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2017.10 金融研究

2017年度金融研究班報告@:銀行決算分析(17年3月期)
利ざや縮小でカードローンやアパートローンに傾斜 ―大手行は海外業務の拡大を継続―《銀行決算分析(2017年3月期)》

2017年10月23日発表

金融研究班

報告@:銀行決算分析(17年3月期)
利ざや縮小でカードローンやアパートローンに傾斜―大手行は海外業務の拡大を継続―

金融研究班:牛田雅人、富田泰弘、福山翔士、谷中崇能、<監修>左三川郁子高野哲彰
 長期化する低金利に加えて2016年初めには日銀がマイナス金利政策を導入したことで、銀行の利ざやは一段と縮小、17年3月期の最終損益は全業態で前年割れ(減益)となった。全国銀行の預貸金利ざやは95年度以来、21年ぶりの低水準を記録。厳しい経営環境のもと、大手銀行は海外での貸し出しを拡大、地方銀行や第二地方銀行は個人向けカードローンやアパートローンに傾斜した。全国銀行の貸出金は6年連続で増加したが、人口減少が見込まれる中でのアパートローン拡大は将来の不良債権予備軍となるリスクをはらんでいる。

カードローン・アパートローンの貸し出しが増加
(資料)日本銀行『貸出先別貸出金』

〈要旨〉
○ 全国銀行の主な収益の柱である粗利益は2016年度に11.0兆円と、前年比6.4%減少した。日銀が16年2月にマイナス金利付き量的・質的金融緩和政策を導入したことで、貸出金利には一段の低下圧力がかかり、全国銀行の預貸利ざやは95年度以来、21年ぶりの低水準となった。銀行は利回り確保のため外国債券に資金を振り向けたが、トランプ政権誕生を受けて米金利が上昇し、外債の評価損失が拡大した。全国銀行の最終損益は3年連続の減益に。

○ 厳しい経営環境のもと、銀行はカードローンやアパートローンに傾斜している。前者は使途制限がなく、審査が比較的容易である点、後者は節税対策となる点が利用者にとって魅力となっている。しかし、個人が過剰債務(多重債務)を抱え始めていたり、人口減少が見込まれる地域でアパート建設が進むなど、不良債権予備軍となるリスクをはらんでいる。

○ 全国銀行の国債残高は5年連続で減少。13年4月の量的・質的金融緩和政策の開始以降、国債の保有額は半減した。一方、貸出金は前年比2.5%増の551兆円。6年連続の増加となったが、預金の伸びには届かず、全国銀行の預貸率は66.6%と8年連続で過去最低を更新した。特に都銀の預貸率の低下が著しく、下げ止まる兆しは見られない。

○ 16年度の自己資本比率は国際基準行、国内基準行とも、基準を上回った。しかし、有価証券の運用で、過大な金利リスクを抱えた銀行も見られる。今後銀行勘定の金利リスク規制の適用が開始されると、銀行によっては大きな損失が発生する可能性もある。

○ 邦銀は海外業務の拡大を続けている。海外向け与信シェアは主要国の中で首位を維持し、海外向け貸出比率は14%台に上昇した。特に北米やアジア向けの貸し出しが増えており、拠点数もアジアを中心に伸びている。人口減少を背景に国内市場の縮小が懸念されるなか、邦銀の海外業務拡大は今後も継続するとみられる。

○ 人口減少は地銀の域外貸し出しを促進している。経営の効率化を目指した再編の動きも見られる。ところが、地銀の貸出シェアが7割を超える長崎県では、県内最大手の十八銀行とふくおかフィナンシャルグループ傘下の親和銀行との経営統合が事実上の停止状態となった。地域金融機関には、再編など経営のさらなる効率化と大胆なビジネスモデルの転換が必要である。市場の寡占を懸念するあまり、顧客の利便性向上を犠牲にしてはならない。
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