トップ » セミナー » 読むゼミ

読むゼミ

講演内容を文章に要約した抄録です。講演開催から1週間程度で掲載していますので、ご利用ください。 ※読むゼミ原稿は、日経センター担当者が録音テープをもとにまとめ、講師のチェックを受けています。

「読むゼミ」試読版はこちら。
「聴くゼミ」はこちら。

日本のエネルギー問題をどう解決するか
2012年4月13日(金)開催 (掲載日:5月14日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
植田 和弘・京都大学大学院経済学研究科教授
要旨
重要なエネルギーシステムの再設計―国民的議論と政策総動員で推進を
@エネルギー政策を巡る問題は複雑多岐にわたる。エネルギー基本計画の見直しという中長期の議論と、原発再稼働という目先の議論は、分けて考える必要がある。
A原発再稼働はその必要性だけで考えてはならない。地元の納得が得られるか、福島の事故原因究明、原発の安全規制、事故が起こった場合の対策も、判断基準として不可欠だ。
Bエネルギー基本計画の見直しにあたっては、電力・エネルギーシステムの改革と、その結果としての電源・エネルギーミックスを、選択肢として国民に示すことが必要である。
C国家戦略室のコスト等検証委員会が示した電源別発電コスト集計は、計算の方法まで国民が見ることのできる画期的なもの。これを見る限り、原発は必ずしも安価な発電方法ではない。
D電力・エネルギーシステム再設計には、持続可能性の原則適用が必要。経済構造を変革するという観点に立ち、国民的議論と政策総動員で進めたい。
詳細(PDF)はこちら
欧州政府債務危機と通貨統合
2012年4月27日(金)開催 (掲載日:5月11日)
日本経済研究センター
講師
齋藤  潤・日本経済研究センター研究顧問
要旨
最適通貨圏に向けた構造政策が不可欠―「負のスパイラル」への対応も課題
@ギリシャをはじめとする南欧諸国は財政再建に着手したが、財政再建と景気悪化の「負のスパイラル」が発生。金融機関による信用収縮も経済を下押ししている。「負のスパイラル」を緩和するには、国際機関を中心として、各国で異なる財政状況を踏まえた財政再建のスピード調整を行う必要がある。
A欧州中央銀行(ECB)の資金供給や財政協定の進展、ギリシャ2次支援でマーケットは落ち着いてきたが、政策対応としては、財政再建だけでなく、生産性を高めるための構造政策を進めることが重要である。柱となるのは、硬直的労働市場の改革とサービス部門・職業部門での競争促進である。
B最適通貨圏でない国々の通貨統合だから失敗したという議論があるが、通貨統合後に最適通貨圏に向けた構造政策が行われていなかったことが問題である。南欧諸国はユーロ導入後の長期金利低下による好況で構造政策を先送りした。経済状況が良いときこそ構造政策を進めるべきであった。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
2012年度の景気動向
2012年4月20日(金)開催 (掲載日:5月9日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
嶋中 雄二・三菱UFJモルガン・スタンレー証券参与・景気循環研究所長
要旨
反転強め、回復軌道たどる―相次ぐイベントもプラス効果
@米国経済は全体的に改善方向にあり、失業率は夏までに劇的に改善する可能性がある。債務危機に揺れる欧州は足元の景況感はしぶとく、先行指標からも大底を打ったと判断できる。新興国も危機を脱しつつある。
A2012年は主要国の大統領選や五輪などのイベントが相次ぎ、世界中で「盛り上がる年」となる。日本も今年竣工の大規模再開発計画が目白押しで、景気へプラス効果が期待できる。各種の経済指標も反転し、回復傾向が強まっている。
B国内景気は設備投資を中心とする10年周期くらいの「中期循環」の上昇局面も視野に入っている。そうした中で、政府目標の名目成長率3%を達成するには、日銀によるマネーの追加供給が欠かせない。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
≪希望と成長による地域創造研究会―「地域アイデンティティ」研究分科会報告≫
2012年4月10日(火)開催 (掲載日:5月8日)
講師
<対談>
玄田有史・東京大学社会科学研究所教授(地域創造研究会主査)
藻谷浩介・日本総合研究所主席研究員(地域創造研究会副主査)
要旨
かけがえのなさが本質―あるもの探しで発見できる
@長男が地域でチャレンジするようになり、集客交流産業が高度化しており、いずれ地域の人口が下げ止まるのではないか。
A人間には、交換できる価値ではなく取り替えのきかない自分を目指す非交換価値獲得欲求がある。非交換価値とは「かけがえのなさ」であり、それがアイデンティティの本質だ。
Bイノベーションを生み出すのは、交換価値獲得欲求ではなく「好きでたまらない」など「かけがえのなさ」だ。
C「かけがえのなさ」を発見するには、「ないもの探し」ではなく「あるもの探し」から始めることだ。ちょっとしたことにも、「かけがえのなさ」は宿る。
D他の地域や人と「weak ties」(緩やかな絆)を持つことが、「かけがえのなさ」の発見につながる。
E非交換価値を追求しても、多数は交換価値を求めて働くので、経済が回らなくなることはない。
詳細(PDF)はこちら
参考 地域アイデンティティ研究11年報告書
≪日経センター「中国研究」報告≫ 台頭する中国、日本はどう向き合うか
2012年4月16日(月)開催 (掲載日:4月25日)
日本経済研究センター
講師
丸川知雄・東京大学社会科学研究所教授
山崎正樹・日本経済研究センター主任研究員
司会)北原基彦・日本経済研究センター中国研究室長兼主任研究員

要旨
日中貿易の拡大で地域安定―環境、日本企業は総合展開を
@日本と中国の貿易は機械を中心に産業内貿易が活発に展開されている。日中貿易は香港を間にはさむものが多いため、双方の統計とも自国の赤字だが、輸入統計同士を突き合わせると2006年以降は日本の黒字であり、しかも黒字が急拡大している。
A日中貿易では貿易赤字が深刻でないため、日米や米中のような貿易摩擦はない。しかし、過去のプラント契約破棄や、最近のレアアース問題のような摩擦が起きる。環太平洋経済連携協定(TPP)より日中韓自由貿易協定(FTA)の方が日本にとって効果は大きく、日中貿易を安定的に拡大することが地域の安定につながる。
B中国では急速な経済成長と、資源多消費型の発展モデルにより環境問題が深刻化している。
C中国での環境ビジネスは日本企業にとって商機である。日本企業は価格を下げ、複数企業による総合的な事業展開を目指すべきである。
詳細(PDF)はこちら
資料
丸川氏資料
山崎資料
北原資料
聴くゼミ(音声)
身近なデータで読む日本経済―オリンピックからヒット曲、ドラマまで
2012年4月9日(月)開催 (掲載日:4月16日)
日本経済研究センター
講師
宅森昭吉・三井住友アセットマネジメント理事・チーフエコノミスト
要旨
身近なデータも景気回復示す−世相前向き、消費底堅く
@辰年には円安・株高となる経験則がある。今回は2月に、欧州債務危機懸念弱まったこと、米国景気が予想以上に底堅いことと、日本の貿易収支が赤字に振れたことから、円安が進んだ。ジンクスが的中する可能性が大きい。
A身近な社会現象のデータには景気や世相が映し出される。「今年の漢字」や人気のテレビドラマを見ると、東日本大震災からの復興に対しての、人々の前向きな気持ちが読み取れる。
B子ども向けの音楽CDでヒットが生まれているのは、親の財布の紐が緩んでいるからだ。正月の初詣の人出や箱根駅伝のテレビ視聴率を見ても、消費の底堅さがわかる。景気の見通しは当面明るいだろう。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料@
セミナー資料A
≪希望と成長による地域創造研究会−「地域から考える成長戦略」研究分科会報告≫
復興支援を地域の内発的成長につなげよ― 被災地の現実と経済学の視点から
2012年3月28日(水)開催 (掲載日:4月16日)
日本経済研究センター
講師
<基調講演>
小峰隆夫・日本経済研究センター研究顧問(研究会主査、法政大学大学院教授)
<ゲスト講演>
増田寛也・野村総合研究所顧問(元総務大臣、前岩手県知事)
<パネルディスカッション>
増田寛也・野村総合研究所顧問
岡本義行・法政大学大学院教授(研究会副主査)
樋口一清・信州大学大学院教授(研究会副主査)
中川雅之・日本大学経済学部教授(研究会副主査)
小峰隆夫・日本経済研究センター研究顧問
司会)小林辰男・日本経済研究センター主任研究員
要旨
東北復興を日本再生のモデルに―持続的成長に民間活力を引き出せ
 日経センターの希望と成長による地域創造研究会「地域から考える成長戦略」研究分科会では2011年の東日本大震災の発生を受けて、このほど「復興支援を地域の内発的成長につなげよ」と題する報告書をまとめた。本セミナーはこの報告会である。
 セミナーではまず研究会の小峰主査が「被災地の厳しい現実を見据え、経済学的な視点に立ち、民間と政府の政策の適切な組み合わせを示すことが報告の基本姿勢である」と基調講演を行った。
 次にゲスト講演に立った増田氏は「被災地の現実から見て、住居の確保・雇用・がれき処理・福島県・心のケアの5つが緊急の課題である」と今後の復興政策のポイントを挙げた。
 続いてパネルディスカッションに移り、報告書の内容を中心に討論を繰り広げた。
 岡本副主査は漁業先進国ノルウェーとの対比から「日本でも漁業に携わる人たちを教育しながら知識産業化・クラスター化を促し、地域の雇用を生み出すようにすべき」と力説した。
 樋口副主査は「被災地ではボランティア等の社会的起業のための制度整備が急務。それが産業の新陳代謝と地域の活性化につながる」と起業を軸とした成長戦略を提起した。
 中川副主査は効率性の観点から「成長都市か収縮都市かで復興政策は異なる。成長都市は元の姿に戻すことが目標となるが、収縮都市は都市部への集積を促すことが重要」と指摘した。
 討論の最後に小峰主査が「持続的な成長のためには、被災地だけでなく日本全体が民間主導で成長するという理念を確立しなければならない」と総括した。
詳細(PDF)はこちら
資料
増田氏資料
岡本氏資料
樋口氏資料
中川氏資料
小峰研究顧問資料
参考 地域から考える成長戦略研究11年報告書
中国経済の「量から質へ」の転換にどう対応するのか?
2012年3月23日(金)開催 (掲載日:4月11日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
肖 敏捷・ファンネックス・アセット・マネジメント首席エコノミスト
要旨
消費主導で「中成長」を実現―都市化やサービス需要が牽引役
@ 中国の今年の経済成長率目標は7.5%となったが、下限であり、失速を心配する必要はない。問題は、リーマン・ショックの後遺症が大きく、投資依存型の高成長モデルが限界に達しつつある点である。
A 過去10年間の構造改革は失敗に終わった。消費主導で「中成長」に持っていこうというのが今後のシナリオだ。また、人件費の上昇に伴い、産業構造の高度化、個人消費の裾野の拡大など、「量から質へ」の転換が、中国経済のこれからのキーワードといえる。
B 経済発展から社会発展に向け、都市化や日本並みの速さで進む高齢化に対応したサービス機能の充実も急務となっている。雇用創出の点からもサービス産業への期待が高まる。
C 企業にとっては、そうした流れに見合った消費とサービスをいかに提供するかがポイント。高品質を強みとする日本企業にとっては、対中ビジネスを拡大させる好機となろう。
詳細(PDF)はこちら
「働きたい会社−従業員価値を高めるには」研究会報告
「働く人に選ばれる企業」とは?
2012年3月16日(金)開催 (掲載日:4月4日)
日本経済研究センター
講師
呉田弘之・サントリーホールディングス人事部部長
鶴光太郎・経済産業研究所上席研究員兼プログラムディレクター
幡宏幸・京都銀行人事部長
守島基博・一橋大学大学院商学研究科教授
要旨
「成長」、「尊重」が重要―現場のマネジメント改革を
 「働きたい会社−従業員価値を高めるには」研究会の成果について、守島研究会主査が報告。○従業員にとっての企業価値(従業員価値)が高い企業が「働きたい会社」、○「働きたい」は「働きがい」と「働きやすさ」の両方が重要で、「成長」「尊重」という従業員価値と特に関係している、○「働きたい」という意識は、現場でのマネジメントの内容が重要である、などが明らかになった。「働きたい会社」の考え方は、企業や国の活性化にも役に立つだろう。
 パネルディスカッションでは、幡氏、呉田氏が、それぞれ自社のHRM施策、従業員調査の結果について説明。鶴氏は、研究会報告に対し、従業員価値を考える時、過去から現在、未来へのプロセスの繰り返しを意識し総体的に捉えるという別の視点を提示した。
 議論では、○グローバル化、女性の活躍など多様化に対応するには、価値観の浸透、現場のマネジメントが重要、○「成長」促進には明示的な意思疎通で働くインセンティブを高めることが必要、○人材育成には自律性を尊重する、など方向が示された。
詳細(PDF)はこちら
資料
鶴氏資料
幡氏資料
守島氏資料
聴くゼミ(守島氏報告、音声)
<GSR研究会報告>問われる企業のグローバルな社会的責任―危機への対応、平時の取り組み
2012年3月8日(木)開催 (掲載日:3月30日)
日本経済研究センター
講師
高橋秀明・慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科特任教授(GSR研究会副主査)
梅津光弘・慶應義塾大学商学部准教授(GSR研究会副主査)
宮本武・グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク事務局長(GSR研究会副主査)
司会)竹中平蔵・日本経済研究センター研究顧問(GSR研究会主査)
要旨
地球規模の課題解決の担い手に―多様な主体との連携が重要
@企業には社会的責任があり、それはグローバルな文脈で考えるべきものである。こうした認識から日経センターは2009年4月、企業の地球的な規模での社会的責任を模索する「GSR(Global Social Responsibility)研究会」を設けた。
A我々はグローバル・アジェンダ、つまり地球的な課題に直面している。その解決に当たっては資金、人材、技術といったリソースを豊富に持つ企業の役割が重要である。ただし企業単独ではなく国際機関、各国政府、非政府組織(NGO)、非営利組織(NGO)などと連携して「マルチ・ステークホルダー」態勢を構築することが求められる。
B東日本大震災では日本の民の活力、企業の現場力が発揮された。日本人は経済合理性だけを追求しているのではなく、非常時には顧客や地域のために命がけで行動する。これは世界に誇れる企業倫理である。
CGSRでは事業性と社会性の両立が必要だ。これは簡単なことではないが、貧困層を労働者などとしてバリューチェーンに加える「包括的ビジネスモデル」など有力な手法が生まれている。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
21世紀の企業
2012年3月12日(月)開催 (掲載日:3月27日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
堀場雅夫・堀場製作所最高顧問
要旨
トップは自らの価値観を明確に―Win-Winの関係構築が重要
@近代西洋文明とは「近代資本主義」と「科学技術至上主義」が車の両輪のように回転する文明であるが、20世紀終わり頃から、両方にほころびが生じてきた。前者では富の偏重・格差の問題と行き過ぎた金融テクノロジーの問題、後者では核エネルギーの利用や、バイオ技術と生命倫理に関する問題である。こうした問題を解決するには、何より人間が謙虚になることだ。
A日本がまずなすべき課題は、一極集中の排除・地域主権国家の形成である。民活の導入により、これを進めるべきだ。
B21世紀の新しい資本主義を構築するため、企業の自助努力も必要。企業トップが自らの価値観を明確にし、すべてのステークホルダーとWin-Winの関係を築くことが大切である。
C企業教育も重要だ。どうすれば個人の能力を引き出せるかを第一に考え、最も適しているポジションに就かせることを目指すべきである。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
自然災害と危機管理
2012年3月2日(金)開催 (掲載日:3月22日)
日本経済研究センター 東京・昼食会
講師
河田惠昭・関西大学社会安全学部長
要旨
首都圏災害、全体的な危機管理を−「結果」を考え「想定外」をなくせ
@首都圏で予想される自然災害として、首都直下型地震、河川氾濫、高潮氾濫、それらの複合災害が挙げられる。それらによる被害の予想は極めて困難である。
A特定の規模、特定の場所を想定した自然災害予測は、「想定外」を生み出してしまう。それを防ぐには、ある程度幅を持たせた予測が必要だ。
B首都直下型地震の被害はとても大きなものとなる。被害を抑えるためには、地域ごとに対策をとるのではなく、それぞれの地域が協力し、全体として整合性のとれた対策をとらなければならない。
C災害対応は常に不確実な情報をもとに判断しなければならない。そのような状況で組織として適切な対策をとるには、リーダーシップが必要だ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
社会保障制度の再構築―保険と再分配のバランス
2012年3月9日(金)開催 (掲載日:3月22日)
日本経済研究センター
講師
田中秀明・政策研究大学院大学客員教授
要旨
社会保障改革:保険原理と再分配原理の区別がカギ―現在の問題を徹底的に議論せよ
@これまでの社会保障に関する議論は、財源に焦点が当てられている。その一方、現在の社会保障制度が抱える根本的な問題は十分には分析されていない。
A日本の社会保障の基本は社会保険とされているが、年金や医療制度において、制度間の財政調整と一般財源(税)の大量投入により、給付と負担が乖離し、ガバナンスが低下している。また、社会保険料の負担が極めて逆進的であり、非正規雇用の増大もあり、保険料の未納や減免などが増大し、保険制度が立ち行かなくっている。
B社会保障制度は、最終的には、何を公平・公正と考えるかという価値判断に依存するが、まずは、現在の制度が抱える問題を徹底的に分析することが必要である。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
温暖化防止を成長に―今後の国際的枠組みの見通しとビジネスチャンスを読み解く
2012年3月9日(金)開催 (掲載日:3月19日)
日本経済研究センター
講師
小林 光・日本経済研究センター特任研究員(前・環境事務次官)
要旨
「ポスト京都」は競争力向上の機会
@温暖化防止の国際枠組みを決めた京都議定書は、産業界が主張する「不平等条約」ではない。ドイツや英国など主要な欧州先進国は、日本よりも厳しい温暖化ガスの排出削減義務を負い、実際に削減目標を達成しつつある。
A日本の省エネルギー水準は世界トップといわれるが、昨今では欧州先進国に完全に追いつかれている。排出削減義務を負っていない中国や米国も相当なスピードで省エネが進んでおり、日本の優位な地位は揺らいでいる。
B2020年以降の国際的な枠組みを決める「ポスト京都」は世界が環境分野で大競争する仕組みづくりである。日本のビジネスチャンスを拡大するため、積極的にルール作りへ関わるべきだ。
C経済性を追求する際に、福島第一原発事故で明らかになった「社会的費用」を念頭においた経営や政策判断が必要になる。今後、環境ビジネスの場は、世界で拡大することは確実で、失われた10年、停滞の10年を抜け出す機会と考えられる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
国富論から幸福論へ 経済戦略とスティグリッツ報告
2012年3月7日(水)開催 (掲載日:3月16日)
日本経済研究センター
講師
福島清彦・立教大学経済学部特任教授
要旨
GDPに代わる「幸福度」増大を政策目標に―「暮らしの質」「持続可能度」は成長にも貢献
@欧米では、GDPとは別に「幸福度指標」を開発する動きが始まっている。その発端は、スティグリッツ米コロンビア大学教授がサルコジ大統領の諮問を受けて作った報告書にある。
AEUは「超GDP」の考え方で新戦略「EU2020戦略」を策定、米国もそれを取り入れた政策をとり、「主要全国指標」(KNI)の開発を始めている。
B新指標導入が目指すのは、経済成長ではなく個人の幸福度の増大だ。この基準で国民経済計算、家計所得、個人資産についても新たに測定しようという試みだ。
C個人の幸福で重要なのは健康、教育水準、他人との繋がり、そして持続可能性だ。
D個人の幸福度を高めると、やる気が出て全要素生産性が上昇、結果的に経済成長も促進される。
E日本のように人口が減る国こそ、新指標による新戦略が必要だが、まだ不十分である。幸福度増大のために、教育、社会保障、環境保全に対して、従来以上の取り組みをすべきである。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
競争激化する自動車業界―日本車の勝ち残りに向けて
2012年2月28日(火)開催 (掲載日:3月13日)
日本経済研究センター
講師
吉田達生・UBS証券株式調査部シニアアナリスト マネージングディレクター
要旨
世界市場の牽引役は新興国へ―市場ニーズへの迅速・果敢な対応が鍵
@ 国内の自動車市場の伸びが期待しにくい中、日本の自動車業界は様々な厳しい課題に直面している。特に東日本大震災・タイの洪水被害からの回復、円高への対策、そして欧州債務危機などへの対応などが喫緊の課題となっている。
A 米国市場は更新需要と移民増加に伴う新規需要を合わせると年間1500万台〜1600万台程度の新車販売台数が見込める。欧州市場の回復力はやや弱いが、中国市場は引き続き成長を持続している。世界の自動車市場は2000年代後半以降、中国を筆頭に新興国が牽引する構図となっており、長期的にも同様の状態が続くであろう。
B 韓国メーカーは世界で着々とシェアを伸ばし、米国では日本の大手3社に次ぐ存在へと成長した。日本の自動車業界は先進国市場での優位性を死守するとともに、新興国市場で市場ニーズに即した商品をタイムリーに投入し、存在感を高めるべきである。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
欧州ソブリン危機とユーロの将来
2012年3月6日(火)開催 (掲載日:3月12日)
日本経済研究センター
講師
ピーター・ベックス・欧州委員会経済金融総局国際関係局長
要旨
5つの具体策で債務危機克服―ギリシャの実行力など課題に
@欧州債務危機は経済の減速と銀行の脆弱化、政府債務への信頼の低下が相互に作用しあって、悪循環に陥ったと考えている。
Aユーロ圏の経済成長は2011年後半から大幅に減速し、2012年はマイナス成長のリスクが高まっている。
B危機に対処するために、5つの柱からなる計画を策定した。ギリシャ懸念の払拭、他の南欧諸国の財政強化、ファイアウォールの構築、銀行部門の強化、ガバナンスの強化だ。
Cギリシャの緊縮策実行力と、ESM拡充へのドイツの協力取り付けが課題。
Dガバナンスでは従来の安定成長協定の弱点を補うため、政府債務残高への監視の強化や制裁措置の自動発動などを盛り込んだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
TPPと日本のアジア太平洋経済戦略
2012年2月15日(水)開催 (掲載日:3月7日)
日本経済研究センター
講師
浦田 秀次郎・日本経済研究センター特任研究員、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授
山下 一仁・キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、経済産業研究所上席研究員
要旨
TPP参加で日本経済復活を―価格支持による農業保護の転換
@閉塞状態にある日本経済を復活させるためにTPP(環太平洋経済連携協定)に参加すべきだ。TPPはFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)に向けて交渉中の唯一の枠組みであり、自由で開かれたビジネス環境を形成、経済成長に貢献する。
A2国間FTAでは、原産地規則の問題などからメリットを十分に享受できない。
BTPPは国際社会での力の行使に対し、ルールで対抗する道を開く。TPPのルールは、将来の世界の経済ルールになる可能性がある。
C自由貿易で経済力を高めることは食料安全保障にも資する。
DTPP形成に向けた障害は、自由化で被害を受ける、主として農業部門からの反対であり、一時的所得補填などセーフティネットを提供することも必要。
ETPP参加で日本の農業保護政策を価格支持から直接支払いに変更すれば、消費者負担がなくなる。日本が価格支持にこだわるのは、手数料収入に依存する農協の存在が大きい。
F日本のコメの品質は高く、減反政策を廃止すれば、関税ゼロでも競争できる。国内農産物需要が減少する高齢化・人口減少時代には、農業のさらなる生産性向上を行い、自由貿易を推進し輸出市場を開拓することが、農地資源の確保による食料安全保障につながる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料(山下氏)
セミナー資料(浦田氏)
聴くゼミ(音声)
パワーシフトで変貌する国際金融と日本
2012年2月24日(金)開催 (掲載日:3月6日)
日本経済研究センター
講師
行天豊雄・国際通貨研究所理事長
要旨
世界経済を制覇する金融・情報―パワーシェアリングが世界安定化のカギ
@近年の世界経済は、「グローバリゼーション」、「金融と情報による世界制覇」、「パワーシフト」によって突き動かされてきた。
A金融の拡大は富をもたらすと共に、格差という社会問題を生み出した。情報革命は情報の双方向化を実現し、民主主義の根底を揺るがすまでに成長した。
B戦後、唯一の覇権国として世界を指導してきた米国の地位が低下した結果、パワーシフトが起こり始めた。欧州は米国に並ぶ地位を確立させつつあったが、債務問題に苦しんでいる。中国は経済大国として成長したが、世界の指導的地位に立つには、理念が必要である。
C多極化した世界を安定させるには、力と責任を公正に配分するパワーシェアリングの仕組みを構築することが鍵となる。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
WTO加盟に向けたロシア経済
2012年2月28日(火)開催 (掲載日:3月1日)
日本経済研究センター
講師
浅元薫哉・日本貿易振興機構 海外調査部欧州ロシアCIS課
要旨
WTO加盟で投資・技術の導入目指す―欧州危機で貸し渋り懸念も
@ロシア経済は潜在的な市場規模の大きさを背景に比較的安定成長が期待されているが、欧州危機からの金融機関による貸し渋りが、ロシア経済へ悪影響を及ぼす可能性がある。
A持続的な経済成長を実現するには外国からの資本や付加価値の高い技術の導入が必須で、WTO(世界貿易機関)加盟もその一環。加盟による市場開放は段階的で投資環境改善には時間が必要となるが、先行利益獲得を目指す外国企業の進出が加速している。
Bプーチン氏が最終的に大統領に当選する見通しが強い。プーチン氏は産業の多様化が必要という認識を持っており、WTO加盟によって外国企業の信頼を獲得する必要性を感じている。選挙後の混乱を乗り越え、WTO加盟や経済自由化を着実に成し遂げることがロシア市場の信頼性を高める。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
日本経済研究センター・野村総合研究所・北浜法律事務所共催インドセミナー
「M&Aによるインド進出の現状と留意点」
2012年2月16日(木)開催 (掲載日:3月1日)
日本経済研究センター
基調講演「インド企業・財閥の動向」
 マイケル・チャンディ・NRIインディアグループマネージャー
第一部:「インド進出の法務〜M&Aによるインド進出の現状と留意点〜」
 酒井大輔・北浜法律事務所弁護士(パートナー)
第二部:「インドにおけるM&A成功の秘訣−ケーススタディを元に−」
 又木毅正・野村総合研究所上級コンサルタント
パネルディスカッション
(パネリスト)
 又木毅正・野村総合研究所 上級コンサルタント
 酒井大輔・北浜法律事務所弁護士
 中島久雄・NRIインディア社長
(コーディネーター)
 山田 剛・日本経済研究センター主任研究員
要旨
第一線の専門家がインド進出に際しての疑問に回答
 日本経済研究センター(JCER)と野村総合研究所(NRI)、北浜法律事務所は2月16日、東京・大手町の日経カンファレンス・ルームにて、「M&Aによるインド進出の現状と留意点」をテーマとしたインド・ビジネスセミナーを開催した。セミナーには、各企業で実際にインド関連業務を担当したり、インド進出を検討しているビジネスマンら約150人が参加した。
 基調講演では、「インド企業・財閥の動向」と題して、NRIインディア・グループマネージャーのマイケル・チャンディ氏がインドの経済・産業界の特徴、インド企業の経営スタイルや文化などについて解説。プレゼンテーションでは、北浜法律事務所の酒井大輔弁護士が、「インド進出の法務」について、M&Aなどによるインド進出で想定できるパターンや留意点について法律家の立場から詳しく説明。これに続いて、野村総合研究所の又木毅正・上級コンサルタントが、「インドにおけるM&A成功の秘訣−ケーススタディを元に−」と題して、実際にM&Aを実施してインド進出を果たしたコクヨなどの実例を挙げながら、インド進出に際してのノウハウや問題解決について解説した。
 パネルディスカッションでは、酒井、又木両氏に加え、NRIインディアの中島久雄社長をパネリストに、日本経済研究センターの山田剛・主任研究員がコーディネーターとして司会進行役を務め、インド企業が日本に寄せる期待やパートナー探しの実際、現地での紛争解決方法などについて意見交換を行った。
詳細(PDF)はこちら
円高下の国際競争力と雇用
2012年2月6日(月)開催 (掲載日:2月24日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
大坪 清・レンゴー代表取締役社長
要旨
当面続く円高、積極活用策が必要―雇用維持は生産性向上を基本に
@現在の円高は当面収まることはない。円高を抑えることより、円高にどう対応し、円高をどう活用していくかを積極的に考えるべきである。
Aこのような状況下で雇用を維持していくためには、生産性の向上を第一に考えるべきである。また、その生産性とは全要素生産性でなければならない。
B金融緩和をしても、通貨の発行増はすべてデリバティブなどの金融商品に回ってしまい、いわゆる「流動性のわな」に陥る危険性が高い。
C企業は円高を活用するため、積極的に海外投資を進めるべきである。その場合に留意すべきなのは、他社にはない付加価値をシステムとしてつくり上げることだ。
D国際競争力をつけるためにはTPPへの参加が不可欠。また、今後の経済力を測るモノサシとして、GDPよりもGNIを採用すべきである。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
変容する世界と日本
2012年2月13日(月)開催 (掲載日:2月22日)
日本経済研究センター
講師
竹中平蔵・日本経済研究センター研究顧問
要旨
復興の間に、増税よりも抜本改革を―経済は国内外とも先行き不透明
@1月に行われたダボス会議では、欧州経済に関心が集まった。欧州の問題は、Liquidity(資金の流動性)ではなくSolvency(返済能力)の問題であり、さらに、債務危機ではなく銀行危機だ。
Aアメリカでは大統領選、中国では国家首席交代を控え、その動向は各国に影響を与えるだろう。
B日本経済は現在、「異常」な状況にあり、そのような状況下での増税は望ましくない。仮に増税するのなら、高齢者向け社会保障ではなく、若い世代への支援に税金を使うべきだ。
C震災に関して総括し、ビッグピクチャーを描き、それを政治のリーダーシップで実践していくことが求められている。
詳細(PDF)はこちら
会社法改正の行方と実務への影響
2012年2月9日(木)開催 (掲載日:2月20日)
日本経済研究センター
講師
中村信男・早稲田大学商学学術院教授
要旨
ガバナンス強化へ選択肢提示――「社外」義務付け、企業に利点も
@昨年12月、法務省が「会社法制の見直しに関する中間試案」を公表した。法施行から5年が経過し、課題を整理するとともに、日本企業のガバナンス改善に向け、選択肢を提示している。
A中間試案では、社外取締役の導入義務付けや第3の統治形態の導入を提案している。企業側の利点としては経営判断が迅速にできる措置なども一部取り入れているが、なお課題がある。
B産業界は規制強化に反対しているが、ベストプラクティスの策定や実践に自ら進んで取り組むことで、日本企業のガバナンスに対する信頼を高めることができるのではないか。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
野田政権と消費税政局
―「決められない政治」から脱却できるか
2012年2月9日(木)開催 (掲載日:2月16日)
日本経済研究センター
講師
西田睦美・日本経済新聞論説副委員長兼編集委員
要旨
税・社会保障改革が試金石に―民主党の政策決定、混乱なお
@野田佳彦首相は、政権基盤の弱さから人事でつまずいている。1月の内閣改造で田中防衛相を起用したのは明らかな失敗だ。藤村官房長官、古川経済財政担当相も力不足である。
A民主党は政策決定がなお混乱している。年金改革は、具体的な制度設計を怠り、党内でも理解されていないなど準備不足だ。政策を決める仕組みも確立していない。党内に小沢一郎元代表の抵抗勢力を抱えるのも混乱を招く構造要因だ。
B税と社会保障の一体改革は「決められない政治」から脱却できるかの試金石になる。ヤマ場は5−6月に来る。解散、首相退陣のシナリオもあるが、改革法案を通した上で話し合い解散するのが与野党にとって望ましい。世論もカギを握る。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
関西経済の成長戦略
2012年1月25日(水)開催 (掲載日:2月13日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
稲田義久・甲南大学経済学部教授、アジア太平洋研究所理事・研究統括
要旨
「ライフ」「グリーン」関連に軸足―カギは持続的革新とスピード感
@関西経済は、東日本大震災後の電力供給の制約や超円高、タイ洪水の影響もあって、34カ月ぶりに純輸出が赤字に転じるなど、取り巻く環境は厳しくなっている。
A電力供給の制約に伴う関西地区の昨夏の需要抑制率は全国に比べてかなり低かった。きめ細かで効果的な節電策を広域的に実施することが求められており、今後の成長戦略を考える上でも示唆に富んでいる。
B関西経済のポテンシャルを念頭に置いた成長戦略の柱は、医療を軸とした「ライフ」関連と環境・エネルギーを含む「グリーン」分野。具体化に向けた総合特区も承認された。
C実現のためには、ブランド化の促進、アジアを軸とした海外の所得の取り込み、人材の育成・活用、広域連携が欠かせない。とりわけ付加価値を高めるためのトータルな取り組みが重要で、持続的イノベーション(革新)とスピード感がキーワードだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
日本経済再生への道−グローバル化と産業集積
2012年1月20日(金)開催 (掲載日:2月9日)
日本経済研究センター
講師
戸堂 康之・東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
要旨
海外、地域との「つながり」で成長を―中小企業でも世界進出で飛躍可能
@日本経済は危機的な状況にあるが、制度の転換により再び成長を取り戻すことが可能である。経済成長をもたらす技術進歩は、海外や地域との「つながり」によって得られる知識、技術、情報によって活発になる。
A日本には生産性が高いが、グローバル化していない「臥龍企業」が多い。また地方に産業集積が少ないという問題がある。これらは政策によって解決する必要がある。
B情報の非対称性や外部不経済などの問題も抱える市場には、問題点を解決するために政策による適切な介入が必要だ。だが企業の開業率を低迷させているような中小企業保護策は、行き過ぎで市場に悪影響がある。底力のある日本企業がグローバル化や産業集積を進め、適正な政策がそれを補助することで、日本が新たな成長路線に乗ることは十分に可能である。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
アラブ社会の未来図
2012年1月25日(水)開催 (掲載日:2月6日)
日本経済研究センター
講師
池内 恵・東京大学先端科学技術研究センター准教授
要旨
エジプトなどの代議制政治、中東民主化の試金石に―国民統合の度合いが「変化」を左右
@1年間という非常に短い期間では、革命や民主化という大きな変化は完結しない。重要なのは、既存体制に対する抗議行動が公然と行われたというプロセスだ。
A全てのアラブ諸国がエジプトやチュニジアと同じ速度で同じ方向に進んでいるわけではない。国民統合の度合いや、社会的な亀裂の程度によって、社会からの異議申し立ての形態や政権側の対応が異なり、当面の帰結も変わってくる。
Bアラブ社会の変化の根源にある原動力は、国民統合が進んだエジプトやチュニジアなどの、先行して代議制政治を行っている国の実例だ。この変化のプロセスがアラブ社会に波及していく事を注視していく必要がある。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
中国・人民元制度改革の意図と戦略
2012年1月18日(水)開催(掲載日:1月30日)
日本経済研究センター
講師
曽根康雄・日本大学経済学部准教授
要旨
慎重に取り組む資本自由化―国際化はどこまで進められるのか
@中国は、国内の経済・社会の安定を優先するため、これまで為替制度の自由化を慎重に進めてきているが、近年は人民元の国際化の試みにも積極的である。国内の社会・経済の安定維持と国際金融システムにおける発言力の増大という2つの目標を同時に進めるために、自由化と国際化を使い分ける戦略を取るものと考えられる。
A自由化の進展は、マクロ経済の管理を難しくし、社会・経済の安定を損なうリスクがあるため、そのペースを加速することに対しては依然として慎重であり続けるだろう。
B現在香港の人民元オフショア市場を舞台に、人民元国際化の試行が始まっているが、これが資本取引規制緩和への圧力を強める可能性がある。一方で、マクロ経済管理の必要から、自由化・国際化への規制が強化されるリスクもあることに留意すべきである。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
揺れる世界秩序と日本経済
2012年1月16日(月)開催 昼食会(掲載日:1月23日)
日本経済研究センター
講師
小島 明・日本経済研究センター研究顧問
要旨
日本は「キャッチアップ・モデル」から脱却せよ―新成長戦略の構築が不可欠
@2012年は米国や中国などで選挙や指導者交代が行われる年であり、不確実性・不透明感に包まれよう。中国ではナショナリズムが高揚する中で、軍拡が進められている。指導部が軍をうまくコントロールできなければ、東アジアの安全保障の懸念を増幅する恐れがある。
A欧州債務危機は問題が山積しているが、各国政府は政争に明け暮れている。イタリア、スペイン、ポルトガルなどの国債の多くが満期を迎える2012年前半が山場となる可能性が高い。早期に有効な政策を打ち出せるかが問われよう。
B欧州債務危機は、東アジアへの輸出や円高を通じて日本経済に悪影響を与えうる。日本は、従来の成長戦略である「米欧へのキャッチアップ・モデル」から脱却し、独自の新戦略を構築することが重要。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料@
セミナー資料A
聴くゼミ(音声)
世界経済の現状と行方
2011年12月16日(金)開催(掲載日:1月5日)
日本経済研究センター
講師
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト
要旨
ユーロ圏の財政統合は不可避か―世界経済のカギ握る欧州の動向
@2012年の経済成長見通しは、日本が+1.2%、米国が+1.5%、ユーロ圏が+0.0%、中国が+8.5%。深刻な債務危機に直面する欧州が解決策を見出すのは容易でない。EUは今後、財政統合の道を歩まざるを得ないのではないか。
A中国にとって欧州は最大の輸出先だ。債務危機は、過熱気味だった中国経済を、貿易を通じて調整する機会となり得る。ただ、危機に過剰反応して、中国が景気刺激策を繰り出すとインフレ高進などのリスクが高まる。
B米国のバランスシート調整の進捗は6割程度か。高失業率には構造的要因があり、簡単に低下しないだろう。雇用動向や欧州情勢次第では追加金融緩和もあり得る。日本の経常収支は遅くとも2020年代初頭には赤字となる見通しだ。また、政府は早急に税と社会保障の一体改革に取り組むべきである。
詳細(PDF)はこちら
≪朝食懇談会:大阪≫日本の政治をどう変えるか
2011年12月19日(月)開催(掲載日:12月27日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
渡辺喜美・みんなの党代表、衆議院議員
要旨
国のシステム転換、覚悟と戦略が必要
@大阪ダブル選挙での「維新の会」勝利は、大阪都構想実現による地方主権の確立に向け、住民が動いたという点で、歴史的な意義がある。
A地域主権・脱官僚をマニフェストに掲げながら、官僚依存から脱することができず、増税路線に走った民主党政権は、国民の信頼を失った。
B長引くデフレと超円高による経済の劣化から日本が脱するためには、増税に頼ることなく、積極財政と金融緩和を同時に進めることが重要。
C医療・介護制度をはじめ、権限、財源と人間を徹底的に地方に移譲していくことが、官僚統制から脱するための一番の近道である。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
≪東京昼食会≫グローバル化と日本のものづくりの課題
2011年12月7日(水)開催(掲載日:12月21日)
日本経済研究センター
講師
藤本隆宏・東京大学大学院経済学研究科教授、東京大学ものづくり経営研究センター長
要旨
長期全体最適の競争力維持を最優先に―強い現場、日本に残せ
@震災、超円高で日本の一部経営者は極端に弱気だが、そう言う時に判断を誤りやすい。コスト高を招くサプライチェーンの複線化や、短期損益計算のみによる国内工場の過度な閉鎖に走れば、企業は長期的なバランスを失い衰退しかねない。有事には追加コストを最小化しつつ、他工場へ設計情報を移したり、調達先の状況を把握できる仕組みの構築が必要だ。
A原発の代替として期待される太陽光パネルはモジュラー型製品であり、厳しい性能規制を課さぬ限り、日本の得意な擦り合わせ型製品とはならない。環境エネルギー政策と産業政策その他を連動させるために、省庁の枠を超えた部門横断的な組織を政府に設置すべきである。
B日本の強みは少数精鋭の多能工のチームワークが支えるものづくり現場にある。本社は現場と目標を共有した上で、国内外拠点を同時に強化し、「二本足で立つ経営」を目指すべきである。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
≪大阪昼食会≫これからの日本
2011年12月8日(木)開催(掲載日:12月19日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
福井俊彦・キヤノングローバル戦略研究所理事長
要旨
経済・社会モデルの再構築を―財政再建・環境対応が重要課題
@債務危機の欧州、財政悪化の続く米国など、先進国を中心に世界経済は不確定要因の多い状態が続く。中国も高度成長がいつまで続くか不透明だ。
A日本も高度成長期のような明確な目標を失う中、経済成長と財政再建という2つの課題を背負い続けている。東日本大震災の発生で、荷は一層重くなった。
Bこれからの30〜50年を見渡した時、日本には新たな3つの経済・社会モデル構築が求められる。グローバルマーケットの活用、地域コミュニティの再興、金融システムの健全性確保と機能向上である。
C財政再建、人口減対策などが重要課題だ。消費税率の引き上げは避けて通れない。総人口減少を8000万人程度で食い止める策も必要だ。
Dエネルギー・環境政策の再構築も重要。原子力エネルギーの位置付け見直しが必要だが、化石燃料への依存度引き下げ分を原子力と再生エネルギーでシェアしていくのが、現実的な政策だ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
未来を切り拓く非正規雇用改革
2011年12月6日(火)開催(掲載日:12月16日)
日本経済研究センター 
講師
鶴 光太郎・経済産業研究所上席研究員兼プログラムディレクター
要旨
有期雇用改革が必要−中期雇用の創出で労働の質向上も
@非正規雇用問題の本質は、世間でよく取り上げられる派遣労働の問題ではなく、有期雇用の問題である。契約期間が、労働者の幸福度により大きな影響を及ぼす。
A雇用の不安定、待遇格差、雇用の質の低下といった有期雇用の問題に対処するためには、企業が有期雇用増大による生産性への悪影響を考慮し、こうした問題に対して真摯に対応すると同時に、そうした取り組みをサポートする環境整備に向けた有期雇用改革が求められている。
B具体的には、契約時点で将来の雇用に関する予測可能性が高まるコース分けや、有期雇用、無期雇用両サイドで多様な雇用形態を創出し連続的に繋がるような仕組みの構築、更には雇用不安定への補償と均衡処遇を推進することが必要である。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
2012年の米国政治経済展望
2011年12月6日(火)開催(掲載日:12月15日)
日本経済研究センター 
講師
今村 卓・丸紅米国会社ワシントン事務所長
要旨
他律的で不確実な米国の情勢―緩慢な景気回復と混戦模様の再選レース
@(経済)11年前半から夏にかけて企業・家計の景況感が急速に悪化、市場の景気見通しも下方修正が続き景気の後退懸念が浮上した。減速の要因として、1)エネルギー価格上昇による購買力低下、2)東日本大震災によるサプライチェーンの寸断、と言われているが、本質的には1)2)程度の要因で個人消費や設備投資が抑制される家計と企業の脆弱性が問題だ。金融危機の傷跡が依然として残っていることが影響している。12年前半は年率1%台、後半は2%強へとやや弾みがつくが最大のリスク要因は欧州債務危機である。
A(政治)有権者の主な関心は雇用、景気問題だが、現政権の3年間を考慮しても、景気や雇用が低迷している責任は共和党や金融機関とみる有権者は多い。12年の大統領選に向け、直近の世論調査ではごく僅かな差でオバマ大統領がリードしている。それは「共和党より多少まし」の消極的選択の結果であり、新たな失点があれば再選できない可能性は容易に高まる。今後の情勢は予断を許さない。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
世界経済の潮流2011 U
2011年12月8日(木)開催(掲載日:12月15日)
日本経済研究センター 
講師
嶋田裕光・内閣府参事官(海外担当)
要旨
世界経済の見通しは曇り模様―欧州は雨、または土砂降りの可能性も
@世界経済は金融危機の後遺症に悩んでおり、曇り模様が続いている。また、金融市場においてもより安全資産へ資金が向かう「質への逃避」が続いており、大きく動揺している。
A債務問題を抱える欧州では国ごとにばらつきがみられる。ドイツは競争優位を持つ産業を抱え、輸出主導の経済成長を遂げている。労働市場の柔軟性も経済成長に寄与している。一方で、南欧諸国は金融危機後の対応に苦しんでおり、輸出競争力の弱さも経済成長の回復を妨げている。雨、または土砂降りの可能性もある欧州の政策当局は難しい舵取りを迫られている。
B米国の空模様は小康状態にあるものの、鍵を握る消費と住宅投資の問題は解決されてはいない。連邦債務問題も抱えているため、財政支出も増やしづらい。中国やインドでは物価の上昇が懸念されており、当局は引き締めを緩められないでいる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
<シリーズ>新興国と日本F
インド進出企業のための税務・会計
2011年11月9日(水)開催(掲載日:12月9日)
日本経済研究センター 
講師
岩瀬 雄一・Fair Consulting Indiaマネージングディレクター、公認会計士、税理士
要旨
特殊・複雑な制度を理解し、有効活用を インド事業―源泉所得税とPE課税には要注意
@インドには、株式会社と組合の長所を結合したLLPという法人形態がある。対外商業借り入れや他の国内法人への投資は出来ないが、同国の特殊な税制の1つである配当税がかからず、設立手続きも容易というメリットがある。複数の事業を営む企業にとって、LLPの活用は非常に有効な手段となるだろう。
A源泉所得税を軽減させるために必要な納税者番号(PAN)取得は、申告書の提出に係る外注コストを考慮した上で決定するのが望ましい。また、租税条約の条項を正しく理解していないと、インドへ送金する場合に、延滞税及び二重支払いが発生する可能性があるので注意が必要だ。
Bインドの拠点がPE(恒久的施設)と認定され、日本本社の課税所得が狙われるリスクを回避するためには、プロジェクトオフィス開設を検討するのが良いだろう。
詳細(PDF)はこちら
消費重視の経済成長戦略
2011年11月28日(月)開催(掲載日:12月7日)
日本経済研究センター 
講師
櫨 浩一・ニッセイ基礎研究所研究理事、チーフエコノミスト
要旨
サービス消費で経済成長は可能―過剰設備投資が国民所得を圧迫
@外需に依存して経済成長しようという考えはいずれ行き詰まる。経常収支の黒字は円高を引き起こし、外需を増やすことは困難になる。対外収支の不均衡を再び拡大させれば、第2のリーマン・ショックにつながる。内需主導経済に転換する必要がある。
A設備投資に関しては、投資効率が低下しており、経済成長につながっていない。成長率が下がってくると、固定資本減耗が負担となり、国民所得を圧迫する。現在の日本の問題は需要が不足していることだ。
Bバブル崩壊後、労働分配率の高さが企業収益を圧迫していると言われたが、国民総所得で考えると分配率は上がっていない。日本は高齢化で消費をする世帯が増え、貯蓄率は下がっている。消費を刺激する手段がないという考え方は疑わしい。
C生産性が上昇しないサービス業でも経済成長ができないわけではない。製造業は価格下落で利益が出にくくなっている。介護や医療など本当に必要なものを供給することを考える必要がある。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
韓国のFTA戦略と経済動向
2011年11月17日(木)開催(掲載日:12月2日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
奥田 聡・日本貿易振興機構アジア経済研究所動向分析研究グループ長
要旨
果敢な同時多発的展開で成果―輸出ドライブに拍車かかる
@韓国の自由貿易協定(FTA)戦略は、強力なリーダーシップの下で迅速に交渉を進め、大国相手でも果敢に挑んで成果を勝ち取ろうとするのが特徴だ。
A「輸出なくして成長なし」の輸出立国としての認識が背景にあり、国民的合意の下、自前での自由貿易ネットワークの構築、「経済領土の拡大」を目指す。
BFTAによる国内被害を想定した対応にも素早く着手、農業対策では競争力向上、体質改善にカジを切る。半面、拙速さを指摘する向きや、農業対策も小手先との批判もある。
C未発効も含む韓国主要4FTAの影響を分析すると、韓国にとって韓中を中心に輸出増効果は大きい。割を食うのは日本で、特に中国市場での影響が際立つ。
D韓国経済は視界不良が予想され、内需不振からFTAの推進を通じた輸出ドライブに拍車がかかる。トップに躍り出た韓国企業も次なる目標設定が課題といえる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
《日本経済研究センター・仙台日経懇話会共催シンポジウム》東北復興の具体像を考える
2011年10月31日(月)開催  13:30〜16:00   (掲載日:12月2日)
日本経済研究センター
特別講演
「宮城県の復興計画と今後の課題」
村井 嘉浩・宮城県知事
パネルディスカッション
「東北の産業復興の方策を探る」
<パネリスト>
井上 明久・東北大学総長(宮城県震災復興会議副議長)
伊藤 克彦・仙台空港ビル社長(元宮城県副知事)
貝原 俊民・ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長(前兵庫県知事)
岡本 義行・法政大学大学院教授、日経センター地域創造研究会副主査
<モデレーター>
小峰 隆夫・日経センター研究顧問、地域創造研究会主査、法政大学大学院教授
要旨
一次産業、インフラ復興に企業の力を−特区で投資呼び込む
 前半の特別講演では宮城県の村井知事が、復興計画の基本理念と10年間の道筋を説明した。人口減少が進む中では第3次産業中心の県土づくりの継続は難しいため、「特区制度などを生かして企業の投資を呼び込みたい」と力説した。
 後半は東北の産業復興の方策を探るパネル討論を繰り広げた。
 東北大学の井上総長は災害科学国際研究所(仮称)の設置などの7つのプロジェクトを紹介し、「被災地の中核大学として地域の創造的復興に貢献していく。人材育成にも取り組みたい」と強調した。
 法政大学の岡本教授は漁業先進国ノルウェーを引き合いに出し、「東北の漁業復興では生産性を高めるため関連技術や流通、サービスも含めた知識産業化を進めるべきだ」と指摘した。
 仙台空港ビルの伊藤社長は「PFI(民間資金を活用した社会資本整備)の導入により経営効率化と競争力強化を図り、利用者を増加させて周辺地域の活性化と雇用拡大へとつなげたい」と地方空港経営の具体策を示した。
 前兵庫県知事の貝原氏(ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長)は阪神大震災当時の時代背景と対比しながら「高齢化社会では定年のない家族的経営の企業が重要な担い手になる。東北はその先導モデルとなりうる」と指摘した。
 討論の最後に司会の小峰日経センター研究顧問は「震災を契機に新たな発展モデルを生み出すことの重要性が浮き彫りになった。復興はこれからが本番。こうしたシンポジウムを通し復興へ向けて社会的関心を喚起し続けることも大切だ」と締めくくった。
全文詳細(PDF)はこちら
シンポジウムを終えて:司会総括はこちら
資料
村井氏資料
井上氏資料
貝原氏資料
岡本氏資料
小峰資料
高齢化とグローバル化のもとでの震災復興
2011年11月14日(月)開催:昼食会(掲載日:12月1日)
日本経済研究センター
講師
清家 篤・慶應義塾大学商学部教授、慶應義塾長
要旨
経済建て直しに向け、付加価値生産性を高めよ
@東日本大震災からの復興の問題について考える際には、実証科学である「実学」や正しい判断力を指す「公智」に加え、被災者に対する思いやりである「徳心」の3つの言葉を想起する必要がある。
A社会保障給付を若者世代に振り向けるためには、年金給付の伸びを抑制することが肝要。そのためには年金の支給開始年齢を引き上げることについても真剣に検討すべき。
B日本経済建て直しの鍵となるのは付加価値生産性の向上である。それを高めるのは設備投資や人的資本への投資だが、こうした投資を抑制する法人税や所得税の引き上げは行うべきではなく、復興や社会保障の財源としては消費税が望ましい。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
ソーシャルメディアをどう使うか―クラウド時代の企業情報戦略
2011年11月9日(水)開催(掲載日:11月22日)
日本経済研究センター
講師
関口和一・日本経済新聞社論説委員兼産業部編集委員
要旨
震災機に情報の共有と活用促す経営を デジタルネイティブの力生かせ
@今年3月11日に発生した東日本大震災後、情報の伝達手段としてインターネット上のサイトが活躍した。被災地の交通状況や救援物資の状況などを知らせるもので、1995年の阪神大震災の際に携帯電話が活用されたのとは異なる様相を呈した。
A世界ではIT(情報技術)のパラダイムシフトが起きており、クラウドコンピューティングやソーシャルメディアの利用が増えている。米国ではデジタルネイティブと呼ばれる世代の台頭が顕著である。ただ、サイバーテロや情報流出のリスクなど多くの課題も残されている。
B個人情報保護に対する根強い警戒感などから、日本はクラウド化などの動きで後れを取っている。震災後に浮き彫りになったソーシャルメディアなどの重要性、利便性を認識し、今後の経営戦略に役立てていくという姿勢が求められる。
詳細(PDF)はこちら
日銀短観の現状と課題―リーマン危機後の経験を踏まえて
2011年11月1日(火)開催(掲載日:11月15日)
日本経済研究センター
講師
小早川周司・日本銀行調査統計局経済統計課長
要旨
日本経済の現状をより的確に―「短観」のあるべき姿を常に追求
@短観の強みは、下記の3点に集約できる。
(1)地域別、規模別、業種別の動きをとらえたミクロ情報が充実していること。
(2)設備投資計画等については、6回に亘って調査を実施し、その修正パターンをみることによって、企業行動の変化をタイムリーに把握できること。
(3)充実した判断項目や計数項目を組み合わせることによって、業界の動きを多面的に点検できること。
A日本銀行では、短観を通じて日本経済の現状をより的確に把握するため様々な取り組みを続けている。東日本大震災後の短観調査(2011年6月調査)では、被災地データを含む形で調査結果を公表したほか、調査結果を見る際の留意点を予め公表した。
B先行きの課題としては、推計精度向上のために未回答企業の欠測値補完手法を再検討することや、「経済センサス」にあわせて標本設計手法を再検討することなどが挙げられる。今後とも、短観のあるべき姿を常に追求し、さらなる改善に向けた取り組みを続けていきたい。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
グローバルな金融危機を展望する
2011年10月26日(水)開催(掲載日:11月11日)
日本経済研究センター
講師
金 俊逸・韓国銀行経済研究院長、チーフエコノミスト
要旨
危機の処方せん、財政の有効活用を―危機国の救済と銀行の資本増強
@米国の危機は、官民問わず、バランスシートの調整が問題になっている。欧州は米国より深刻であり、公的債務危機と銀行危機という二つの危機を抱える。欧米の財政危機の歴史を振り返ると、財政危機と金融危機は互いに密接に関係している。
A多くの先進国が、財政債務の削減に苦慮している。インフレーションで債務を目減りさせることが手っ取り早いが、短期・中期債が中心の市場では、インフレ効果は期待しがたい。不確実性を少しでも減らすには、緊縮財政を行って市場の不安感を払拭し、景気拡大に繋げる方法が有用だ。
B限りある財源で、何を行うべきか。財政余地があるならば、銀行の資本増強を推進すべきであろう。なぜなら欧州の銀行は、債務危機国の国債の保有割合が高く、銀行経営に悪影響を及ぼしかねないからだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
欧州ソブリン危機の背景と現状
2011年10月28日(金)開催(掲載日:11月9日)
日本経済研究センター
講師
深尾光洋・日本経済研究センター研究顧問
要旨
危機防止には財政主権の制限を
@10月26日のEU(欧州連合)サミットではギリシャのデフォルト(債務不履行)を回避する救済策が打ち出されたが、スキームを支えるドイツ・フランスなど中核国の負担が重くなる仕組みである。
A欧州ソブリン危機の背景には、単一通貨ユーロの導入当初に資金調達コストが低下した PIIGS(ポルトガル、アイルランド、イタリア、ギリシャ、スペイン)諸国が景気過熱し、その結果発生した物価上昇で競争力が低下してしまったという事情がある。
B危機が起きてもアルゼンチンなどのように通貨の切り下げができないことが、欧州ソブリン危機を深刻にしている。物価を押し下げて競争力を回復するには永い時間がかかるだろう。
C ギリシャが耐え切れずにデフォルトすれば、イタリアなどへの波及懸念から資金シフトが発生する可能性が高い。(ギリシャ旧通貨)ドラクマの再導入やユーロ圏の通貨分割も考えられるが、国際契約上の問題があり難しい。
D 今後、こうした危機を防止するためには、ユーロ圏内で加盟諸国の財政をお互いに監視できる仕組みづくりが不可欠である。単一通貨ユーロの存続には、財政主権を制限して財政の実質的な統合を進め、EU連邦に向かうしか道は残されていない。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
2012年の中国経済−軟着陸は可能か
2011年10月24日(月)開催(掲載日:11月9日)
日本経済研究センター 
講師
関 志雄・野村資本市場研究所シニアフェロー
要旨
インフレ沈静し景気回復へ−高成長持続のカギとなる成長パターンの転換
@ 中国経済の見通しを考える場合、現在の高いインフレ率と不動産バブルが懸念材料として挙げられる。インフレ率は経済成長率の遅行指標であり、GDP成長率が昨年第1四半期11.9%をピークに低下していることから、今後インフレも徐々に収束していくものと推測される。一方、不動産バブルに関しては、既に住宅ローンへの制限のほか各種抑制策が実施されており、不動産市場は調整局面に入っていると考えられる。
A 中国は調和の取れた社会の実現を目指すにあたって、政府の指導方針として「5つの調和」と「成長パターンの転換」という2つの柱を掲げている。これらは地域発展等の公平性、投入資源の配分・効率性にかかわる問題に分けられ、現在、その実現に向けて地域格差の是正や産業の高度化といった取り組みがなされている。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
日本企業の生き残り策を探る
2011年10月20日(目)開催(掲載日:11月8日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
真田幸光・愛知淑徳大学ビジネス学部教授
要旨
原点に返り「立ち位置」を確認―独自の技磨き高品質・高利潤目指せ
@日本企業の生き残り策を考えた場合、鳥瞰図的、複眼的な視点に加え、全体の流れを巧みに読みながら現状を認識・分析する姿勢が欠かせない。
A先が読みづらい中では、企業経営も原点に立ち返り、世界の中での自らの「立ち位置」を確認することが重要だ。特に中堅・中小企業は「少量・多品種・高品質・高利潤」をキーワードに独自の技術やノウハウといった「無形資産」に磨きをかける戦略が求められる。
B地域の企業が協働によって成果を上げる例も出ており、行政も含めこうした動きを後押しする必要がある。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
主張する豪州―政治経済情勢の変化とアジア・太平洋地域での役割
2011年10月28日(金)開催(掲載日:11月7日)
日本経済研究センター
講師
寺田貴・早稲田大学アジア研究機構教授
要旨
加速させるアジア向け輸出―中・印の経済成長が鍵
@2008年リーマンショック時に中国は景気対策として50兆円規模のインフラ整備を実施。豪州への資源需要が高まり、10年には輸出の約25%は中国向けとなった。またインドへも過去5年で石炭の輸出は倍増しており、米・英国からアジアへと輸出の軸足が移り変わっていった。
Aアジアへの輸出を取り込むための戦略として、自由貿易協定(FTA)の締結に力を注いでいる。日本、中国、韓国とはやや交渉が難航しているが、新たにインドやインドネシアとも交渉を開始する予定だ。
B豪州経済の懸念材料としては、「中国市場への過度な依存」、「自然災害」、「豪ドル高」、「2013年次期選挙」が挙げられる。中国だけでなくアジア諸国への輸出を拡大し、資源ブームを財政の健全化や産業の育成に活かせるかが課題だ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
TPPの本質と日本の成長戦略
2011年10月7日(金)開催(掲載日:10月28日)
日本経済研究センター
講師
吉野文雄・拓殖大学海外事情研究所教授
要旨
日本の加盟が米国にとり至上命題―「共同市場」テコに切り返しも
@貿易自由化は世界貿易機関(WTO)主導による多国間交渉から、複数国間による自由貿易協定(FTA)締結への流れが加速。早い者勝ちの論理が背景にあり、本質は域外差別にある。
A日本ではFTAを、投資自由化などを含む経済連携協定(EPA)と言い換えるが、発効後に必ずしも貿易は拡大せず、経済の浮揚感も乏しい。直接消費者を利することもなかった。
B焦点となっている環太平洋経済連携協定(TPP)は、米国にとっては日米FTAの位置付けであり、日本が加盟しなければメリットがない。
C日本がTPPに加盟したとしても、経済構造改革の効果は薄く、農業保護は継続したまま見返りとしての膨大な補助金のツケが残るだけだろう。
D今後の日本の成長戦略を考えた場合、FTAから離れ、品目を限定した共同市場の創設などで切り返しを図る一方、受け身を脱し先手を打つ姿勢が欠かせない。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
「働きたい会社−従業員価値を高めるには」研究会
特別講演会・ディスカッション「不確実な時代の人材戦略」
2011年10月1日(土)開催(掲載日:10月20日)
日本経済研究センター
講師
【基調講演】
ピーター・キャペリ・ペンシルベニア大学ウォートン・スクール経営学教授、同校人材研究センター所長
【パネルディスカッション】
ピーター・キャペリ・ペンシルベニア大学ウォートン・スクール経営学教授、同校人材研究センター所長
加藤丈夫・元富士電機会長
清家 篤・慶應義塾大学商学部教授、慶應義塾長
司会)守島基博・一橋大学大学院商学研究科教授
要旨
あらゆる選択肢の動員を
 キャペリ教授は、人材の内部育成モデルは、他社からの引き抜きや人材需要変動の不確実化で困難になったが、人材の外部採用はリスクを除去できるがコストがかかるため、少しずつ内部育成し、不足分は外部採用するなど、あらゆる選択肢を柔軟に活用するのが望ましいとする。また、内部育成をうまくやる方法を紹介、特にそれを効率的に実現している例としてインドの企業をあげた。
 講演に続くパネルディスカッションで、加藤氏は、日本では実績と報酬の関係がこれまで人材移動を阻害しており、人材の内製・外部調達のミックスはこれからの日本企業の課題となると述べた。清家教授も同様に、内部育成と外部採用のバランスが大切である意見に同調。一方、国内のより高付加価値生産に対応する人材育成を政策的課題として挙げた。守島教授は、日本企業はこれまで非正規雇用などで不確実性に対応してきたが、今後は困難になるとし、その際、「働きがい」や「働きやすさ」を併せ持つ会社作りで人材をつなぎとめる「第三の道」もあると述べた。
詳細(PDF)はこちら
債務問題と欧州経済の展望
2011年10月6日(木)開催:昼食会(掲載日:10月18日)
日本経済研究センター
講師
浜矩子・同志社大学大学院ビジネス研究科教授
要旨
「財政恐慌」で欧州経済メルトダウンの恐れ―“2つのユーロ”に分けよ
@現在生じている欧州債務問題は、リーマン・ショックという金融恐慌からの復活のため、各国が財政を大出動させた事に端を発した「財政恐慌」である。しかしながら、ユーロという単一通貨圏においてこのような政策を取れば、ユーロ瓦解の危機に直面する事は想定の範囲内であった。
Aこの「財政恐慌」に対して欧州各国が取っている対策は欧州安定化基金(EFSF)、欧州安定化メカニズム(ESM)、欧州中央銀行(ECB)の3つを中心に説明できるが、いずれの対策、制度も問題の本質的解決にはつながらない。
B困難に直面するユーロ圏を存続させていくには、既存の経済学の枠組みでは想定されていない、「2つのユーロ」「複数金利」「EMSの復活」といった政策を検討すべきである。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
<AEPR特別セミナー>変わりつつある北朝鮮と世界
2011年10月7日(金)開催(掲載日:10月14日)
日本経済研究センター
講師
マーカス・ノーランド・ピーターソン国際経済研究所副理事長、シニアフェロー
要旨
国民に自由もたらす関与を―市場の発展通じて情報を拡大
@北朝鮮を逃れてきた脱北者への調査により、北朝鮮の統制的な中央経済体制は既に崩壊していることが分かった。国民は日常的に警察に理由もなく逮捕されており、釈放されるために賄賂が必要となるなど、腐敗が進んでいる。
A女性を中心に賄賂を払って、市場で取引をする人たちが増えている。国民の間では外国メディアへのアクセスが広がっている。しかし、北朝鮮の国民の間には、政権への不満が募っていても、組織的な抵抗は見られず、国民はバラバラである。
B北朝鮮への関与としては、対話や人道支援などの伝統的な関与のほかに、非国有企業に融資するなどの商業的関与が考えられる。市場が発展することで、国民が物質的に豊かになるだけでなく、市場の中で自由を獲得することができる。情報も入ってくる。市場を通じて強権的な政府に説明責任を迫ることにも意味がある。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
大震災後の日本―過去の危機から学ぶもの
2011年9月15日(木)開催(掲載日:10月7日)
日本経済研究センター大阪支所
講師
高田 創・みずほ総合研究所常務執行役員チーフエコノミスト
要旨
カギ握るバランスシート調整―新たな「資本」生み出す努力を
@東日本大震災の問題は突き詰めれば、資産が失われたことに伴うバランスシート(貸借対照表)調整の問題である。バブルの崩壊と同様、資産価値はなくなっても負債はなくならないからだ。金融機関や企業にとって「資本」の問題でもある。
Aバランスシート調整の基本は肩代わり、自国通貨安、先行き改善の3原則。最終的に国債発行という形で国が肩代わりをしてきたのがこれまでの一般的なプロセスだった。
B過去の2回の大震災時は円高という逆の局面での調整を余儀なくされたため、辛く厳しいものとなった。今回の大震災後の課題は、新たな資本をいかにつくり、二重ローン問題にどう取り組むかに集約される。
C欧米で起きている債務危機もバランスシート調整の問題であり、日本と似たような状況に陥る可能性がある。
Dグローバルな経済環境は大恐慌の頃に似てきている。日本としては単なる震災復興ではなく、次の展望を示し、対外発信力を高めながら危機に取り組むことが何よりも重要だ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
ポスト胡錦濤の中国政治と日中関係の展望
2011年9月15日(木)開催(掲載日:10月5日)
日本経済研究センター
講師
朱 建栄・東洋学園大学人文学部教授
要旨
中国、「社会」の近代化が課題―理解され信頼される国を目指せ
@中国は2012年10月頃に第18回共産党大会を招集し、党人事を一新する。続いて2013年3月に開催される第12回全国人民代表大会(全人代、国会に相当)で新しい国家主席と国務院総理(首相)以下の人事が決定される。
A習近平国家副主席が「ポスト胡錦涛」の一番手であることに疑いはない。問題は党人事一新による権力委譲が順調にいくかどうか。新たに設けられた年齢制限ルール等により、68歳以上の主要メンバーがほとんど引退する予定だ。
B新指導部にとって「社会の近代化」への取り組みが政策の重点となる。経済の効率や発展だけではなく、社会の公正・公平や法治といった課題に優先的に取り組んでいく必要がある。
C日中間では、相手国に対する国民感情は依然低迷している。両国とも新しい視点で相手を見て、長期的な関係を築くことが重要だ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
世界経済の展望と日本の針路
2011年9月22日(木)開催(掲載日:10月4日)
日本経済研究センター
講師
竹中平蔵・日本経済研究センター研究顧問
要旨
sunk costゼロからの復興―歴史的教訓に学ぶ復興政策 
@世界経済は、米国債格下げや欧州のソブリン危機といった世界同時不況に陥るかもしれないという状況にある。米国はバランスシート調整の長期化に政治の混乱が重なって格下げとなった。欧州は通貨統合による不都合と欧州銀行のバランスシート悪化が問題となっている。
A温家宝首相はサマー・ダボス会議で、米国債投資から米国株式投資への方向転換を示唆した。これは米国の赤字が拡大しても金利が上がらないというモラルハザードの抑止と、長期的な目線での賢い投資ポートフォリオを構築する意図がある。
B今回の東日本大震災は「複合連鎖危機」と言え、日本が得意としてきた分野の価値が改めて見直される機会となった。しかし同時に、sunk costゼロからの復興が可能となった。今後の復興に関しては「原理原則」「ビッグピクチャー」「より迅速に」の3点を歴史的教訓として活かすべきだ。
詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
産業としての再生可能エネルギー ―太陽光発電を中心に
2011年9月7日(水)開催(掲載日:9月29日)
日本経済研究センター
講師
桑野 幸徳・太陽光発電技術研究組合理事長
要旨
太陽電池は次代の基幹エネルギー−低コストで200兆円市場も
@約60年前のシリコン太陽電池の発明以来、光から電気に変える変換効率は4〜10倍、コストは100分の1になった。世界の太陽電池生産量は昨年で24GW(ギガワット)、前年比2.4倍と非常な勢いで伸びている。
A日本は1992年から主に住宅用が普及、日本企業は数年前は上位を独占したが、一時助成制度を中断したこともあり市場が縮小、現在、国別では中国・台湾、欧州の後塵を拝している。
B太陽電池は自己増殖できるエネルギー変換であり、さらなる
低コスト化によって人類の基幹エネルギーになり得る。寿命を延ばすことも低コスト化の方法だ。
C日本の建物などの8割に設置すると、総電力量の3割をまかなえる。大震災時の非常用電源、あるいは夏場のピーク電力不足を補う電源としても太陽電池は有効である。
Dスマートグリッド、電気自動車への電気貯蔵、太陽電池と超電導ケーブルによる世界的ネットワーク「ジェネシス計画」も着実に実現しそうだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
日本企業の真の力をどう見るか―投資家の視点で語る
2011年9月7日(水)開催(掲載日:9月26日)
日本経済研究センター
講師
鈴木行生・日本ベル投資研究所代表取締役、主席アナリスト
要旨
グローバル展開やジャパンテイストがカギに―経営者の戦略・力量で格差も
@日本の上場企業を眺めると、やはり全体として力は衰えている。ただ、そのなかに注目できる企業はいくつもある。課題意識を持ち、強い指導力の下で本気になって経営革新に取り組んでいるところだ。
Aものづくりの技術だけでは不十分である。製造業もサービス業も、もてなしの心や仕事の正確性などのジャパンテイストを生かしながら価値創造の仕組みを築き上げる構想力と、挑戦する姿勢がますます大切になっている。
B投資家は目先の利益の多寡よりも、新しい価値を生み出すビジネスモデルをよく理解し、投資したいと考えている。経営者の努力に加え、長期的視点の投資家が増えれば、日本企業の復興に結びつくと信じる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
東日本大震災の不動産市場への影響
2011年9月14日(水)開催(掲載日:9月26日)
日本経済研究センター
講師
松村 徹・ニッセイ基礎研究所不動産研究部長
要旨
安全重視で選別・二極化進む―物流セクターに成長期待
@東日本大震災により不動産市場では、企業のオフィス選びや個人の住宅選びにおいて、要求水準が高度化するなど意識・行動の変化がある。地盤の強さや安全対策の観点からより物件の選別が進み、地価の二極化が進むだろう。特に浦安市や仙台市など液状化した住宅価格・マンション価格の動向が今後の焦点となる。
A不動産市場の需給への影響は限定的と言えるが、その背景には足元の生産や消費の回復がある。不動産市場は景気動向に左右されるので、注意して見ていく必要がある。
Bセクター別に見ると、オフィスセクターは東京一極集中リスクの高まりから、企業のオフィス需要に懸念がある。震災・原発事故は、外国人観光客を激減させ、とりわけ東京の商業・ホテルセクターに影響を与えた。一方、物流セクターは、被災施設からの代替需要の発生、新規の投資や開発が活発で、今後有望である。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
野田新政権と日本政治の課題
2011年9月9日(金)開催:昼食会(掲載日:9月21日)
日本経済研究センター 
講師
芹川洋一・日本経済新聞社論説委員長 
要旨
ガバナンス回復の条件―破壊からの再構築を
@政治のガバナンス(統治能力)をいかに取り戻すかがポイント。民主党政権として政治主導の運用をどのように見直していくのか、民主党内での理念をどう統一していくのか、「強すぎる参議院」をいかに弱めていくのかがカギだ。
A野田政権の課題は破壊からの再構築で、ポピュリズム政治を排し、政党再編を視野に入れた新しい政治のかたちを模索すべきだ。
B3月11日の東日本大震災を、戦前・戦後と分ける8月15日と同様の転機と捉え、新しい日本を創造していく突破口にしたい。
詳細(PDF)はこちら
欧州経済と世界のクレジット市場を展望する
2011年8月30日(火)開催(掲載日:9月16日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
中空麻奈・BNPパリバ証券クレジット調査部長
要旨
脆弱な地合い避けられず
@欧州のクレジット市場は、ギリシャ危機に端を発して脆弱な状態が続いており、南欧5カ国にとどまらずフランスにまで懸念が広がっている。各国とも財政再建が至上命題とあって、景況感も急速に低下している。
Aいつデフォルト(債務不履行)になってもおかしくないギリシャに対しては、第2次支援策がまとまったが、残された課題も多い。節目である2013年まで、何とかおカネを回しながら時間を稼ぐというのが現実的なシナリオと言えよう。
B債務上限問題をとりあえずり乗り切った米国は、国債の格下げはあったもののリスクを過剰にみる必要はない。懸念材料は地方景気と住宅ローン市場の悪化だ。
C財政再建待ったなしの日本は、さらなる格下げを阻止するためにも、早めに消費税率引き上げに踏み切る必要がある。
D日米欧とも景気減速は避けられず、クレジット市場の地合いも良くなさそうだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
<シリーズ>新興国と日本C
戦略的パートナーとしての日越関係―メコン経済圏の発展も視野に
2011年9月7日(水)開催(掲載日:9月15日)
日本経済研究センター
講師
服部則夫・オフィスハットリ代表、元駐ベトナム大使
要旨
日本は対越投資・援助を強化せよ
―ベトナム市場の重要性に注目すべき

@高成長を続けるベトナムは、東南アジア諸国連合(ASEAN)では最も親日的、対日重視の国家であり、勤勉な国民性など日本との共通点が多い。税制、公共料金などの面でASEANでは最高水準の投資環境も持つ。日本企業は積極的に投資すべきだ。
A日越は互いに重要なパートナーである。ベトナムにとって日本は最大の援助国だ。日本にとってベトナムは安全保障上も大切な存在である。日本は、新幹線の建設・整備など主要3プロジェクトに対する支援を推進し、対越関係を強化する必要がある。
Bベトナムは現在、高成長を維持しながら、高インフレ率を是正するという政策課題に直面している。将来的にはインドシナ経済圏の中核として発展が見込まれ、ASEAN内での存在感も高めていくと思われる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
参考資料
聴くゼミ(音声)
原発問題と再生可能なエネルギーを探る
2011年7月12日(火)開催(掲載日:9月13日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
大島堅一・立命館大学国際関係学部教授
要旨
原子力一辺倒の政策を転換
@原子力発電拡大の理由付けとしては、エネルギー安全保障、経済性、温暖化対策の3点が挙げられ、これに沿って核燃料再処理・核燃料サイクルの必要性が唱えられてきた。
A電源別のコストを比較すると、原子力単体の発電単価でみても安価な電源とは言えない。立地交付金など財政コストを考慮すると、最もコストが高く消費者の負担が大きい。
B使用済み核燃料の再処理には膨大な費用がかかる。全量再処理するのであれば、今後さらに増大する可能性が高く、国民的負担の観点から議論する必要があろう。
C再生可能エネルギーは無尽蔵であり、国産・分散型、環境負荷が小さいうえ雇用効果も大きいなどの特長がある。日本ではコスト面、制度面で障害があり普及が進んでいない。
D電力の「固定価格買取制」導入などを柱に、新たな産業政策として再生可能エネルギーの普及に取り組む必要があり、そのためには原子力一辺倒の政策を改めるべきだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
日韓主要産業の国際競争力
2011年7月8日(金)開催(掲載日:8月26日)
日本経済研究センター
講師
深川由起子・早稲田大学政治経済学術院教授
要旨
韓国企業躍進、FTAが支えに
―成果主義経営が迅速な決断生む

@韓国企業の躍進は、新興国市場の攻略で先行したことやウォン安に加え、先進国も含めたグローバル展開、それを後押しする自由貿易協定(FTA)の推進が支えになっている。
A徹底した成果主義のもとで、専門経営者が思い切った決断を迅速にしている点も特徴だ。米国式の財務感覚と日本式の現場主義の融合も強さを生み出している。
Bただし、韓国経済には膨らむ家計負債、若年失業率の高さ、不安定な就業構造など不安定要素が多く、国内市場は必ずしもグローバル企業の競争源泉となっていない。日韓大企業は事実上、統合度の高まる日韓市場を中心に互いの弱点を補完する形で協力できる余地が大きいといえる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
企業の危機管理を問う ―東海・東南海・南海大地震に備えて
2011年7月21日(木)開催:大阪昼食会(掲載日:8月26日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
河田惠昭・関西大学社会安全学部長/人と防災未来センター長
要旨
最悪被害を想定した防災計画を
@日本の都道府県、市町村が持つ防災計画は、基本的に明治以降の災害を基準としており、それ以上の規模の災害が起きた場合の対処が決まっていない。阪神・淡路大震災以降、防災体制が西高東低になっていた中で3月に東日本大震災が起きたため、対処が大きく遅れた。
A7世紀にまで遡って東海・東南海・南海地震の発生履歴を調べると、8回のうち7回までが東海地震から発生し、その後東南海や南海地震につながっている。今後30年以内に予想される地震発生確率も、東海地震が87%と一番高い。
B今後、プレート型地震が起きた場合の、東京湾、大阪湾など、各地域での津波に関する細かい想定を精査する必要がある。
C企業の防災対策は単に事業継続計画の問題だけでなく、社会的責任でもある。自社被害だけでなく、サプライチェーンを含めた影響を検証すべきだ。社員を集め、一番効果のある防災対策を見出す努力が大切である。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
震災後の国際収支を考える
2011年7月27日(水)開催:昼食会(掲載日:8月10日)
日本経済研究センター
講師
小峰隆夫・日本経済研究センター研究顧問
要旨
不確実性減らし「悪い」空洞化防ぐ
−国債消化、海外依存へ

@震災後、日本の貿易収支は赤字になり経常収支の黒字が激減した。しかし、日本は膨大な対外純資産を積み上げており、大きな所得収支が見込まれるため、貿易・サービス収支が赤字でも当分経常収支は黒字を続けるだろう。
A経常収支は、政策目標としてではなく、「経済を映す鏡」として意味がある。経常収支に大きな変化が現れたとすれば、何がその変化をもたらしたのかを考える必要がある。
B経常収支の赤字化は、国内の貯蓄不足状態を意味することから、投資家には国債をめぐる大きな環境変化と認識される可能性がある。財政への信頼感を保つことが必要だ。「悪い」空洞化の進行を反映している可能性もあり、将来の不確実性をなくすなど企業が居心地のよい経済環境を整備することが重要だ。
C人口オーナス下では、得意な分野に生産資源を振り向けるという意味からも、むしろ、ある程度の空洞化は必要である。しかし、不必要に企業が出て行ってしまう「悪い」空洞化は避けるべきだ。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
≪日本経済の再設計―震災を越えて≫シンポジウム
復興への具体策作り、産官学の力を結集― 実学発想による新しい社会環境資本を求めて
2011年7月18日(月)開催(掲載日:8月1日)
第3部パネルディスカッション
<パネリスト>
桜井勝延・南相馬市長
和泉洋人・地域活性化統合事務局長、慶應義塾大学理工学部特任教授
前原金一・経済同友会副代表幹事・専務理事
國領二郎・慶應義塾大学総合政策学部長
岩田一政・日本経済研究センター理事長
<司会>
小林光・慶應義塾大学政策・メディア研究科教授、
日本経済研究センター特任研究員(前環境事務次官)
要旨
復興を日本再生のモデルに
 日本経済研究センターは、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)、同グリーン社会ICTライフインフラセンター(科学技術戦略推進費)、財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)と共同で、東日本大震災からの復旧・復興を議論するシンポジウムを開催した。産官学の代表者に加え、被災地からの代表として南相馬市の桜井市長を招き、「震災復興への道筋、産官学が結集してやるべきことは?」と題するパネル討論を行った。桜井市長から「被災地の市民が安心できるように、国や東京電力の責任を明確にしてほしい。南相馬市の名が全国に知られたことを復興への機会としたいので、市だけでは不足する知恵や技術について皆さんに手助けしてほしい」との要望が聞かれた。パネリストからは、被災地の復興を新しい日本を作るための、モデルケースとして具体策を詰めていくことが必要とする声が相次いだ。特に再生可能エネルギーの普及拡大を進めることは有力な復興策であるとの見方で一致した。
詳細(PDF)はこちら
→司会者解説「復興への提案、具体化へフォローアップを!」(小林光特任研究員)
資料
前原氏資料@前原氏資料A岩田資料
※その他シンポジウム第1・2部の関連資料はこちら
聴くゼミ(音声)
震災後の景気動向と加速する経済構造変化
2011年7月6日(水)開催(掲載日:7月29日)
日本経済研究センター 大阪支所
講師
菅野雅明・JPモルガン証券チーフエコノミスト
要旨
「財政健全化」待ったなし
@震災後の日本経済はV字回復と言ってよく、2012年の半ばまでに、震災前に想定していた国内総生産(GDP)を超えると予想している。
A世界経済は原油価格の高騰、日本の震災、中国の金融引締の3つの減速要因が早晩消えて今後はプラスに作用する見込みであり、転換点を迎えつつある。米国は雇用と住宅市場の動向、欧州は周辺国財政問題、中国はインフレの行方が焦点だ。
B日本経済を中長期的に見通すと、原発問題に伴う電力コスト増で産業空洞化が進むなど構造変化を余儀なくされる。貿易収支が悪化して2014年末には経常収支の黒字が消える可能性もあり、今こそ成長戦略や年金、財政赤字問題に待ったなしで取り組む必要がある。
C2013年頃に世界的な景気後退と金融システム不安が起こる可能性がある。日本も最悪の事態を想定し財政健全化をはじめ危機対策を予め考えておくべきだ。
詳細(PDF)はこちら
エネルギー政策の再構築−当面の危機克服と中長期戦略
2011年7月13日(水)開催(掲載日:7月25日)
日本経済研究センター
講師
山地憲治・地球環境産業技術研究機構(RITE)理事・研究所長
要旨
安全対策施し、既存原子炉の活用を−スマート・グリッドで省エネ促進も
 @原子力発電所はシビアアクシデント(過酷事故)への備えが不十分だった。事故に対し指揮命令を出す中枢が多層化し、経験不足も重なった。安全規制体制の一元化と、災害時に出動する緊急対応部隊の整備・訓練が必要だ。
 A太陽光発電などの再生可能エネルギーは、設備利用率が低いことや、電力の質を維持するための追加費用がかさむため、原子力を代替するまでの役割は期待しにくい。安全対策を講じた上で、原子力という選択肢を残すのが望ましい。
 B電力需給を監視・調整する次世代送電網(スマート・グリッド)を導入し、省エネを促進すべきだ。需要家側のバッテリーを含めて、システムを構築すれば効率的な需給調整ができるだけでなく、新たなエネルギー産業の育成にもつながる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声)
これからの世界と欧州
2011年7月4日(月)開催(掲載日:7月21日)
日本経済研究センター
講師
ミカラ・マークセン・ソシエテ・ジェネラル グローバルチーフエコノミスト
要旨
南欧諸国は「緊縮」で危機克服を−世界経済、回復保つも低調
 @債務危機に陥っている南欧諸国は、かつて緊縮政策によって立ち直ったドイツにならうべきだ。国際機関の融資はいわば一時しのぎで、賃金や雇用の削減、年金改革といった構造改革が必要である。ギリシャは財政支出削減に加え、増税も実施すべきだ。
 A米国も債務問題を抱えているが、金利が低いため改革を急ぐ必要が少ない。連邦政府は大幅な緊縮政策には動かないだろう。日本は国債の国内消化が金利上昇を抑え、財政規律を弱める結果になっている。
 B世界経済は企業のバランスシートが健全なこと、新興国経済が堅調なことから回復が持続する。ただ、欧州債務問題、原油高などの逆風を受け低調な回復にとどまる。
詳細(PDF)はこちら
資料
セミナー資料
聴くゼミ(音声・英語)
《大阪朝食懇談会》震災復興と日本の政策課題
2011年7月4日(月)開催(掲載日:7月20日)
講師
樽床伸二・衆議院国家基本政策委員長・衆議院議員
要旨
蓄電システム普及で新産業の創造を
 @自民党から民主党に政権交代して2年近く混迷が続いているが、これは日本が政権交代を長期間してこなかったことによる必然的な混迷であると考えている。しかし、明治維新など過去の例を見れば、変革をなしえた中心的な人々が退くことでこの混迷期は終わり、安定期に入っていくだろう。
 A議院内閣制で二院制という日本の政治体制だと衆参の「ねじれ」が起こることは当然で、それに対応するために連立や閣外協力、法案ごとの協力体制を組む必要がある。何より法案を国会できちんと審議することが政治主導につながる。
 Bエネルギー問題は発電から蓄電に発想を変え、蓄電機を普及させることが、電力不足などの問題解決につながる。蓄電システムの構築が成長戦略にもなり、自動車産業のように世界に向けて日本経済をけん引する新産業分野にもなり得る大きな可能性を持っている。普及に向けて、政策対応をすべきだと考える。

詳細(PDF)はこちら
聴くゼミ(音声)
どうなる日本の医療制度―何を守り、何を改革すべきか
2011年7月7日(木)開催  14:00〜15:30   (掲載日:7月19日)
日本経済研究センター
講師
島崎謙治・政策研究大学院大学教授
要旨
日本の医療、「質」向上へ改革を
 @被用者保険と自営業者などが加入する国保の境界が曖昧になってきているが、所得の発生形態や捕捉率が異なるため一元化は非現実的であり妥当でもない。二本立ての体系を維持した上で、被用者の適用範囲の拡大や認定の適正化を進めるべきである。
 A医療の質を高めるには「医療密度」を高める必要があり、医療機関の機能分化・集約化を図るべきだ。日本では軽症でも大病院で自由に受診できるが、家庭医を普及させ、必要に応じて病院・専門医を紹介するシステムを確立すべきだ。
 B医師不足や地域・診療科別にみた偏在を是正するには、医師数を単に増やすだけでなく、第三者機関が専門医や家庭医の養成数を決めること、医師のキャリアパスを明確化すること、大学・都道府県・地域の基幹病院の連携を強化すること、が重要である。

詳細(PDF)はこちら
△このページのトップへ