トップ » 経済予測 » 中期経済予測 » 

中期経済予測(2010−2020 年度)

2020 年の産業地図―輸出で伸びる機械、内需型産業には人口減がじわり

2011年3月3日発表
日本経済研究センター 中期予測班

2011年3月3日公表

 デフレに苦しみながらも、2020年度に向けバランス回復を模索−−。今年度の中期経済予測(第37回)が描く日本経済の姿だ。では、産業の視点からはそれがどう見えるのか、産業連関表と業界データの2つの側面から探った。

 T.産業連関予測は生産額や従業者数という切り口で、マクロ経済を36業種に分割しており、いわば2020年の産業の鳥瞰図を描いたものだ(報告書に掲載した内容を再掲)。
 U.業界別予測は、よりなじみのあるデータから産業動向を点検・見通している。マクロ見通しと整合性をとりつつ、個々の業界事情にも目配りしている。

 これらから見えてくるのは、製造業では輸出で稼げるかどうかが明暗を分けることだ。機械系の産業は伸びやすく、素材でも外に市場がある鉄や化学は堅調となろう。半面、内需型産業には製造・非製造業とも人口減の影響がじわりと現れる。住宅や消費、サービス関連の市場拡大は、高齢化で伸びる医療介護を別とすれば難しい。

----------------------------------------------------

T.産業連関予測:生産額と雇用見通し


 2010年から20年にかけて実質生産額を増やすのは、機械産業(加工組立型の製造業)とサービス業(第3 次産業)である。素材型製造業はほぼ横ばい、農林水産業と建設、生活関連の製造業は減少傾向をたどる。2020年に向かっては人口減を背景に雇用全体が縮小に向かうため、向こう10年間に従業者数は300万人余り減る見通し。生産を増やす産業でも、製造業を中心に生産性の向上から雇用増を抑えるため、雇用を拡大する産業が限られてくる。こうした中で雇用を増やすのは、労働集約的で生産増と雇用増が連動しやすい「医療・介護等」や「対事業所サービス」である。

U.業界別予測


1.素材産業
 粗鋼生産量は、アジア諸国の旺盛な海外需要を取り込むことにより輸出が伸びる。板ガラスは、住宅投資など内需向けの生産は低迷するが、外需を中心に増加する自動車向けの生産量が増加する。一方、紙・板紙は、近年ネットの普及による雑誌の不振などを背景に洋紙の需要が落ちている。先行きも国内需要が弱く生産は減少傾向をたどる。セメント生産量も建設投資の縮小により減少傾向をたどる見込みだ。

2.加工産業
 自動車の国内生産台数については、日本の内需が低迷するため国内販売台数は減少していくものの、世界経済の成長を利用して輸出台数が伸びる。機械受注額は、成長分野である携帯電話、医療機器などの電子・通信機械が国内外ともに大きく伸びる。産業機械は内需向けには伸び悩むが、高性能を維持している建設機械などに対する海外需要に支えられ輸出が伸びる。

3.エネルギー・運輸
 エネルギー消費量は、原油価格の上昇(2020年に1バレル当たり129ドル)による押し下げ要因はあるものの、マクロ経済の回復により緩やかに増加する。温暖化ガスである二酸化酸素(CO)排出量も、エネルギー消費の増大に伴って増加する。また、レジャーや出張などに伴う国内旅客輸送量は、2010−20年度の間、少子高齢化に伴う人口減により、微減傾向に歯止めはかからない。一方、国内貨物輸送は、景気回復に伴い、物流が活性化し、微増傾向が続く。

4.建設・住宅
 新設住宅着工戸数は、100万戸を割り込む状態が継続する。内訳としては、単身世帯の増加により持ち家率が低下し、賃貸へのシフトが進む。名目建設額は内需低迷により、09 年度の45.1兆円から15年度には41.8兆円、20年度には 38.4兆円を見込む。

5.消費・サービス
 百貨店の衣料品売上高全体は減少傾向が続くが、婦人服の売り上げは若年世代の購買意欲が高いことから2016年にも底入れする。外食産業市場規模は09年度の23.9兆円から20年には21.0兆円に縮小、その一方で利便性の高いコンビニ弁当など料理品小売業市場規模は09年の6.1兆円から20年に7.6兆円拡大する。学習塾・予備校の市場規模は、世帯当たりの子どもにかける教育費は増加する傾向にあるが、子ども数の減少の効果が大きく縮小が続く。酒類課税数量は若い世代で顕著な「酒離れ」が影響し減少すると見込まれる。サービスの中では、映画やコンサートなどの鑑賞レジャーが有望だ。不況期に強く、所得階層による需要の差が少ない。

本文


総括表(産業連関予測、主要サービスと商品の動向)


第37回 中期経済予測(2010−2020 年度)「世界経済の成長生かせるか――早期のデフレ克服求められる日本経済」はこちら

△このページのトップへ

<内容に関するお問い合わせ先>
研究本部 予測・研修グループ :TEL:03-6256-7730、FAX:03-6256-7926
<著作権・転載に関するお問い合わせ>
総務・事業本部 広報・企画グループ :TEL:03-6256-7713、FAX:03-6256-7924

バックナンバーはこちら

△このページのトップへ