での不均衡の蓄積が軽度でも、先進国で最大の落ち込み
田原健吾
2009.6.26 金融要因の影響強まる商品市場
安部直樹
2009.6.22 当面続くデフレ経済
佐々木真澄
2009.6.12 住宅市場、09、10年度ともに100万戸割れへ
−供給サイドの悪化要因は徐々に和らぐも、需要の下押し続く
新庄晶太
2009.6.12 低空飛行続く国内生産 設備の調整圧力に
新庄晶太
2009.6.11 楽観できぬ米個人消費、家計の調整圧力強まる
小林直樹
2009.4.14 日米で異なる自動車販売不振の背景
−構造的問題を抱える日本国内の販売不振
白築忠明
2009.3.10 「100年に1度の危機」、昭和恐慌に探す処方箋
−戦前データが示す景気後退と回復の一例
黒沼勇史
2009.1.21 拡大する2つの雇用統計の乖離
−雇用者報酬、4兆円の過大推計?
長沼俊洋
2009.1.13 米国、家計の過剰債務の主役は高所得層
安部直樹
2009.1.13 米住宅ローンの過剰負債、解消に10年の恐れ
小林辰男
2009.1.5 「東欧」がカギ握る欧州経済の浮沈
−相互依存、転じて負のスパイラルに
黒沼勇史
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