リーマン・ショックの教訓と金融政策運営

山口廣秀・日興リサーチセンター理事長
聞き手)実哲也・日本経済研究センター研究主幹
開催:
07月26日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

 グローバル金融危機から10年。危機が再来するとすればどのような形で起きるのでしょうか。中央銀行にとっては、物価や経済の安定と金融システムの安定をともに実現していくためにどんな政策運営が求められるのかが課題になっています。インフレ目標の達成に力点を置いた日銀の金融政策にリスクはないのか、危機後の新たな時代における中央銀行の役割―独立性や政府との関係等について論じます。

■講師略歴
 1974年東京大学経済学部卒、日本銀行入行。営業局金融課長、高松支店長、経営企画室参事、企画局長などを経て、2006年理事、08-13年副総裁。13年から現職

■要旨

  1. バブルは、常に異なる姿で現れる。良好な経済金融環境の下で、人々の「行き過ぎた楽観・慢心・強欲」が生まれ、気づかぬ間に資産価格の上昇と債務の増大を伴い、バブルは形成される。一度、バブルが崩壊過程に入ると、金融と実体経済の負の相乗作用が働き、そのインパクトは大規模なものとなる。
  2. 金融政策当局は、「今がバブルである」ことをリアル・タイムでは十分に認識できず、バブルの膨張に対して先手を打つことは難しい。金融緩和の長期的継続は避けるといった構えこそが重要。
  3. バブルの膨張・崩壊は、経済金融の安定維持を図る観点から、できる限り回避すべき。バブル膨張期に物価上昇を伴うとは限らず、物価安定だけを目標とする金融政策はバブル膨張を助長する可能性がある。
  4. 物価安定の下での持続的な経済成長と金融システムの安定確保(金融不均衡の回避)は一体的に実現すべきである。金融政策とマクロプルーデンス政策を独立的に運営することは、必ずしも適切ではない。

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