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短期経済予測
(第183回改訂 /2020年7-9月期~2022年1-3月期)
民需の反発はやや後ずれも基本シナリオに変更なし
─将来期待の底割れ回避、緩やかな景気回復へ─
2020/09/08
日本経済研究センターでは、従来の予測(8月17日公表「第183回四半期経済予測」<以下、SA183 >)を改訂した(以下、SA183R)。これは、本日公表された20年4-6月期のGDP2次速報値(2次QE)や最近の経済指標の動きなどを踏まえている。
【ポイント】
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- 実質GDP成長率の予測は、20年度、0.2%ポイント下方修正の-6.7%、21年度は0.1%ポイント下方修正の4.1%。
- 20年度の下方修正の主因は、①4-6月期における国内設備投資の下振れと、②7月中・下旬における新型コロナウイルスの感染再拡大に伴う民間消費の減少である。これら民需の反発はやや後ずれするだろう。なお、海外景気全体の予測値の変更は限定的だ。
- SA183Rでは、20年4-6月期の財務省『四半期別法人企業統計』にて明らかになった売上高の下げ渋りを考慮して企業収益の予測値を微調整した。この結果、20年度と21年度のいずれにおいても、売上高と経常利益の予測値は上方修正されている。
- また、SA183Rは、次の2つの統計上の問題に対処している。すなわち、①雇用者報酬の算出に用いる厚生労働省『毎月勤労統計調査』(6月分)に誤りがあったこと、および②「Go Toトラベル」を受けて消費者物価指数「宿泊料」に変則的な動きが生じたことである。
- 今後の景気展開の基本シナリオに特段の変更はない。予測期間を通じて、堅調な外需を受けて、輸出と生産が回復し続けるもとで、また公的資本形成が下支え効果を発揮するもとで、わが国景気は緩やかに回復していく。
- もっとも、雇用・所得環境の悪化が明瞭になるため、21年1-3月期は正念場であり、民間消費は減少に転じることを余儀なくされる。雇用調整助成金の特別措置の期限(9月末)については、潤沢な予備費がある中、雇用・所得環境の悪化ペースを勘案しながら、その延長が「年度末まで」を含めて柔軟に検討されることが望ましい。
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