ジョージ・シュルツ元米国務長官 メッセージ

ジョージ・シュルツ元米国務長官 メッセージ

 富士山会合は、すばらしい場ですね
 この会合は重要な問題や機会を深く建設的に考察しています
 尊敬と称賛に値するでしょう
 ですからこの賞をいただき、深く感謝しています
 真摯に問題と取り組む皆さんに選ばれたことを、うれしく思います
 日本とアメリカ合衆国の関係は当事者間だけでなく、国際社会にとっても非常に重要です
 日米の経済関係はもちろん、安全保障関係も極めて重要だと言えます
 私は海兵隊員として第2次世界大戦中に太平洋で戦った経験があります
 その際、敵に真の敬意を覚えたのです
 我々は勝利のために戦いましたが、敵の勇敢さと豊かな創造力を目にし、彼らに尊敬の念を覚えたのです
 ですからその後、私が政府で働く機会を得た際も、敬意を持つことから始めました
 私が国務長官だった頃の話です
 中曽根元首相のアメリカ訪問が決まりました
 彼と面識のあった私は、レーガン元大統領にこう伝えました
 彼は尊敬できる人物ですし、あなたも気に入るでしょう
 頭の回転が速く、博識な上に決断力もあり、愉快な男ですよ
 ですので、中曽根元首相が初めてアメリカを訪れた時、彼は大きな歓迎を受けました
 また公式の会議ではプロの通訳が対応しましたが、公の場所以外では異なりました
 中曽根元首相にはアメリカ留学中の娘がおり、娘に通訳を任せたことで、家庭的な雰囲気が生まれたのです
 一方、私は外務大臣だった安倍晋太郎氏を自宅に招きました
 夕食前にお酒を飲みながら話をしたかったのです
 そこで私たちは語り合い、真の友人になりました
 率直に話ができ、お互いを信頼できたのです
 こういった関係において信頼は極めて重要でしょう
 時が経つにつれ、安倍晋太郎氏とは家族ぐるみの付き合いをするようになりました
 そして私の先妻が亡くなり、自宅のあるマサチューセッツ州で葬儀を行った時の話です
 ニューヨークの新聞に死亡記事が載りました
 そして私が墓地に着くと女性の姿が見えたのです
 近寄ると、それは安倍洋子夫人でした
 ニューヨークで記事を見て来てくれたのです
 感激でしたね
 こんなこともありました
 安倍晋太郎氏が亡くなったあと、私は夫人に会い、お悔やみを伝えました
 その時、彼女と神社を訪れ2人で語ったものです
 そこには彼女の息子もいました
 父の政治活動を手伝った、と夫人は言いました
 夫の活動も手伝ったし、息子の政治活動も手伝うわ
 息子は首相になりましたね
 彼女を味方につければ日本の政治界で活躍できるでしょう
 最後にもう一度お礼を
 富士山会合からこのような賞をいただきとても光栄に思います
 感謝します