- 開催:
- 07月19日(木) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
日本の財政問題を改善していくためには、極端な悲観論、いきすぎた楽観論のいずれでもない方向性が 大切です。近年の財政状況の改善を支える金融緩和を損なうことなく、財政危機の本質的課題である 社会保障改革に道筋をつけていく必要があるという飯田准教授に具体的に説明していただきます。
■講師略歴
2011年カリフォルニア大学バークレー校博士課程修了(Ph.D)。スタンフォード大学経済政策研究所研究員、ボストン大学ビジネススクール助教授を経て、2015年から現職。『データ分析の力―因果関係に迫る思考法』で第60回日経・図書文化賞受賞
■要旨
増税先行では財政再建難しく――社会保障の赤字縮小が本筋
①日本の財政は、破綻が迫っているわけではない。目安となる「債務残高の対国内総生産比」は、2018年を頂点に減少が見込まれている。その中で、増税を先行させることによる性急な財政再建策は、経済成長率を低下させ、かえって財政を悪化させる可能性がある。
②国際的に見て、日本はミドル層(年収700万円~1500万円)以上への所得・資産課税が少ない。相続税の課税対象となる世帯は全体の8%でしかない。所得税の引き上げや相続税の課税対象を広げることで、「ミドル層が国の財源を支える」という方針を明確にすべきだ。
③過去30年で日本の債務は700兆円増加したが、とりわけ社会保障費の増大(293兆円)によるものが大きい。社会保障の基本理念は、得する人と損する人が半々になる「保険」だ。その理念に沿うよう、例えば年金の支給年齢を引き上げるなど、給付を見直す必要がある。医療や介護も含めた社会保障改革で財政の長期的な維持可能性を高めるべきだ。
--