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短期経済予測 (第181回再改訂 /2020年1-3月期~2022年1-3月期)

年内に自粛解除でも、20年度マイナス8%成長

─新興国の感染拡大に懸念─

主査:西岡 慎一
  主任研究員
総括:田中 顕
  副主任研究員
総括:梶田 脩斗
  副主任研究員

2020/04/24

日本経済研究センターは、最近の金融経済情勢を踏まえて、これまでの短期経済予測(20年3月時点、以下、SA181R)を改訂した。

【改訂のポイント】

世界の経済活動は停止状態に陥っている。新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、多くの国が、医療面の対応に全力を尽くしている。感染抑制に向けて、大規模な都市封鎖も実行されており、不要不急の外出や操業が停止している。4-6月期の海外成長率は、記録的な落ち込みが避けられない情勢にある。わが国でも、緊急事態宣言が全国に発動され、4-6月期の成長率は前期比年率で3割減が見込まれる。

仮に、7-9月期以降、世界の感染拡大ペースが弱まり、10-12月に都市封鎖が全面的に解除されたとしても、海外の成長率は20年に3%以上減少すると見込む。日本でも、年内に自粛要請が解除されたとしても、20年度の成長率はマイナス8%程度に落ち込むとみる。21年度は反発する見通しであるが、現在大幅に悪化しているサービス産業はペントアップ(繰り越し)需要を期待しにくいほか、感染の再拡大を警戒して、消費・投資活動は自制されるとみる。終息後の回復力は力強さに欠けよう。

世界的に今後の注意点は多い。米欧などでは都市封鎖の解除が模索されているが、拙速な解除は感染の再拡大を招く恐れがある。特に、医療体制と財政基盤が弱い新興国で感染が広がると、資本流出が債務不履行につながる恐れもある。多くの国で取られている食料品や医療品への輸出制限のあり方などを含め、必需品の供給体制の整備に向けて、各国で足並みを揃えていく必要がある。金融面でも、国際通貨基金(IMF)などを中心とした世界的な金融支援を強化していく余地がある。

▽実質GDPの見通し▽

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