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短期経済予測
(2022年4-6月期~2024年1-3月期)
22年度後半、供給制約緩和と物価上昇がせめぎ合い
─税財政を通じた設備投資刺激策を─
2022/06/09
日本経済研究センターでは、5月19日公表の予測(「22年度、出だしは好調も、後半には伸び悩みへ―米国のインフレ展開次第でさらなる円安リスクあり―」、以下SA190)を改訂した。本改訂版(SA190R)は、8日に公表された22年1-3月期の国内総生産(GDP)の2次速報値(2次QE)や最近の経済の動きを踏まえたものである。
【ポイント】
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- わが国景気については、民間消費の盛り上がりを受けて、22年度の出だしは好調となるも、後半から伸び悩む。供給制約の緩和に伴う固定資本形成の挽回増が、民間消費の反動減と交錯する。実質GDP成長率の予測値は1.6%。SA190対比では0.2ポイントの上方修正。22年1-3月期に在庫が大幅増となったことの余波、民間消費の小幅下方修正、および設備投資の小幅上方修正を受けてのものである。
- 消費の小幅下方修正の一因は消費者物価指数の上昇率を引き上げたことである。最新の値上げ報道をつぶさに点検した結果、食料品を中心に、そして年度後半を対象に、上方修正を施した。エネルギー価格変動や特殊要因を除くベースで、22年度のインフレ率の予測値は1.4%とSA190から0.3ポイントの上昇だ。総合(除く生鮮)の予測値は2%となる。
- SA190Rでは、足元の原油価格動向に加えて、雇用調整助成金特例措置ならびに「Go To事業」に関する前提の変更も織り込んだ。
- これらの変更と22年1-3月期の財務省『四半期別法人企業統計』を踏まえて、企業収益予測を改訂した結果、経常利益水準の予測値は22年度:6.5兆円、23年度:7.4兆円の幅で上方修正となった。前年比の予測値は22年度:-22%、23年度:1.9%。
- 23年度、景気は伸び悩みを続ける。海外経済成長の続伸を受けて輸出は増えるものの、民間消費は弱含むほか、政府消費が反動減となる。官民双方による固定資本形成が景気の底堅さを規定する。設備投資の動向次第ではゼロ成長に近づく。財政の中長期的な信認を傷つけない範囲で、23年度設備投資を刺激する税財政措置を前もって導入することが望ましい。
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