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短期経済予測 (2023年7-9月期~2025年1-3月期)

海外経済が堅調に推移する中、景気改善続く

―中国経済の下振れやグローバルな株価調整のリスクに注意

短期予測班

 

2023/09/08

日本経済研究センターでは、8月15日公表の予測(以下SA195)を改訂した。本改訂版(SA195R)は、9月8日に公表された2023年4~6月期の国内総生産(GDP)の2次速報値(2次QE)などを踏まえたものである。

  • SA195Rでは、SA195と同様に、海外経済が堅調に推移する中で、わが国経済は高めの成長を続けると予測した。すなわち、実質GDP成長率は、2023年度が前年比+2.0%、2024年度は同+0.9%と、ゼロ%台半ばとみられる潜在成長率を上回って推移すると予測した。
  • 海外経済の実質GDP成長率は、2023年が前年比+2.5%、2024年は同+2.7%と予測した(SA195:2023年同+2.6%、2024年同+2.7%)。米国経済は、米連邦準備理事会(FRB)による金融引き締めが続く中でも、想定を上回る堅調さを示しており、今後も着実な成長を続けるとみている(実質GDP成長率:2023年同+1.8%、2024年同+1.7%)。ユーロ圏経済は、欧州中央銀行(ECB)による金融引き締めが続く中でも、プラス成長を維持すると見込んでいる(実質GDP成長率:2023年同+0.6%、2024年同+0.5%)。中国経済は、サービス消費を中心に個人消費が増加する中でも、不動産セクターの不調が続くことから、低めの成長にとどまる見通し(実質GDP成長率:2023年同+4.9%、2024年同+4.4%)。
  • こうしたもとで、わが国の経済見通しについて、輸出は、インバウンド需要(訪日外国人による消費)の強さを背景にサービス輸出が大きく増加することから、増加していくとみている。設備投資は、企業収益が増加を続ける中、株価が高水準で推移するもとで、着実に増加していくと見込んでいる。また、個人消費は、物価上昇が実質所得を押し下げている点には注意を要するが、先行き雇用者所得がしっかりと増加する中で、増加基調をたどると予測している。
  • 経済見通しに関する不確実性は高く、景気下振れのリスクが大きい。主なリスクは海外に起因しており、中国経済の下振れのほか、米欧における根強い物価高が一段と強力な金融引き締めを招き、それを契機としてグローバルに株価が調整するリスクなどが挙げられる。こうした場合には、海外経済の下振れを受けた輸出の停滞や設備投資の落ち込みなどを通じて、わが国景気に大きな影響を及ぼし得ると考えられるため、海外の経済・物価・金融動向を引き続き注意深く点検していく必要がある。

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