EUの規範形成パワーの展望―グリーン・デジタル・人権

 日本経済研究センターは、外部の専門家を招いた欧州研究プロジェクトの報告書「EUの規範形成パワーの展望―グリーン・デジタル・人権」をまとめました。 欧州連合(EU)が世界に大きな影響を及ぼす規範・規制の形成パワーに関しては近年、グローバルな市場を規制する一方的なパワーを論じた「ブリュッセル効果」論が注目されています。本報告書は、このアニュ・ブラッドフォード氏の説をひとつの手掛かりとして参照・考察しつつ、グリーン、デジタル、AI(人工知能)、人権・環境デューディリジェンスという重要分野について、EUの最新の動きとその影響を分析したものです。中国やロシアがもたらす地政学的変動に、EUが経済安全保障の観点などからどう対応しているかも検討しました。


アジア新興国 ―地政学と地経学の注目点

*収録動画の配信期間:2023年6月27日まで

 ■講師略歴
(たかはし とおる) 1992年横浜国立大経営学部卒、日本経済新聞社入社。主に産業取材を担当した後、2010~15年にバンコク支局長、19~22年にアジア総局長として2度、計8年間タイに駐在。22年4月から現職。著書「タイ 混迷からの脱出」で16年度の大平正芳記念特別賞受賞

 

 

成長の限界に挑む中国~習近平・長期政権の課題

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 本報告書は「成長の限界に挑む中国~習近平・長期政権の課題」というテーマのもと、日本経済研究センターが2022年度に実施した中国研究プロジェクトの成果をまとめたものです。2022年秋の共産党大会を経て異例の3期目入りを果たした習近平総書記は、自らの権威を一段と高めるとともに、李克強首相らライバルと目された指導部メンバーの一部を党幹部から排除することにも成功し、「一強体制」を揺るぎないものとしました。しかし、習氏が君臨する中国を巡る情勢は非常に複雑化しています。国内では経済や社会が新型コロナウイルスとゼロコロナ政策に翻弄され、景気が減速して失業率は高止まりし、国内ではあり得なかった習氏の排斥を求めるデモまで起きました。対外関係においても、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、米国が対中国警戒感を一段と強め、米中の対立は出口が見えない状況となっています。
 こうした激動の中国の今後を占うため、本年度の研究プロジェクトでは「長期政権の課題」をキーワードとして、中国が抱える諸問題や今後の展望を多角的に検証、研究しております。

2022年度金融研究報告 ポスト異次元緩和の金融政策

2022年度の金融研究班は3年半ぶりの米国の利上げとともに始まった。ロシアのウクライナ侵攻が世界のエネルギーや食糧品価格を押し上げ、米国のみならず欧州の中央銀行も大幅な利上げを急いだ。日本銀行が2016年9月から続けるイールドカーブ・コントロールに異変が見られるようになったのもこの頃からである。市場機能の低下と評される数々の副作用は、日銀が短期金利に加えて長期金利まで操作していることから生じた。日銀の緩和政策が欧米の金融政策と足並みを揃えている間は表面化しなかった長期金利の固定化は、ひとたび欧米、とりわけ米国の金融政策が引き締めに転じると、日本国債の売り(長期金利の上昇)圧力や円安という形で金融市場を襲った。日銀の金融政策がFRBの金融政策の影響を大きく受けるという、これまで忘れていた現実を突きつけられた。
イールドカーブ・コントロールの副作用は緩和しなければならない。だが、同時に日本経済全体にもたらす影響について注意深く観察することも重要である。今年度の金融研究班は新体制に代わる日銀が現行の政策を見直し長期金利の上昇を容認した場合に、企業、家計、金融、政府、海外それぞれの部門にどの程度の影響が及ぶかを分析した。異次元緩和から10年が経過したいま、改めて全体の議論に基づき政策の方向性を再検討する必要はないだろうか。


報告書は、3月下旬に会員の皆様に送付いたしました。追加のご購入は下記のご購入申込フォームよりお願いいたします。(会員:5,500円(税込、送料別)・非会員:11,000円(税込、送料別))

YCC の見直し急務だが、家計や銀行への負荷高める側面
住宅ローン変動金利1%上昇は繰り上げ返済確率を25%高める

日本銀行は4 月から植田和男・総裁を迎えて、新たな体制に代わる。植田新日銀の課題は現行の長短金利操作付き量的・質的金融緩和(イールドカーブ・コントロール、通称「YCC」)政策の見直しである。昨年12 月のYCC 見直し後も長期国債の買い入れは増加が続き、イールドカーブのゆがみは解消されていない。債券市場の機能度も過去最低を更新し、市場機能の低下は社債や地方債の起債市場にも波及している。金融市場のストレスは全体としては依然として低位だが、為替市場 や国債市場でボラティリティが高まっている。
本リポートは、昨年12 月に金融研究班が公表したリポートの続編である。前回のリポートでは日銀がYCC を解除した場合の企業部門と政府部門への影響に着目したが、本リポートでは家計部門と銀行部門への影響について実証的な分析を試みた。金利の上昇は家計の住宅投資を減少させるほか、住宅ローンの繰り上げ返済確率を高める。また、地域金融機関は保有有価証券の平均年限を長期化させたことで相応の金利リスク量を抱え、金利上昇に対して脆弱になっている。足元では米国銀行の破綻をきっかけとした金融システム不安が欧州にも広がっており、日本にも悪影響が波及するリスクに注意を要する。

【預金は短期化、債券の平均残存期間は地域銀行で大幅に長期化】

(資料)各社ディスクロージャー誌

 

東アジアのリスクと経済安保

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 公益社団法人日本経済研究センター(JCER)は、2022年度のアジア研究報告書『東アジアのリスクと経済安保』をまとめました。
 ロシアによるウクライナ侵攻で世界の分断がさらに進み、東アジア情勢への影響が注目されています。日中国交正常化50周年の2022年、当センターは両国の有識者による国際ウェビナーを開催。そこで展開された分断のリスクやリスク軽減のためのリスク・コミュニケーション、地域安保の火種である北朝鮮リスクなどについての議論を紹介します。
 リスク対応のため関係国が進めている経済安保の取り組みについての調査研究の成果も掲載しています。東アジアの各国・地域のほか、西側陣営をけん引する米国や「グローバルサウス(南半球を中心とした途上国)」の一角として発言力を強めるインドの動向、戦略物資の半導体をめぐる攻防や地域エネルギー安保の問題にも焦点を当てました。経済安保自体のリスクや課題についても検討しました。読者のご参考になれば幸いです。

【担当者一覧】

宮本雄二
宮本アジア研究所代表(元駐中国大使)
季衛東
上海交通大学法学院教授 日本研究センター長
田中均
日本総合研究所国際戦略研究所 特別顧問(元外務審議官)
姜龍範
天津外国語大学教授 国別・区域研究院院長
太田泰彦
日本経済新聞 編集委員
真家陽一
名古屋外国語大学 教授
土屋貴裕
京都先端科学大学 准教授
長谷川将規
湘南工科大学 教授
山田周平
日本経済研究センター 研究員 (兼日本経済新聞社編集ビジネス報道ユニット担当部長)
富山篤
日本経済研究センター 主任研究員 兼アジア予測室長
山田剛
日本経済研究センター 主任研究員 (兼日本経済新聞シニアライター)
松尾博文
日本経済新聞社 上級論説委員兼編集委員
伊集院敦
日本経済研究センター 首席研究員
 
 

 



    宮本雄二:宮本アジア研究所代表(元駐中国大使)


    季衛東:上海交通大学法学院教授 日本研究センター長


    田中均:日本総合研究所国際戦略研究所 特別顧問(元外務審議官)


    姜龍範:天津外国語大学教授 国別・区域研究院院長


    太田泰彦:日本経済新聞 編集委員


    真家陽一:名古屋外国語大学 教授


    土屋貴裕:京都先端科学大学 准教授


    長谷川将規:湘南工科大学 教授


    山田周平:日本経済研究センター 研究員(兼日本経済新聞社編集ビジネス報道ユニット担当部長)


    富山篤:日本経済研究センター 主任研究員 兼アジア予測室長


    山田剛:日本経済研究センター 主任研究員(兼日本経済新聞シニアライター)


    松尾博文:日本経済新聞社 上級論説委員兼編集委員


    伊集院敦:日本経済研究センター 首席研究員