シリーズ データサイエンスの潮流 (第2回)

因果もわかる機械学習―社会への応用を中心に

成田悠輔・米エール大学経済学部助教授
開催:
06月06日(木) 14:00~15:30
会場:
日本経済新聞社東京本社ビル 6階セミナールーム2

■講師略歴

(なりた ゆうすけ) 2016年米マサチューセッツ工科大学経済学博士号取得。17年から現職。市場や社会の制度設計と、社会制度から出てきたデータを用いて因果機械学習を研究

 

■要旨

因果推論できる機械学習、広告やゲームで成果―日本は人材とデータの不足が課題

①人工知能(AI)はバブル崩壊気味だが、機械学習への関心は堅調だ。機械学習は「どんな時に何が正解か」を導き出す枠組みで、人間の手で機械に正解データを与えて学習を誘導する必要がある。手書き数字の機械による認識が古典的な事例だ。

②しかし世の中の出来事はそもそも正解がわからないことも多い。それを補うのが分析対象を無作為に2つ分けて効果を見る「ランダム化比較実験」などの実験だ。実験を通じて因果関係を推論し、政策効果を測定することが可能になる。

③こうした実験を内蔵し、因果推論を理解できる機械学習(因果機械学習)が提案され、動画配信サイトにおけるトップ画面や広告の効果的な表示に使われている。ゲームAIに応用され、人間に勝利するまでに効果を上げている。日本は人材やデータ、何よりビジョンと戦略が不足しており、世界とは勝負にならないのが現実だ。