- 開催:
- 07月03日(火) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
国内の認知症患者が2040年に800万―1000万人に達する予測があります。個人金融資産の多くを高齢者が保有する日本で、高齢者が増えることは経済社会に具体的にどのような影響があるのでしょうか。企業がこれから備えなければいけないことは何なのでしょうか。経済学の研究手法を用いてその影響を研究する「金融老年学(ジェロントロジー)」の知見から、解説いただきます。
■講師略歴
1995年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。東洋大学経済学部教授などを経て、2007年から現職。16年経済学部経済研究所内にファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター発足、初代センター長
■要旨
資産寿命を伸ばせ―高齢者目線のルール作りを
①金融老年学では、高齢者の持つ資産とその活用に注目し、加齢とともに変化する認知機能の研究を取り入れ、加齢が経済行動に与える影響を加味した経済モデル、経済理論の確立を目指している。
②超長寿社会は金融資産の高齢化をもたらす。540兆円の金融資産が75歳以上の高齢者によって保有され、うち100-150兆円は認知症患者が保有する可能性もある。
③加齢によって認知能力が低下すると、近視眼的行動やフレーミング効果がより強くなるなど、行動経済学で確認されている様々なバイアスがより強まる傾向にある。
④高齢者の身体的な変化だけでなく、認知力の低下に伴う心理面の変化も踏まえた市場のルール、商品、デザイン、制度が求められている。
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