米中摩擦と日本
- 宮本 雄二・宮本アジア研究所代表(元駐中国大使)
- 中林 美恵子・早稲田大学社会科学部教授
- 柯 隆・東京財団政策研究所主席研究員
- 司会)伊集院 敦・日本経済研究センター首席研究員
- 開催:
- 06月14日(金) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
■講師略歴
(みやもと ゆうじ)1969年外務省入省。軍縮課長、中国課長、アトランタ総領事、軍備管理・科学審議官、駐ミャンマー特命全権大使、沖縄担当大使を歴任後中国特命全権大使を経て、2011年より現職(なかばやし えみこ)大阪大学博士(国際公共政策)、米国ワシントン州立大学修士(政治学)。1993年米国議会上院予算委員会補佐官、2002年(独)RIETI研究員、09年衆議院議員などを経て、現職
(か りゅう)中国南京市生まれ、1988年留学のため来日。名古屋大学大学院修士(経済学)、長銀総合研究所研究員、富士通総研主席研究員を経て、2018年4月より現職
■要旨
米中対立は長期化の公算―日本が間に入り衝突回避を①【宮本氏】米中摩擦は客観的な根拠や合理的な計算の下に生じているわけではなく、中国の台頭は許さないという考えから生じているため、対立は長引くだろう。米中はしっかりとした対話ができず、お互い宙を漂っているような状態だ。日本が間に入り、衝突を避けるよう動くことに米中とも反論はないはずだ。
②【中林氏】米国では大統領の権限を一部制限しようとする動きもあったが、メキシコへの関税引き上げ見送りで少し下火になった。ワシントンが警戒しているのは中国による選挙介入で、民主主義が脅かされるという声まで聞かれる。
③【柯氏】中国国内の情勢を配慮すると、一刻も早く米中摩擦を終わらせたいと考えているが、国内で弱腰外交と言われるのを恐れ、妥協したくてもできないジレンマに陥っているのではないか。米中摩擦が長期間続いたとしても、日本企業は従来通りのリスク管理をしながら資産の再配分を合理的にやっていくしかないだろう。