8月の月次GDP、前月比0.3%減
―内需は横ばいも、外需がマイナス―
2022/10/11
日本経済研究センターがまとめた2022年8月の実質国内総生産(GDP)=月次GDP は、年換算の季節調整値で544兆9,814億円と前月比▲0.3%だった。減少は3カ月ぶり。8月は、景況感の悪い中国向けや欧州向けの輸出が減少し、外需がマイナス寄与となった。新型コロナウイルス感染状況の急激な悪化や物価上昇の影響を受けた中で内需は横ばい圏内となり、月次GDP全体としては小幅減に踏みとどまった。
仮に7-9月期の実質GDPが7,8月の平均の水準で推移した場合、当センターの月次GDPベースで見ると、4-6月期と比べた成長率は前期比年率で+1.4%と試算される。
8月の支出項目の主な内訳は以下の通り。
- 民間企業設備投資が前月比▲0.2%、民間最終消費支出は同▲0.1%だった。民間住宅投資は同+1.4%となった。
- 民間在庫変動と合わせた実質GDP成長率への国内民需の寄与度は▲0.0%ポイントとわずかにマイナスだった。
- 政府最終消費支出は前月比+0.3%、公的資本形成は同+0.3%だったことから、公需の成長率への寄与度は+0.1%ポイントだった。
- 国内民需と公需を合わせた内需の成長率への寄与度は+0.0%ポイントだった。
- 輸出は前月比▲0.6%、輸入は同+1.3%となった。外需(輸出-輸入)の実質GDP成長率への寄与度は▲0.4%ポイントとなった。
【利用上の注意】
月次GDPと各需要項目は最新月の公表のたびに、過去に遡って修正が入ります。経済予測・分析への活用にあたっては、この点に注意していただくとともに、必ず最新月の公表分の時系列データをご使用ください。
修正の主な要因は下記の通りです。
1.内閣府『四半期GDP速報』公表と遡及修正
『四半期GDP速報』では直近四半期の公表・改定と同時に過去分が遡及修正されます。月次GDPと各需要項目の算出では四半期変換した値が『四半期GDP速報』に一致するように調整するため、『四半期GDP速報』の公表のたびに過去分を含めて変わります。
2.推計用基礎統計の遡及修正
月次GDPの各需要項目の推計に使う基礎統計が基準年変更による改定や季節調整のかけ直しに伴って遡及修正されると、推計値も変化します。
3.推計用説明変数の入れ替え
たとえば、民間最終消費支出は当初、総務省『家計調査』と日本自動車販売協会連合会の新車販売台数を使って推計しますが、内閣府「消費総合指数」公表後は説明変数をこれに入れ替えるため推計値が変わります。
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