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【3月短観のポイント】
ニュースコメント
3月短観、先行き警戒感残りつつも、「レ」の字型の回復が続く
―景況感、製造業が非製造業を逆転―
2021/04/01
日本経済研究センターは、日本銀行が4月1日に公表した「全国企業短期経済観測調査」の2021年3月調査について、そのポイントを整理した。概要は以下の通り。
- 「最近」に関する業況判断DI(全規模・全産業)は▲8%ポイントと、前回調査対比では小幅改善。景況感はL字に近い「レ」の字での改善が続いている。景況感の水準という意味では、前回調査と異なって、製造業の方が非製造業よりも良くなった。中国や米国を中心とする海外経済の持ち直しを受けて輸出・国内生産が順調に回復していることが背景にあると考えられる。
- 景況感の改善幅も、製造業の方が大きい。非製造業の中では「対個人サービス」や「宿泊・飲食サービス」の悪化幅が、製造業の中では「自動車」や「生産用機械」をはじめとする機械関連ならびに鉄鋼・金属関連の改善幅が目立った。
- 雇用人員判断DI(全規模・全産業)は▲12%ポイントの「不足」超。「不足」超幅は前回調査対比で拡大した。非製造業の「不足」超は前回調査と変わらず▲20%ポイント。一方、製造業については、前回調査では「過剰」超(5%ポイント)であったが、今回調査では「不足」超(▲2%ポイント)に転化した。
- 「先行き」に関する業況判断DI(全規模・全産業)は▲10%ポイントと「最近」に比べて小幅な悪化。先行き警戒感は残っている。悪化幅は非製造業においてより大きい。大きさと方向の両面において業種間でばらつきがある。
- 企業部門における将来期待は決して底割れしていない。緩和的な金融環境が維持されているほか、物価全般に関する中長期的な見通しも底堅い。
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