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ニュースコメント

円安メリット薄れる国内産業


原発停止や海外現地生産が背景に

小野寺 敬
  首席研究員
落合 勝昭
  特任研究員
田原 健吾
  主任研究員

2019/11/18

本稿は、日本経済新聞(2019年11月16日朝刊1面と電子版)の「チャートは語る 為替と日本経済(上)」に掲載された産業連関表分析(日本経済研究センター試算)に関して、試算方法や結果について解説したものである。

【ポイント】

 

  1. 対ドル円相場が10%円安に動き、各産業の輸出入価格が米ドル建て契約の割合だけ上昇した場合、各産業に及ぼす影響を産業間の投入産出構造を表す産業連関表(2000、05年、15年の3時点)を用いて試算した。
  2. 輸出価格の上昇は売上増につながる一方、輸入価格の上昇は国内価格に波及しコスト増となる。価格変動による輸出入や国内需要の数量の変化などを考慮しない場合、加工業種はネットではプラスだがその幅は徐々に縮小、また素材業種と非製造業はマイナスとなるなど、円安メリットが薄れている。
  3. この背景には貿易収支の黒字が縮小し、15年は赤字となったことがある。東日本大震災の影響で原発が軒並み停止し、代替火力用の液化天然ガス(LNG)など化石燃料輸入が増加したことが大きい。化石燃料はドル建て輸入比率が高く、ほぼ全面的に輸入に頼るため、これを大量に投入する産業では円安のコストが膨らむ要因になる。
  4. 輸出の伸び悩みも円安の国内産業への恩恵を小さくしている。11年から12年にかけて日本経済が1ドル=70円台の円高を経験したことでその後、加工業種を中心に製造業の海外現地生産が進んだことなどが関係しているとみられる。

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