米国の経済政策と日本

清滝信宏・プリンストン大学経済学部教授
開催:
08月28日(火) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

 トランプ政権の減税をはじめとする財政政策の効果、保護主義的な通商政策や中国との「貿易戦争」の行方、パウエル議長率いるFRBとの関係など、米国をとりまく環境は不透明さを増しています。今後、米国はどのような方向に向かうのか。そして日本の政策当局と民間はどう対応するのかについて、国際的経済学者の清滝教授にお話ししていただきます。

■講師略歴
 1978年東京大学経済学部卒業、85年ハーバード大学博士課程修了(Ph.D.)。ウィスコンシン大学助教授、ミネソタ大学准教授、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス教授などを経て、2006年から現職、ニューヨーク連邦準備銀行学識顧問を兼務。「清滝・ムーアデモル」の構築などで1997年中原賞受賞ほか海外で受賞多数

■要旨

利上げは新興国への波及リスクも―日本は互いの利害を踏まえた対応を

  1. 米国の財政政策は好況下でも拡張路線をとっており、短期的には景気押し上げ効果が見込まれる。しかし、潜在成長率を上回る景気の過熱は金融引き締めによって次第に相殺されるだろう。
  2. トランプ大統領主導の貿易政策は、衰退産業たる製造業の復興と知的所有権の保護を目的としたものとして理解でき、必ずしも荒唐無稽ではない。ただし、関税引き上げなどの衰退産業保護政策は、生産性の低下につながる点で問題である。
  3. 米国の中央銀行は比較的独立性が高いため、景気の過熱を抑える金融政策運営を実施すると想定されるが、金利上昇の影響が途上国に波及し、金融不安を引き起こす可能性には注意が必要である。
  4. 日本には、それぞれの政策の及ぼす影響を見極めた上での対応が求められる。

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