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ニュースコメント

12月短観、内外の不振で景況感は悪化

―消費税率引き上げの影響は前回増税時よりも小幅―

主査:西岡 慎一
  主任研究員

2019/12/13

【12月短観のポイント】


日本経済研究センターは、日本銀行が12月13日に公表した「全国企業短期経済観測調査」の2019年12月調査について、そのポイントを整理した。概要は以下の通り。

  • 景況感が悪化している。業況判断DIは製造業・非製造業ともに悪化した。先行きも悪化が見込まれている。
  • 海外経済の不振を背景に、製造業の景況感は4期連続で悪化した。とりわけ、資本財や自動車の海外需要が低迷しており、関連セクターの景況感が悪化した。先行きも中小企業を中心に悪化を見込む向きが多い。景況感の悪化を受けて、雇用の不足感も緩和している。
  • 消費税率の引き上げで消費が落ち込んでいることも、景況感を下押しした。とりわけ、小売や自動車の景況感が大きく悪化した。ただし、悪化の度合いは、前回増税時(14年4月)よりも小幅である。軽減税率や各種の増税対策が奏功したかたちとなる。
  • 19年度の売上・収益予想も下方修正された。製造業では、減収予想に転じている。収益環境が悪化しているにもかかわらず、設備投資は強気な計画が維持された。省力化投資や研究開発などの前向きな設備投資が外需の不振をどの程度カバーできるかが焦点となる。

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