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短期経済予測 (2021年7-9月期~2023年1-3月期)

第187回<速報>21年度、デルタ株が抑える消費の反動増

―手元のワクチン接種記録書の利活用で経済活動の維持を―

主査:稲葉 圭一郎
  主任研究員 (短期経済予測主査)
総括:田中 顕
  副主任研究員
総括:松尾 朋紀
  副主任研究員

2021/08/17

日本経済研究センターは、最近の金融経済情勢と8月16日に内閣府が公表した21年4-6月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえて、「第187回四半期経済予測」(以下、SA187)を取りまとめ、21年6月時点の前回予測(以下、SA186R)を改訂した。本稿では、その概要を紹介する。

                    【ポイント】
  • わが国実質GDP成長率のSA187予測値は21年度:3.8%、22年度:3.4%。予測最終期(23年1-3月期)のGDP水準はコロナ禍前(18年度平均)を1.4%上回る。
  • SA187では、21年度のコロナ禍の行方に関して、わが国の医療提供能力ならびにデルタ株の感染力の強さを踏まえて、「新型コロナウイルス感染症用ワクチン(以下、ワクチン)の接種は順調に進むものの、人の移動の回復は緩慢なものにとどまる」との大前提を置く。このため、先送りされた消費需要(以下、ペントアップ需要)の発現は旅行や外食を中心に限定的なものになる。この結果、わが国景気の反発はマイルドなものにとどまる。
  • こうした中、企業の利益捻出を圧迫する資源・資材高が続くと、景気回復の遅れと物価高が併存するスタグフレーションのリスクが高まっていく。
  • 目先、実効的な景気押し上げ策は、人の移動回復の促進を通じてペントアップ需要を刺激することだ。外食・旅行業界において、ワクチン接種後に手元に残る接種記録書や検査陰性結果の通知書の提示を客に求める取り組みが民間主導で進められ、それに伴って人の移動が21年末にかけて20年末並みまで回復できれば、21年度の実質GDP成長率は0.3%ポイント上振れる。
  • 22年度については「コロナ禍は明瞭に改善する」との大前提を置く。こうしたもとで景気回復はしっかり持続する。①潤沢な消費原資がペントアップ需要を発現させるもとで民間消費の反動増が力強さを増すほか、②米中経済の景気動向が輸出・生産を堅調に推移させることに加えて、③官民双方による固定資本形成が堅調を持続するためだ。

<短期予測説明会を開催します>※会員限定

*コロナ感染対策に配慮して、東京会場での開催を中止します。  Webセミナー(ライブ配信)へのお申し込みをお願いいたします。

Webセミナーライブ配信:8月26日(木) 14:00~15:30

 

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