- 開催:
- 06月19日(水) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2
■講師略歴
(よしだ けんいちろう) 1996年一橋大学商学部卒、富士銀行(現みずほ銀行)入行。対顧客為替ディーラーを経て、2004年みずほ総合研究所に出向。08年ロンドン駐在、14年から現職。ロンドン大学修士(経済学)
■要旨
不確実性を超える試練の時期―通貨ユーロには強い信頼感
①ユーロ圏の景気には減速傾向が見られるが、堅調な国内需要を背景に本格的な景気後退に陥る可能性は低い。不確実性の残る海外情勢を受けて輸出が伸び悩むが、各国内では雇用・所得面の改善傾向と、低い物価上昇率が購買力を回復させている。拡張的な財政政策・金融緩和も加わり、2020年にかけてユーロ圏経済は徐々に回復する見通しだ。
②欧州主要国の議会では多党化が進むなど、支持基盤の不安定な政権が続く見通しだ。近年は既存政党の連立ではなく、新興政党も加わった政権交代が進み、政治情勢の悪化が経済・金融市場に負の影響を与えるリスクが高まった。環境問題を重視する現実路線の政党が支持を伸ばし、欧州議会にも議席を増やし、安定化に貢献する可能性がある。
③欧州各国でEUに懐疑的な政党が支持を伸ばしているが、通貨ユーロに対する信頼は高い。移民への対応・治安の改善など、人々には社会の安定を求める意識が強い。2度の金融危機を経て、ユーロ圏内の財政・金融政策の協調の必要性が明らかになり、制度的な改善が多く進められている。