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短期経済予測 (2020年7-9月期~2022年1-3月期)

第183回<速報>緩やかな景気回復から強含みへ

―外需底堅く設備投資は反発、雇用環境とせめぎ合い―

主査:稲葉 圭一郎
  主任研究員 (短期経済予測主査)
総括:梶田 脩斗
  副主任研究員
総括:松尾 朋紀
  副主任研究員

2020/08/17

日本経済研究センターは、最近の金融経済情勢と8月17日に内閣府が公表した2020年4-6月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえて、これまでの予測(20年6月時点)を改訂し、「第183回四半期経済予測」(以下、SA183)を取りまとめた。本稿では、その概要を紹介する。

                    【ポイント】
  • わが国景気は、4-6月期に大底を打った後、緩やかに回復していく。予測最終期(22年1-3月期)のGDP水準はコロナ禍前(18年度平均)の98%程度だ。
  • SA183の前提では、今年度末にかけて、わが国の新型コロナウイルス新規感染者数は傾向的に減少し、また適切な防疫対策が着実に日常化するもとで、人々の経済・社会活動が活発化していく。来年度になると、同感染者数の鎮静化やワクチン入手の目途といった何らかの理由によって、同ウイルスに対する警戒モードははっきりと低下する。
  • このようなコロナ禍脱却シナリオは海外主要諸国の大部分にも当てはまると想定すると、海外景気は、4-6月期に大底を打った後、順調に回復していく姿となる。海外実質GDP成長率をわが国からの輸出額で加重平均すると、20年:-2.5%、21年:5.9%、となる。特に、中国景気の先行きを強気にみている。
  • 今後、わが国の雇用・所得環境は着実に悪化していき、21年1-3月期に最も厳しくなると予測する(完全失業率の予測値:3.8%)。もっとも、予測期間を通じて、堅調な海外需要を追い風に輸出・生産が回復を続けるもとで、来年度入り後、雇用・所得環境は改善する。
  • こうした雇用・所得環境の展開と、先送りされた需要(ペントアップ需要)の顕現が交錯しながら、民間消費は増減していく。もっとも、予測期間を通じてみると緩やかな回復となる。
  • 上記の動きを反映して、企業収益は予測期間を通じて比較的順調に回復していく。このことが、予測期間を通じて、緩和的な金融環境のもとで設備投資をV字に近い回復とさせる。

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東京:8月25日(火) 14:00~15:30  / 大阪:8月26日(水) 14:00~15:30

Webセミナーライブ配信:8月25日(水) 14:00~15:30

 

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