第5回円城寺次郎記念賞受賞
社会問題を解決するマーケットデザイン

小島武仁・スタンフォード大学経済学部准教授
開催:
06月20日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴
  (こじま ふひと)2003年東京大学卒、08年ハーバード大学経済学Ph.D.。スタンフォード大学助教授などを経て、13年から現職。18年に、第5回円城寺次郎記念賞、第15回日本学士院学術奨励賞を受賞

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■要旨

アルゴリズムによる調整―市場ミスマッチ抑制に有効

①伝統的な経済学では、それぞれが自己都合を追求すれば、「見えざる手」が働き、最終的に望ましい結果が生まれると考える。これに対しマッチング理論のアプローチでは、きちんと情報を収集してアルゴリズムの「見える手」によって望ましい結果を探し出す。

②マッチングの有力な手順として受け入れ保留方式(DA)がある。DAによるマッチングは「安定性」という望ましい結果を生む。マッチング理論は当初は現実への応用には不向きと見られていたが、コンピューターの普及などで、さまざまな領域に適用されている。

③その例として米国の研修医のマッチングが有名で、日本をはじめとする各国の研修医配属制度もこの方式を基本としている。このほか米国では大都市における公立学校選択制度にも応用されている。適切な修正を施せば、日本でも保育園におけるミスマッチ問題の抑制にも役立つことが期待される。