第56回通常総会講演
デジタル資本主義 日本は生き抜けるか

【日経センター2060年長期経済予測】「デジタル資本主義 日本のチャンスと試練」
猿山 純夫・日本経済研究センター首席研究員

【パネル討論】「データを企業活力に結びつけるには」
江口  清貴・LINE執行役員 公共政策・CSR担当
鈴木 茂樹・総務省総務審議官
森  亮二・英知法律事務所弁護士
岩田 一政・日本経済研究センター理事長
司会)田原 健吾・日本経済研究センター主任研究員
開催:
06月17日(月) 14:30~16:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階カンファレンスルーム

■講師略歴
(えぐち きよたか) 2005年ゲームポット入社、12年 NHNJapan(現LINE)入社、18年から現職。(一財)情報法制研究所の専務理事などを兼務。個人情報保護法、情報セキュリティ等を含む情報法制政策の研究や提言を行う

(すずき しげき) 1981年東京大学卒、郵政省(現総務省)入省。2013年大臣官房総括審議官、14年情報通信国際戦略局長などを経て、17年から現職。18年から国立情報学研究所客員教授兼務

(もり りょうじ) 東京大学法学部卒、ペンシルバニア大学ロースクール卒。弁護士・米国ニューヨーク州弁護士。専門はインターネットの法律問題

 

■要旨
無形資産への投資で成長維持を―データ生かす環境整備が不可欠

①日本経済研究センターの2060年見通しでは、無形資産投資が経済成長の重要な源泉となる。データを蓄積するだけでなく、共有・流通を促し活用する環境整備が必要だ。今のところデジタルサービスの輸出で日本は劣勢だが、製造業では比較優位があり、モノ周辺のデジタル化で勝機がありそうだ。

②ネット上の個人データは誰のものか、権利の位置付けが非常に重要だ。共有・流通によって競争・イノベーションを促せるか、データ利用から生まれる恩恵を広く還元できるかなど、デジタル資本主義が生き残るために関わってくる。

③個人データを利用するためには、法律上の規定を超えて、ユーザーから納得感を持った同意を得ることが大前提となる。その上で、企業がユーザーの関心を惹く面白くて便利なサービスを提供できるどうか。データポータビリティについては、医療、金融、エネルギーなどニーズが高い分野で、枠組みを固めることが重要だ。

2019/7/12: 訂正とお詫び
猿山プレゼンテーション資料(長期経済予測)の図表の一部に誤りがありましたため、
p13、p14のGDP規模、1人当たりGDPの図を差し替えました。
ドル換算に用いる為替レートの設定に誤りがあり、主に日本の数値を修正しました。
お詫びして訂正します。