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短期経済予測 (2022年7-9月期~2024年1-3月期)

第191回<速報>景気は「戦後最大級の難局」で薄氷の回復

―米欧が景気後退ならわが国への波及避けられず―

主査:上野 陽一 主任研究員
総括:宮﨑 孝史 副主任研究員
総括:高野 哲彰 副主任研究員

 

2022/08/15

日本経済研究センターは、最近の金融経済情勢と8月15日に内閣府が公表した2022年4~6月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえて、「第191回四半期経済予測」(以下、SA191)を取りまとめ、2022年6月時点の前回予測(以下、SA190R)を改訂した。

                    【ポイント】
  • 新型コロナウイルスの感染拡大やロシアによるウクライナ侵略、グローバルな物価高騰・景気減速など「戦後最大級の難局」にあるもとで、わが国の景気は内需主導で回復していくと予想している。すなわち、実質GDP成長率は、2022年度が前年比+1.5%、2023年度は同+1.3%と予測した。
  • 海外経済については、最近の減速傾向を踏まえて見通しを下方修正した。物価が高騰する国・地域ではインフレを抑制する政策が進められると想定される一方、景気刺激策が実施される可能性は低いことから、海外経済の減速した状態が先行き2年程度は続くと予想している。具体的には、海外の実質GDP成長率の見通しを、2022年が前年比+3.1%、2023年は同+2.5%と下方に改訂した。
  • わが国の輸出については、下方修正した海外経済の成長率に見合うペースで増加していくとみている。個人消費は、足もとの新型コロナウイルスの感染急拡大で持ち直しに足踏みがみられているものの、感染状況が落ち着くにつれ、正常化していくと予想している。また、設備投資は、巨額の海外への所得流出が続く中でも高めの資本収益率が維持されると見込まれるため、着実に増加していくとみられる。
  • 消費者物価指数は足もとコストプッシュによって上昇しているものの、先行き、原油・食糧価格の高騰や円安による押し上げ寄与が剥落するにつれて、その上昇率は鈍化し、2023年後半には再びゼロ%台に戻る可能性が高い。
  • わが国の景気は、内需主導で回復していくと予想されるものの、「戦後最大級の難局」にもあることから下振れリスクがきわめて高い。リスクシナリオが顕在化した場合には、ごく短期間のうちに世界経済の様相が大きく変化する可能性もあることから、海外経済、とりわけ米欧経済の動向をこれまで以上に注意してみていく必要がある。

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