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短期経済予測
(2023年1-3月期~2025年1-3月期)
景気回復、インバウンド需要がけん引
─米欧の利上げ再加速・国内外の長期金利上昇がリスク─
2023/03/09
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- 日本経済研究センターでは、2月14日公表の予測(以下SA193)を改訂した。本改訂版(SA193R)は、3月9日に公表された2022年10~12月期の国内総生産(GDP)の2次速報値(2次QE)などを踏まえたものである。SA193Rでは、SA193と同様に、米欧経済の想定を上回る頑健性や、中国における「ゼロコロナ」政策の唐突な終了が、海外経済成長率の持ち直しにつながる中で、わが国の景気は回復を続けると予測した。すなわち、実質GDP成長率は、2022年度が前年比+1.2%、2023年度が同+0.9%、2024年度は同+1.0%と、+0.5%程度とみられる潜在成長率を上回って推移すると予測した。
- 海外経済の実質GDP成長率は、SA193と同様に、2023年が前年比+2.4%、2024年は同+2.9%と予測した。この背景としては、まず、米欧経済の頑健性が挙げられる。すなわち、中央銀行が金融引き締めを強力に実施するもとでも、インフレ率のピークアウトなどから金融環境の大幅なタイト化が回避されていることなどもあって、失業率が歴史的な低水準を記録している。今後も、こうした景気展開が続くとみられるため、米欧では、2023年後半以降、実質GDP成長率が持ち直し、2024年の成長率が2023年を上回ると予測した。このほか、中国における「ゼロコロナ」政策終了は、中国国内のサービス消費の回復につながるだけでなく、アジア地域の実質GDP成長率を、中国人観光客によるインバウンド需要の早期回復を通じて、押し上げると予測した。
- こうしたもとで、わが国について、輸出は、財輸出が厳しい状況にあってもインバウンド需要(訪日外国人による消費)の増加を背景とするサービス輸出にけん引され、増加基調を維持すると予測した。設備投資は、堅調な株価が示唆する企業が直面している有望な投資機会見合いで妥当な水準になるよう、着実に増加していくと見込んでいる。また、個人消費は、物価上昇が実質所得を押し下げている点には注意を要するが、高めのベースアップを通じて雇用者所得が緩やかに増加するもとで、サービス消費が正常化に向かい、景気回復を主導するとみている。このほか、公共投資は防衛関係費増額による押し上げを織り込んでいる。
- ベースラインのシナリオとして、わが国の景気は回復を続けるとみているものの、不確実性は高く、景気下振れのリスクが大きい。主なリスクは海外に起因しており、具体的には、米欧の金融環境タイト化や中国でのコロナ再拡大が挙げられる。さらに、海外でインフレ高進が長期化する場合には、金利上昇圧力がわが国にも及ぶとも考えられることから、わが国の長期金利が一段と上昇するリスクも念頭に置いておく必要がある。
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