一覧へ戻る
【3月短観のポイント】
ニュースコメント
3月短観、景況感は悪化、先行きの懸念も強く
―雇用・金融環境の悪化は限定的―
2020/04/01
日本経済研究センターは、日本銀行が4月1日に公表した「全国企業短期経済観測調査」の2020年3月調査について、そのポイントを整理した。概要は以下の通り。
- 企業の景況感は一段と悪化し、業況判断DIは7年ぶりのマイナスに転じた。先行きも下落が見込まれており、4-6月期の実質成長率は前期比(年率)で8%程度のマイナスが示唆されている。新型コロナウイルス感染症の流行で、内外経済は強い制約を受けており、とりわけ、旅行・外食といったサービス産業の景況感は急降下している。
- 景況感の悪化は、今のところ、雇用・金融環境の悪化に結びついていない。経済全体としてみれば、人手不足感はなおも強く、資金繰りのひっ迫感も強まっていない。20年度の設備投資計画も、例年よりむしろ強めである。総じてみれば、リーマン・ショック時のような厳しい経営環境には至っていない。
- ただし、今回の短観では、7割の企業が3月11日までに回答しており、それ以降の情勢が十分に反映されていない可能性がある。3月中旬以降、ウイルス感染は世界に一段と広がり、米欧経済は未曽有の落ち込みが予想されている。国内でも、状況次第で外出制限が一段と厳しくなりうる。事業計画が大きく下方修正され、雇用・金融環境が変調をきたす可能性は少なくない。
バックナンバー
- 2022/10/03
-
9月短観、供給制約緩和もコスト増加・新型コロナ感染拡大から足踏み
―海外経済が失速し、設備投資が腰折れするリスクに注意―
- 2022/07/01
-
6月短観、外部環境悪化もコロナ禍からの内需回復で踏みとどまる
―今後、内需腰折れや米国景気後退のリスクに注意―
- 2022/04/11
-
西側諸国とロシア間の貿易制裁の拡大、ロシア側の損失大きく
- 2022/04/01
-
3月短観、景況感の「レ」の字回復、再び足踏みへ
―22年度、弱気な設備投資計画と強まるインフレリスク―
- 2021/12/13
-
12月短観、景況感の「レ」の字回復、穏やかに再開
―堅調な経営計画とくすぶるインフレリスク―