グローバル経済の行方―早期回復は本当に可能か

河野 龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト
開催:
04月12日(金) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴

(こうの りゅうたろう)  1987年横浜国立大学経済学部卒、住友銀行(現三井住友銀行)入行。大和投資顧問(現大和住銀投信投資顧問)、第一生命経済研究所を経て2000年から現職

■要旨

景気は持ち直すも精彩欠く―「ジャパニフィケーション」に懸念

①欧州で「ジャパニフィケーション」という言葉が広がっている。景気回復局面で中央銀行が政策金利を上げることができないまま、次の不況に突入するという現象である。現在欧州はこうした状況に陥りつつある。米国にも同様の懸念がある。

②2019年の世界景気は現在の踊り場的局面を脱するが、持ち直しの動きは精彩を欠く。中国は景気対策によって下げ止まり、年後半には持ち直してくるが、その度合いは緩慢だろう。米国は減税効果の剥落で景気は減速するが、後退にまでは陥らないと思われる。日本は消費増税を控え、景気回復は望み薄だ。

③世界の経済停滞の背景としてグローバリゼーションやイノベーションによる長期的な分配率の低下を指摘したい。高所得層への所得の集中はアグレッシブな金融緩和を招きやすく、それが資源配分の歪みにつながり、潜在成長率を押し下げる方向に働くというメカニズムである。