- 開催:
- 05月23日(木) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社大阪本社ビル 1階カンファレンスルーム
日本のイノベーション力の相対的低下が危惧されている。山口氏によると、類似した状況に陥った米国ではその後の科学政策(SBIR:スモール・ビジネス・イノベーション・リサーチ)が功を奏しこれが日米の明暗を分けたという。日本の蘇生に有効な真の日本版SBIRとは何か。目利きの「科学行政官」が鍵で、国・地方自治体の行政と企業・大学の連携も重要と説く山口氏に背景と具体策を伺います。
■講師略歴(やまぐち えいいち)
1977年東京大学理学部卒。同大理学博士。NTT基礎研究所主幹研究員、フランスIMRA Europe招聘研究員、21世紀政策研究所研究主幹、同志社大学教授、英国ケンブリッジ大学クレアホール客員フェローなどを経て、2014年から現職。専門はイノベーション理論、物性物理学。著書に『イノベーションはなぜ途絶えたか-科学立国日本の危機』、『イノベーション政策の科学-SBIRの評価と未来産業の創造』(共著)など。
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■講演録要旨
無名の若き科学者を起業家に
―科学行政官制度の導入も必要
① 日本は科学もイノベーションも現在危機的状況にある。米国の動きが波及し、日本でも1990年代後半に大企業が基礎研究から一斉に撤退したからだ。この結果、科学者を志す若い人が減り、競争力を高めるパラダイム破壊型イノベーションも起きなくなった。
② 一方米国は、無名の若手科学者を起業家に育て上げるSBIRという制度を創設し、それを持続的に遂行することで、新しいイノベーション・モデルをつくり上げた。この制度は特にバイオ産業の隆盛に多大な貢献をした。
③ 日本が危機的状況から脱するためには、科学者によるベンチャー起業を強く支援する他はない。無名の若き科学者を起業家にする制度をつくり、それを実行し続けることが必要だ。イノベーション・ソムリエの育成も不可欠。科学行政官制度を本格的に導入すべきである。
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