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短期経済予測
(2021年10-12月期~2024年1-3月期)
「供給難」の改善遅れ、21年度内の景気回復を下押し
─オミクロン株との負の相乗効果が最悪リスク─
2021/12/09
日本経済研究センターでは、11月16日公表の予測(「国内景気、22年度央までしっかり反発も、その後弱含み―23年度に設備投資を誘発できる税財政政策を―」、以下SA188)を改訂した。本改訂版(SA188R)は、8日に公表された21年7-9月期の国内総生産(GDP)の2次速報値(2次QE)や最近の経済の動きなどを踏まえたものである。
【ポイント】
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- わが国景気は民間消費の反動増を主導に22年度央にかけて反発する。21年度の実質GDP成長率の予測値は2.7%とSA188対比で-0.5ポイント。このことの主因は、①2次QEにて実施された季節調整変更に伴って生じた過去計数の変化、②21年度下半期の設備投資と公的固定資本形成に対して実施した下方修正である。この下方修正は、資源・資材・部品の「供給難」の改善が21年度中にはさほど進まないとの新たな見方を反映している。
- SA188Rでは、原油価格動向や「Go To事業」に関する前提の変更も織り込んだ。22年度の実質GDP成長率の予測値は3%とSA188対比で-0.5ポイント。ゲタの効果を除くと0.4ポイントの上方修正である。実勢ベースでの主たる押し上げ要因は公的固定資本形成だ。
- これらの変更と21年7-9月期の財務省『四半期別法人企業統計』を踏まえて、企業収益予測を改訂した結果、経常利益水準の予測値は、21年度:0.8兆円、22年度:0.7兆円、23年度:0.5兆円の幅で上方修正となった。
- リスク分析は下振れ優勢である。オミクロン株の毒性が高いとなれば、その流行は国内外にて人の移動の減少を通じて民間消費の反動増を抑える一方で、国際貿易・分業の攪乱を通じて「供給難」を悪化させる。オミクロン株と「供給難」との間での負の相乗効果が最悪リスク要因だ。
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