リーマンショック以降の金融システム:変化と課題

翁百合・日本総合研究所理事長
開催:
08月23日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

 異次元緩和が長引き、銀行収益への影響が心配されています。金融システムを安定させるマクロ・プルーデンスの視点から、次の金融危機にどう備えるべきか。バーゼルⅢなど国際金融規制についての評価、日銀の出口議論と絡む日本の金融システムの問題に加えて、新たなプレイヤーの参入や仮想通貨など、フィンテックの進展が投げかける規制監督上の課題についてうかがいます。

■講師略歴
 1984年慶應義塾大学大学院修士課程修了、日本銀行入行。日本総合研究所主席研究員、同理事、2014年同副理事長などを経て、18年から現職。14年から慶應義塾大学特別招聘教授などを兼務。京都大学博士(経済学)

■要旨

  1. リーマンショック以降、銀行規制強化、Too big to failとの決別、マクロプルーデンスの強化等、グローバルに金融規制強化が行われた。足許では、規制強化の潮目に変化が出てきており、持続可能な成長とバランスの取れた金融安定性の両立が指向されている。
  2. 長期に亘る低金利環境下、金融安定性の観点から様々な議論が行われている。未だ出口の見えない日本では、国債市場の機能不全や金融機関の収益環境悪化といったリスクが顕在化している。
  3. 新たなリスクとして、気候変動リスク、Fintechに伴うリスクが注目されている。気候変動リスクに対する金融機関のリスク評価体制、情報開示の方向性が示されている一方、Fintechに対しては、新たな巨大事業者の誕生や新しいビジネスモデルに対する規制の対応が追いついていない。また、仮想通貨、デジタル通貨が内在する課題について検討が必要となっている。イノベーションを阻害することなく、新時代の金融システムに対応できる金融監督のあり方を早急に模索する必要がある。

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