消費増税時の需要平準化は可能か

斎藤 太郎・ニッセイ基礎研究所経済調査室長
田中 陽・日本経済新聞社編集委員
高野 哲彰・日本経済研究センター副主任研究員
開催:
10月25日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

2019年に予定されている2%の消費税率の引き上げはこれまでの4月から初めて10月に実施されます。14年の消費増税は大幅な消費減退を招いたことから、今年の政府の骨太の方針では、需要変動を平準化する具体策の検討が盛り込まれました。欧州流の平準化が日本でも有効なのか、小売の現場の状況も紹介しながら論じます。

 

■要旨

企業は需給に応じた価格設定を-賃上げで実質所得向上も必要

① 過去の消費増税では、耐久財を中心に大きな駆け込み需要と反動減が発生した。しかし、欧州では企業が需給に応じて価格を設定しているため、増税前後の需要が平準化されている。次回の増税時には、企業が自由に価格設定できる環境を整備することで、需要を平準化することが望ましい。( 高野副主任研究員)
② 消費増税における根本的な問題は、物価上昇に伴う実質所得の低下である。この影響は反動減から回復した後も残るため、家計消費が継続的に低迷する要因となる。物価上昇に合わせて、賃上げ率も上昇することが必要だ。(斎藤氏)
③ 過去に前例のない10 月開始の消費増税には注意が必要だ。流通・小売の現場では、売り上げの季節性や年末商戦を見据え、通常期とは異なる販売戦略が求められる。痛税感を軽減する方法として総額表示やキャッシュレス化の推進も有効だろう。(田中氏)

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ご参考)2018年8月まで旧サイトに掲載した読むゼミ(講演録)はこちら

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