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ニュースコメント

3月短観、景況感の「レ」の字回復、再び足踏みへ

―22年度、弱気な設備投資計画と強まるインフレリスク―

稲葉 圭一郎
  主任研究員 (短期経済予測主査)

2022/04/01

【3月短観のポイント】


日本経済研究センターは、日本銀行が4月1日に公表した「全国企業短期経済観測調査」の2022年3月調査について、そのポイントを整理した。概要は以下の通り。

  • 回答時点を示す「最近」についての業況判断DI(全規模・全産業)は0%ポイント(以下、%ポイント省略)と前回12月調査から2ポイントの悪化。「レ」の字での景況感改善は再び足踏み状態だ。「先行き」に関する業況判断DI(全規模・全産業)は▲3と「最近」に比べて小幅な悪化。先行き警戒感がある。調査回収時点を踏まえると、新型コロナウイルスオミクロン株が下火になったことやロシアによるウクライナ侵攻は認識されている。
  • 足踏み状態となった要因には、同オミクロン株の流行に伴う人の移動の減少に加えて、資材・部品の供給難の緩和の遅れ回復や資源価格の上昇がある。非製造業の景況感はマイナス転化した。悪化幅は製造業の方が大きい。
  • こうした中、事業計画は低調だ。22年度の売上高、経常利益、および設備投資(含む土地投資額)の計画値は前年比伸び率で、それぞれ2.1%、▲0.9%、および0.8%。
  • 超緩和的な環境が続く金融市場とは対照的に、モノ・サービスならびにヒトに関する市場では需給タイト化が進展中であり、インフレリスクが強まっている。
  • 財・サービス市場の需給に関して、大企業・製造業の「国内での製商品・サービス需給判断DI」は1と需要超過だ。これと整合的に、資材・部品の供給難がある中でも、製商品在庫水準判断DIは異例の低水準から小反発したに過ぎなかった。この間、資源価格の一段高に関連して、大企業・製造業の仕入価格判断DIをみると58と一段と強含んでいる(前回調査対比:9ポイント増)。
  • 労働需給のタイト化も進んでいる。全規模・全産業の雇用人員判断DIは▲24と、前回調査対比で「不足」超幅が拡大した。製造業・非製造業いずれも同様だ。