JCER金融ストレス指数は0.135 2020年5月7日公表
海外経済の再開期待でストレスはやや低下
2020/05/07
JCER金融ストレス指数は、日本を対象として、日々のマーケットデータをもとに、金融システム全体が機能不全に陥り、実体経済にもマイナスの影響が生じる金融の「システミック・リスク」の高まりを捉えるための指標です。マーケットデータを使用しているため、リアルタイムに近い形で金融ストレスを定量的に把握することができます。
本指数は、(1)株式市場(2)マネー・マーケット(3)債券市場(4)金融仲介(銀行セクター)(5)外国為替市場ーーの5つのサブ・マーケットから、それぞれ3つの個別指標を選択し構築しています。
最新の値: 0.135 (2020年5月1日時点)
本指数は、90年代末の金融システム不安や07-08年の世界金融危機の再来を検知するための指標として、欧州中央銀行(ECB)の「システミック・ストレス指標」を参考に、株価やその変動率、債券利回りのスプレッド、為替レートの変化率など金融市場におけるリスクを表す、以下の15個の基礎データを合成し作成しています。
株式市場: TOPIXのボラティリティ(対数リターンの絶対値)、TOPIXの過去2年間の最高値との比率、売買代金にもとづく流動性指標
マネー・マーケット: 3ヵ月物TIBORと3ヵ月物財務省証券のスプレッド、レポレート、ドル資金調達プレミアム(円・通貨ベーシス、1年)
債券市場: 10年物国債のボラティリティ(利回り変化の絶対値)、スワップ・スプレッド(2年物スワップレートと2年物国債の利回りの差)、BBB格社債スプレッド
金融仲介(銀行セクター): 銀行株への固有ショック(銀行株指数のリターンをTOPIXのリターンに回帰した残差の分散をGARCH(1,1)モデルで推定)、TOPIX銀行業株指数の過去2年間の最高値との比率、銀行セクターの社債スプレッド
外国為替市場: 円/ドルレート、円/ユーロレート、円/ポンドレートのボラティリティ(対数リターンの絶対値)
本指数の詳細については、以下のリポート、文献をご参照ください。
日本経済研究センター(2019)「日銀のETF買い入れと地域金融のリスク―ストレス事象の発生で金融システム不安再燃も―」、2019年度金融研究班報告②:金融リスクの総点検、2019年12月25日(会員限定)
Holló, D., Kremer, M. and Lo Duca, M., 2012. “CISS - A Composite Indicator of Systemic Stress in the Financial System,” Working Paper Series, No. 1426, European Central Bank, March 2012.
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