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短期経済予測
(2023年1-3月期~2025年1-3月期)
第193回<速報>海外経済の持ち直し、景気回復をサポート
―米欧の金融環境悪化・中国のコロナ感染再拡大がリスク
2023/02/14
日本経済研究センターは、最近の金融経済情勢と2月14日に内閣府が公表した2022年10~12月期のGDP速報(1次速報値)を踏まえて、「第193回四半期経済予測」(以下、SA193)を取りまとめ、2022年12月時点の前回予測(以下、SA192R)を改訂した。
- SA193では、米欧経済の想定を上回る頑健性や、中国における「ゼロコロナ」政策の唐突な終了が、海外経済成長率の持ち直しにつながる中で、わが国の景気は回復を続けると予測した。すなわち、実質GDP成長率は、2022年度が前年比+1.2%、2023年度が同+0.9%、2024年度は同+1.0%と、+0.5%程度とみられる潜在成長率を上回って推移すると予測した(SA192R:2022年度同+1.7%、2023年度同+0.8%、2024年度同+0.6%)。
- 海外経済の実質GDP成長率については、2023年が前年比+2.4%、2024年は同+2.9%とSA192R(2023年同+1.9%、2024年同+2.4%)からそれぞれ+0.5%ポイント、見通しを上方修正した。この背景としては、まず、米欧経済の頑健性が挙げられる。すなわち、中央銀行が金融引き締めを強力に実施する下でも、インフレ率のピークアウトなどから金融環境の大幅なタイト化が回避されていることもあって、失業率が歴史的な低水準を記録している。今後も、こうした景気展開が続くとみられるため、米欧経済の見通しを上方修正した。このほか、中国における「ゼロコロナ」政策終了も海外経済見通しの上方修正に寄与している。中国景気がサービス消費の回復を通じて改善するだけでなく、アジア地域を中心に中国人観光客によるインバウンド需要がコロナ禍前の水準を取り戻すと予測した。
- こうしたもとで、わが国の経済見通しについて、輸出は、インバウンド需要の増加を背景とするサービス輸出にけん引され、増加基調をたどると予測した。設備投資は、堅調な株価が示唆する企業が直面している豊富な投資機会(トービンのQ)見合いで妥当な水準になるよう、着実に増加していくと見込んでいる。また、個人消費は、物価上昇が実質所得を押し下げている点には注意を要するが、高めのベースアップを通じて雇用者所得が緩やかに増加する下で、サービス消費が正常化に向かい、景気回復を主導するとみている。このほか、公共投資は防衛費増額による押し上げを織り込んだ。
- ベースラインのシナリオとして、わが国の景気は回復を続けるとみているものの、不確実性は高く、景気下振れのリスクが大きい。主なリスクは海外に起因しており、米欧においてインフレ高進が想定以上に長期化し、一段と強力な金融引き締めが実施されるリスクや中国において新型コロナウイルスの感染が再び拡大するリスクなどが挙げられる。こうした場合には、輸出の停滞などを通じて、わが国景気に大きな影響を及ぼし得ると考えられるため、海外経済の動向を引き続き注意深く点検していく必要がある。
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