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短期経済予測 (第176回/2018年10-12月期~2021年1-3月期)

景気拡大ペースは幾分鈍化

―米金利上昇、貿易摩擦が重しにー

主査:西岡 慎一
  主任研究員
総括:宮﨑 孝史
  副主任研究員
総括:髙橋 えり子
  ESP事業室長兼副主任研究員

2018/11/26

日本経済研究センターでは、最近の金融経済情勢と11月14日に内閣府が公表した2018年7-9月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえて、従来の予測(以下、SA175R)を改定し、「第176回四半期経済予測」(以下、SA176)を取りまとめた。SA176では、予測期間を1年延長し、20年度までの予測値を提示している。

18年7-9月期の実質GDP成長率は、前期比-0.3%とマイナス成長となった。西日本豪雨、大型台風、北海道地震など相次ぐ自然災害が成長率を押し下げた。米中で実施された追加関税や米国金利の上昇圧力は、今後の世界経済を下押しする方向に作用すると見込まれる。これらを織り込み、SA176では、実質GDP成長率を18年度+1.1%、19年度+0.8%と、SA175Rから0.1%ポイントずつ下方修正した。20年度は+0.7%と1%弱とみられる潜在成長率付近へ減速すると見込む。19年1月には、戦後最長の景気拡大に達する可能性が高いが、その勢いは緩慢である。外需が減速するなかで、企業部門の慎重な投資スタンス・賃上げスタンスが継続し、内需の盛り上がりに欠ける展開を想定している。

海外発の下振れリスクも大きい。とりわけ、米国の経済政策を巡る不透明感が強い。引き締め方向の金融政策や財政支出の拡大が米国の長期金利上昇を招き、株式市場の調整や新興国市場の資金流出につながるおそれがある。通商政策の面でも、保護主義的な通商スタンスが一段と強まる可能性がある。さらに、英国のEU離脱問題やイタリアの財政問題などを巡って、欧州の政治情勢が不安定化する可能性もある。海外リスクへの備えとして、わが国経済は、将来不安を解消し、内需を活性化していく必要がある。企業の生産性向上への取り組みや雇用・社会保障改革などを進めていくことが重要となる。

▽実質GDPの見通し▽

【関連レポート】

※中国・ASEAN4短期経済予測レポート「利上げ、貿易摩擦の影響徐々に―内外需ともに勢い欠く」(2018年10-12月期~2021年1-3月期)はこちら

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