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中期経済予測 ( 第49回中期経済予測 / 2022-2035年度 )

自由貿易推進と自前主義脱却でイノベーション拡大を

DXと人的資本投資が切り拓く成長軌道

主査:石井 達也
  主任研究員
総括:松尾 朋紀
  副主任研究員
落合 勝昭
  特任研究員
総主査(監修):小林 辰男
  政策研究室長兼主任研究員

2023/03/08

 ウクライナ戦争が長期化し、世界の資源・食料需給の先行きは極めて不透明である。東アジアでは、先端半導体分野をめぐる米中分断により、サプライチェーン再構築が不可避となった。こうした国際情勢の下、日本は、脱化石燃料・脱炭素へ向けたGX推進や、防衛力の強化が喫緊の課題となっている。さらに、コロナ禍の昨年の出生数は80万人を下回り、少子高齢化が加速している。労働力不足・社会保障負担増が深刻化し、財政の持続可能性リスクが高まる中で、いかに民間経済の活力を維持できるかが今後の日本経済の行方を左右する。
 こうした内外の環境を踏まえ、2035年度までの日本経済の道筋を予測した。生産性上昇率がコロナ禍以前の平均にとどまる「標準シナリオ」では、31-35年度平均の実質成長率はマイナスに陥り、資源価格高騰の影響で貿易赤字が定着する。これに対し、自由貿易を推進し、日本企業が自前主義から脱却し海外との連携を進めて、イノベーションを拡大するとともに、デジタル化を地方まで浸透させ、人・情報の対流を活発化させる「改革シナリオ」では、プラス成長軌道に乗ることができる。


 主任研究員・石井達也、小林辰男、副主任研究員・松尾朋紀、特任研究員・落合勝昭、研究生・阿久津燎平(足利銀行より派遣)、伊東千輝(日本郵便より派遣)、河内隆宏(中部電力より派遣)、日比規雄(参議院事務局より派遣)、藤井愛子(大成建設より派遣)で執筆した。

バックナンバー

2023/03/08

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