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2016.12 金融研究

2016年度金融研究班報告@-2:銀行決算分析(16年3月期)
国内では貸出業務で収益力を高めることが難しく―海外与信は16年3月末に初めて3兆ドル超え―《銀行決算分析(2016年3月期)》

2016年12月8日発表

金融研究班

報告@-2:銀行決算分析(16年3月期)
国内では貸出業務で収益力を高めることが難しく ―海外与信は16年3月末に初めて3兆ドル超え―

金融研究班:齋藤哲、白石翠、野村あすか、柏尾康寿、<監修>左三川郁子橋えり子
 2015年度の全国銀行の粗利益(「資金運用差益」と役務取引の収益を含む「その他差益」の合計)は、前年比2.8%減少した。金融緩和策が長期化していることで、貸出業務で収益力を高めることがより難しくなっている。預金のうち、どのくらいが貸し出しに回っているかを示す預貸率は、7年連続で過去最低を更新した。一方、銀行は海外業務の拡大に前向きで、邦銀の海外向け与信残高は16年3月末に初めて3兆ドルを超えた。信用リスクの増大にどう対応するかが今後の課題である。

金利低下で資金運用差益がさらに減少
(資料)全国銀行協会『全国銀行財務諸表分析』、NEEDS-FinancialQUEST

〈要旨〉
○ 2015年度の全国銀行の粗利益は11.8兆円と、14年度に比べて2.8%減少した。貸出金利の低下による貸出金利息の減少を貸出金の増加では補い切れず、資金運用差益が減少したことが主な要因である。各行とも経費の削減を続けているが、異次元の金融緩和策が長期化する中では、貸出業務で収益力を高めることがより難しくなっている。税引前当期純利益は4.8兆円と、前年度に比べて2.0%減少した。

○ 15年度末(16年3月末)の全国銀行の貸出残高は、地方銀行や第二地方銀行の中小企業向け貸し出しが牽引し、前年度比2.8%増の538兆円となった。全国銀行の国債保有残高は前年度に比べて16.6%少ない98兆円と、3年連続で保有額が減少した。日銀による大規模な国債買い入れの影響とみられる。また、預金のうち、どのくらいが貸し出しに回っているかを示す「預貸率」については、地銀と第二地銀で上昇したものの、預貸ギャップ(預金残高と貸出金の差)の大きい都銀は減少を続け、全国銀行ベースでは7年連続で過去最低水準を更新した。

○ 銀行の自己資本比率は国際基準行、国内基準行とも、国際決済銀行(BIS)の基準を上回った。有価証券やデリバティブの評価損益、公的資金などを調整した全国銀行の15年度の実質自己資本比率(日本経済研究センター金融研究班が独自に算出)は、前年度から0.19%ポイント低下したが、日本で金融不安が発生したが1997年度以降で見ると、14年度に次ぐ高い水準であった。

○ 邦銀は海外業務の拡大を続けている。15年度は欧米が海外業務を縮小させた一方、邦銀の海外向け与信残高(日銀統計ベース)は16年3月末に初めて3兆ドルを超えた。原油を中心とする資源安や、中国をはじめとする新興国経済減速を受けて、海外業務の信用リスクが高まった。しかし、少子高齢化と人口減少を背景に、国内での投資プロジェクトは長期的には細るとみられるだけに、地銀も含め各行とも、海外業務の拡大に前向きである。信用リスクの増大にどう対応するかが今後の課題といえよう。
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