- 開催:
- 07月02日(火) 14:00~15:30
- 会場:
- 日本経済新聞社大阪本社ビル 1階カンファレンスルーム
国際経済で存在感を高める新興国と先進国の指導者が一堂に会する20カ国・地域(G20)首脳会議が6月末に大阪で開かれます。自由貿易の推進を通じた世界経済の成長や地球規模課題への取り組み、デジタル経済への制度面の対応などで国際的な協調体制を築けるのか。外交実務経験も豊富な渡邊教授に会議の結果を分析するとともに、サミット後の世界経済を展望していただきます。
■講師略歴(わたなべ よりずみ)
1976年上智大学文学部哲学科卒業。同大学院国際関係論専攻、博士課程単位取得退学。在ジュネーブ国際機関日本政府代表部、GATT事務局、欧州連合日本政府代表部、外務省大臣官房参事官兼経済局、外務省参与を経て2005年慶応義塾大学教授、19年4月から現職。 15年4月より三菱ふそうトラック・バス株式会社監査役。
■講演録要旨
メガFTAの成果、WTOに還元を
―米中覇権争いが不確実性生む
①大阪G20サミットは成功裏に軟着陸した。首脳宣言に保護主義との闘いは明記できなかったが、自由貿易の原則は具体的に盛り込めた。WTO(世界貿易機関)改革と、紛争処理システムの機能改善について「行動」の必要性も明記した。データ流通の国際ルールづくりの枠組み「大阪トラック」開始決定も成果と言える。
②米中の関税戦争は一時休戦し、世界経済に一定の安心感を与えている。しかし、米中の覇権争いは今後も継続し、世界経済の不確実性の根源になっていく恐れがある。自由貿易の支持国・有志連合は、米国の保護主義に対する防波堤を構築する必要があろう。
③日本はTPP11(環太平洋経済連携協定)、日欧EPA(経済連携協定)や、大枠合意を目指すRCEP(東アジア地域包括的経済連携)を軸に、メガFTA(自由貿易協定)やEPAのネットワークを拡充し、連携が生み出す成果をWTOに還元していくべきである。
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