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ニュースコメント

9月短観、供給制約緩和もコスト増加・新型コロナ感染拡大から足踏み

―海外経済が失速し、設備投資が腰折れするリスクに注意―

上野 陽一
  主任研究員 (短期経済予測主査)
高野 哲彰
  副主任研究員
阿部 眞子
  研究員

2022/10/03

【ポイント】
  • 日本銀行が本日公表した「全国企業短期経済観測調査」(2022年9月調査)では、大企業・製造業の業況判断DI(「最近」)は3四半期連続の悪化となった一方、大企業・非製造業が2四半期連続の改善となった。製造業では、6月の中国・上海の都市封鎖解除による供給制約緩和が上押しに寄与したが、円安・資源価格高による原材料コスト増加による影響が大きかったと考えられる。非製造業では、7月の新型コロナウイルス感染者数急増やコスト増加がみられる中でも、内需回復が景況感改善に寄与した可能性が高い。
  • 業況判断DI(「先行き」)をみると、大企業・製造業は「最近」を小幅に上回った。供給制約の緩和による生産活動の正常化が景況感の改善に作用したとみられる。大企業・非製造業は、「最近」から悪化する見通し。先行きの不透明感の高さが慎重な見通しにつながったと考えられる。
  • ロシア・ウクライナ情勢を受けた資源価格・食糧価格の高騰は、幅広い業種で仕入価格判断DIの上昇をもたらしている。水準をみても、リーマン・ショック前の2008年を上回り、非製造業では既往ピークとなっているほか、製造業では1979年~1980年に発生した第二次石油危機以来の水準にまで上昇している。
  • 事業計画(全規模)について、2022年度の売上高・経常利益をみると、製造業は、円安の進行が売上高・経常利益の押し上げに作用するも、資源価格高騰による原材料コスト増加の影響が大きく、増収・小幅減益となる見通し。一方、非製造業は、同様にコスト増加が重石となるも、内需のコロナ禍からの持ち直しが続くとの期待から増収・増益となっている。
  • 2022年度の設備投資額(全規模、ソフトウェア・研究開発を含み、土地投資額を除く)は、製造業・非製造業ともに前年比二桁増と大幅に増加する見通し。例年、9月調査は6月調査とほぼ同様の内容となる傾向にあるものの、製造業・非製造業とも上方修正となった。
  • 今回の日銀短観では、企業の景況感が足踏みする中でも、設備投資に積極的な姿勢が確認された。もっとも、今後、海外経済が失速した場合には、設備投資が腰折れし、結果としてわが国景気が後退してしまうことも考えられるため、今後も、海外経済の動向を注意深くフォローしていく必要がある。

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