中国の社会信用システムの構築―キャッシュレス社会のその後

西村 友作・対外経済貿易大学教授
開催:
04月23日(火) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

    ■講師略歴

(にしむら ゆうさく) 2002年から北京在住。10年対外経済貿易大学経済学博士取得、同大学日本人初の専任講師。同副教授を経て18年から現職。日本銀行北京事務所客員研究員。専門は中国経済・金融

 

■要旨

オンライン決済が生む信用サービス―政府による取り込みにも注視を

①中国では近年、オンライン決済システムをプラットフォームとした様々な新サービスが提供されている。プラットフォーム企業は、購入者と販売者に関する膨大な個人情報・信用情報を得て、次々と新たなビジネスを生み出している 。

②アリババ傘下のアント・フィナンシャルが提供する芝麻信用が近年注目を集めている。個人の信用をスコア化したもので、オンラインクレジットの花唄やネット投資商品の余額宝といった独自の金融サービスと連動させることで、ユーザーの囲い込みを行っている。

③中国政府は、国家として個人の信用情報を管理統制し利用する仕組みを模索中である。その取り組みは、2018年にスタートした信聯による個人の信用情報の共有、犯罪者への懲罰、経済活動や日常生活の円滑化など、多岐にわたる。